東除川(ひがしよけがわ)は、狭山池(さやまいけ)を源流として大和川(やまとがわ)に合流します。
その源流に近い場所の土手に、ひときわ目立つ楠があります。
立ち姿がいいじゃありませんか?
もっとご長寿の老木は、大阪府下に限っても、たくさんあります。
樹齢600年とか、樹齢1500年とか。
佐藤洋一郎著『クスノキと日本人』(八坂書房、2004年)という本によれば、大阪には「クス」の名を付した地名が多く、全国3位なのだとか。
また、現在残っている巨木の分布から推察して、古代の大阪には、門真市付近一帯と、堺市付近一帯に、クスノキの大きな森があった可能性を指摘しています。
現在、大阪府下で巨木のある場所は、神社の神域であることが多いように思います。
おそらく、神木となったり、伝説化されたりして、伐採されなかった木が、巨樹として育っていたのでしょう。
そういう巨樹のクスノキたちに比べれば、画像の木は、まだまだ若いようです。
幹からいくつも枝分かれして、高く空にむかっています。
大阪狭山市東池尻一丁目。
府道203号線が東除川をまたぐところに、五軒家橋という橋がかかっています。
楠の木は、五軒家橋の南西のたもと、東除川沿いの土手に位置しています。
木の裏側に見えている白いガードレールは、府道203号線のもの。
場所は、東池尻の北の端。
五軒家橋を越えれば、富田林市の五軒家地区に入ります。
昔風にいえば、村境に立つクスノキなのです。
ここは、「坂迎え」の行事が行われる場所でもあったそうです。
大峰山への参詣や伊勢参りに行った人びとを迎え、歓待する行事だそうです。『大阪狭山市史』第九巻には次のように書かれています。
楠の根元に、なにか白い小さな箱のようなものが置かれています。
牛瀧さん(牛神をまつった祠)です。
大阪南部の農村では、牛を農耕に使っていて、とても大事にしていたようです。『大阪狭山市史』第七巻別巻に次のような記述がありました。
「牛瀧参り(牛神祭り)」とはどのようなお祭りだったのでしょうか?
さきほどの『大阪狭山市史』第九巻に、具体的な記述がありました。
「権兵衛池の大きなクスノキ」というのが、画像の楠のことでしょう。権兵衛池という池はすでに無いみたいなのですが……。明治16年に牛の疫病が流行した時に、東池尻地区で、牛瀧の祭祀がはじまったようです。(参照→『大阪狭山市史』第九巻487頁)クスノキが巨樹でないのは、祭祀の始まりが近代になってからのせいかもしれません。
こんな風に歴史をひもといていくのも、おもしろいものです。
調べれば調べるほど、興味がどんどん広がっていきますね。
地元に長く住んでいらっしゃる方たちのお話も、うかがってみたくなります。
クスノキたった一本のことなのに……ね。
あらためて、楠を見てみましょう。
角に菖蒲をつけてもらった牛たち。
「のこった、のこった」と、相撲をとる子どもたち。
「お帰りなさい」と、握り飯やお酒をふるまう村の人たち。
旅での出来事を語って聞かせる、参詣帰りの人びと……。
この木陰から、そういう姿を想像してみなくてはいけないのでした。
人と人をつなぐ場所。
わざわいを断つ場所。
祈りの場所。
聖なる空間としての木陰なのでした。
木がなければ木陰もありません。
広く大きな木陰を維持するには、木を大事に守っていく必要があったのかもしれません。
経済発展につれて伐採されてしまった木々は、数限りないことでしょう。
けれども、
しぶとく生き続けている樹木もけっこうありますね。
かつてどうだったか、樹木の声に、耳を傾けてみたいものです。
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樹木を探される方は、コーヒーショップ「カントリーロード」を目印にされるとよいと思います。
五軒家橋の北西のたもとにあるお店です。
なお、
この樹と牛瀧さんのことは以下のホームページも参照しました。
↓
森からの手紙さんの、
など、連載「牛神様巡り」。
心より御礼申し上げます。
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御高覧くださり、どうもありがとうございました。
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相撲も神様へ捧げる神事だったんでしょうね。にぎやかな様子が目に浮かびます。
2012/2/28(火) 午後 11:05 [ goncha288 ]
角に菖蒲をつけてもらった牛たち。
「のこった、のこった」と、相撲をとる子どもたち。
「お帰りなさい」と、握り飯やお酒をふるまう村の人たち。
旅での出来事を語って聞かせる、参詣帰りの人びと……。
って考えるとすごいですね・・・。
ずっとこの地で見守ってくださってるんでしょうね。
すばらしいお話、ありがとうございます。ぽち。
2012/2/28(火) 午後 11:48
おっしゃるとおり、神事だったんですよね。
大阪場所2年ぶりに開催されます。相撲ファンでもなんでもないですけれど、大相撲の大阪場所は春を教えてくれる風物詩でもあるので、細く長く続いて欲しいと思っています。
gonchaさん、どうもありがとうございます。
2012/2/29(水) 午前 7:27
大阪南部はもともと農村地帯だったので、牛を大事にする風習が広がっていたようです。
クスノキも古代から利用されています。
R26沿いに立地している大阪府立弥生文化博物館では、クスノキのくり抜き井戸が復元されているそうですよ。
ミニボブさん、コメ&ポチどうもありがとうございます。
2012/2/29(水) 午前 7:36
こんばんは。
こんもりとした、いい形ですね〜^^
この木の木陰でどれだけの人が疲れを癒したのでしょう。
そんなこと、考えたことなかったかも・・・。
想像すると、楽しいですね^^
2012/2/29(水) 午後 9:23
くうたんママさん、どうもありがとうございます。
想像って楽しいです。妄想も同じくらい楽しいかも……?
2012/3/1(木) 午前 1:11