ゆうてみよかな

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『深夜音楽』読了

 
 
『深夜音楽』、読了しました。ちょっとゆうてみようかなっ……。お時間がありましたら、おつきあいくださいね。
 
 
 
 
 
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ページを繰るたびに違う匂いがしてくる。
沈丁花の匂い、唐揚げの匂い、死体の異臭、年を取った人間の放つ加齢の匂い……。
匂いが迫ってきて、疲れて来た。
あぁ読み終わったって思った。
はっきり言って読後感は爽快ではない。
 
短編小説は好きな方だと思う。
芥川龍之介、村上春樹、江國香織、莫言、李碧華、王蒙、蔡智恒……日本語作家の本も中国語作家の本も読んで来た。
結末の意外さにうなることも多々ある。
設定の奇想天外さに目を丸くすることもある。
楽しい。壷の中の小宇宙をみるような、愉快な体験と思っている。
 
『深夜音楽』を読み終わって、小さい頃によく見た夢を思い出した。
 
たったひとりで列車に乗って遠くの町――瀬戸内の小さな町に行く。
駅の改札口に、祖母が迎えてくれる予定になっている。
夢は駅に到着するところからはじまる。
駅舎にはギリシャ神殿のようなエンタシスの柱が立ち並んでいて、暗い。
私は改札口に向かっているはずなのだが、行きつかない。
迷ったかと思って、違う通路を歩く。大きな鉄格子の扉にぶつかる。
あ、違う。これは駅の改札口に行く道ではない。
また、別の通路を行く。
でも、また同じことが起きる。
繰り返し繰り返し同じことが続き…。
「あぁぁぁぁぁぁ」…
で、目が覚めるのだ。
祖母の優しい顔は浮かんでいるのに、その人のもとにはたどりつかない…。
 
 
 
 
著者の術中にはまっているとも言えるだろう。
現実と幻想のあいだを行き来する登場人物たちに何篇も触れていると、読者自身が妄想の世界に近づいてしまう。そのせいだろう、井戸の底に落としてしまって普段忘れていたような古層の記憶が甦ってしまった。。。。
 
 
読後にそうなるような仕掛けが、『深夜音楽』の中に施されていたのかもしれない。
 
怖い本だ。
 
 
『深夜音楽』は、ホラーと言っていいんじゃないかと思う。
爽快な気分を読後に味わうことが出来ない。
 
しかし、読後の爽快さだけを、読後の醍醐味とするのは人生のソンシツであろう。
さまざまな形で、感情が揺さぶられること、それ自体が愉悦なのだから。
 
 
 
 
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京都・豊国神社のイチョウ。
光をうけて、輝きを増していた。
秋の愉悦。。。
 
 
 
 
『深夜音楽』、森岡久元著、澪標。
ISBN978-4-86078-249-8 
本体1600+
 
 
 
 
 
 
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
申し訳ありませんが、お返事が大変遅くなった経緯があるため、コメント欄・トラックバック機能は閉じています。ご容赦ください。

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