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南国の夏には珍しく空が少し大人の色のある日、マルリーヌはまたユキちゃんのいる
「ふれあい動物園」に行くことにした。
行く途中に彼女は「無人野菜販売所」に寄った。
・・なぜなら彼女には、ユキちゃんの事とは別に気になることがあったのだ。
それはふれあい動物園に、たった1頭だけいるポニーのこと。
白いたてがみで・・小さいけれどとても可愛い。
マルリーヌは馬の目が大好きなのだが・・そのポニーはなんだかとても疲れた目をしている。
・・それで気になって、ポニーの為にニンジンを一袋買った。
ふれあい動物園に行くと、なぜかその日は誰もお客さんが居なかった。
マルリーヌはホッとした。もともと飼育の人なども見当たらないし。。。
ポニーは遠くに居た。
目があったので、こちらに来るように目配せをすると・・・彼は来た。
ニンジンあげると、それはそれは美味しそうに食べてくれた。
ニンジンは不揃いで小さくて・・だから彼の口にはピッタリ食べやすそうだった。
そうしているちに、他のヤギ達もみんなマルリーヌに気づいて寄ってきた。
ユキちゃんも来た。
ユキちゃんは少し肥って大きくなっていた。マルリーヌはホッとした。
ユキちゃんに餌をあげていると、またしてもブラック・ヤイソンがやって来た。
アゴヒゲに泥がついていた。
そして相変わらずユキちゃんの餌を横取りしようとする。
予想はしていたので、彼女はヤイソンに多めに草を用意していて、それをあげながら合間をみてユキちゃ
んや他のヤギに草をあげた。
相変わらずヤイソンは自分のがあっても他のヤギのを取ろうとする。
・・・とそこに、色は茶色でヤイソンより少し小さめなもののかなり強そうな、やはり大きな角を
もったヤギがやってきた。
二頭は、餌の取り合いで喧嘩を始めた。
角を突き合わせるスゴイ音がして・・あまりの激しさに驚いたが、どちらも頑丈そうだし、
ヤギにはよくありがちなことらしいので、マルリーヌは気にせず、他のヤギ達に草をやった。
ユキちゃんは、とても賢くなっていた。
小さな身体で、他のヤギの間をすり抜けながら上手に餌を食べた。
こちらの動きも敏感に察知し、どのヤギよりも勘がよく要領がよかった。
マルリーヌは彼女の成長に驚き・・そしてとても嬉しかった。
なぜか、離れて暮らす、息子の柴太郎のことを思い出した。
彼のことは、遠くにいても心から離れる事はなく、いつもいつも気になっていた。
ちょうどその時も、彼のことで心配している事があったのだが・・
ユキちゃんを見ていると・・
柴太郎もきっと大丈夫だと思えた。
そしてふと横を見ると・・
ヤイソンたちはまだ喧嘩をしていた。餌を足元に積んだまま・・・
・・バカっぽかった。
でもお陰でみんなに餌がゆきわたった。
マルリーヌは、ふとしゃがみこんで、喧嘩に夢中のヤイソンを下から覗き込んでみた。
ユキちゃんに対してイヤラらしかったヤイソンの「ソレ」をちょっと見てみようと思ったのだ。
でも、黒い毛に隠れて見えなかった。
そして・・・身体のわりにヤイソンの「ソレ」は案外ちっちぇーのではないかと・・マルリーヌは
勝手に決め付けて安心した?!
しかも、ユキちゃんが大きくなったらヤイソンなんか上手くあしらって・・・
案外ユキちゃんのほうが主導権を握るのではないかと彼女には思えた。
そうこうしているうちに、動物達は食べ終えて、小屋へ帰りだした。
ポニーも戻るべく歩き出した。
でもその途中、ポニーがマルリーヌの方を振り向いたと思うと・・・軽く走り出して、
2周だけその辺りを軽やかにまわった。
マルリーヌは、ビックリした。
ポニーが走るのを初めて見たのだ。
颯爽とした姿だった。
驚いて丸くしている彼女の眼を見てポニーは・・・
「オマエも頑張れよ!! チッチキチー。」
・・と言った。
その声を聞いて、初めてマルリーヌは気づいた。
ポニーは彼女より年上だった。。。。
「カワイイなんて思って失礼スマスタ先輩。」
マルリーヌは、心の中で謝った。
そして涙がでた。。。
心配してくれていたのは・・先輩ポニーのほうだった。
その日は、穏やかな気持で車を運転し・・我が家についたマルリーヌ。
彼女が車を降りるとすぐ、犬の熊五郎が・・
「ほぉほぉー、今日は雄馬とお戯れですか??
だいたいオマエ、一家の主婦が家事もサボッってナニしちょっつや??」
・・と言った。
でもその日のマルリーヌは、そんな熊五郎がたまらなくいとおしくて、その長い鼻筋にキスをした。
彼女は、熊五郎の長い鼻筋が大好きなのだ。
そしてその時ふと彼女は、今は亡き彼女の母「勤子」が生きている時・・・
熊五郎との別れ際にいつも、
「熊ちゃん、マルちゃんをよろしくね。熊ちゃんマルちゃんを頼むで。」
と言い聞かせていた・・
勤子の声を聴いたような気がした。。。
(しっかりせーよwマルリーヌ! )
チッチキチー。
つづく。。。
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