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・「理論」と「現場」を結びつけるもの ・夏目漱石 大連での幻の講演 全文掲載 この2つの文字が目に入ってきた。 論座の9月号だ。 しかも杉田氏の名前だけでなく遠藤乾、松本礼二、古矢旬など豪華な執筆陣だ。 論座は今まで、参考程度に見たことはあっても買った事がなかったが、思わず購入する。 さて表題のインタービュー内容。 基本的には「二分法の暴力」、「境界線の政治学」について述べられている事に近いが、現在の社会状況に即して説明がなされており、読みやすい。 要は、様々な言説(discourse)のメリット/デメリットを勘案した政治的判断ができるくらいに成熟していくためには、身近な権力についても当事者意識を持つべきである。 という所だろうか。 いわゆる「下からの権力」についての意識である。 われわれは、一見なにも無関係に思われるが規定の権力的なものにかなり承認を与えているということで、現在の体制を支えている当事者でもある。(当然責任には大なり小なり各々ある) こういった場合は、トップの首を切る事で喝采(満足。カタルシス)するだけでなく、 根本の所で、支えている張本人たち(つまりわれわれ)が変わらなければ、首を切る対象がどんどん変わるだけになっていく。 もっというと、自分だけ安全と思っていても、終いには自分が「首を切られる側」に回る可能性もある。 そういった事に、熱中するのではなく、われわれの体質改善を図って、長期的に改善していこう。というような感じだろうか。 【内容要約】 まず、現在は二分法的な議論空間が支配的であるとの危機感を訴えている。 例えば、格差社会と呼ばれる中での富裕層/貧困層、正規雇用者/非正規雇用者、伝統的な議論でいえば「階級対立」を想起させるような議論でもある。 近年でも郵政選挙に見られるような郵便局員の利益/国民の利益のように、少数者をたたく時に最も機能を発揮する事になる。 デモクラシーとは何なのか、一言ではなかなか言い表せないにせよ、最終的には多数決の原理で決める事になる。そうすると、民主的といえる場においては多数者をたたくよりかは、少数者たたきをした方が容易である。 誰もが自分が「たたかれる側」に回るような決定はしたくはないため、自分とは関係がない(と一見思われる)少数者をやり玉に挙げた方が、多くの人とっては最適なものに映る。(うすうすは責任を感じている多数者にとってもカタルシスにもなる!?) こういった二分法は、大きな改革をする際には必要悪なものとも考えられがちである。 官僚批判なども最たるもので、批判されるべきは共犯関係であった政治家や、ひいてはそのような政権党を選び続けてきた国民も一種の共犯者なはずであるが、「自分とは関係のない誰か」を血祭りに上げる事で有権者が喝采して溜飲を下げているのは果たして生産的といえるのか。 世の中は革命や外科手術のように一気に変化するものではない。 長い時間をかけて、社会の多数派の考え方、いわば「体質」が変わっていくしかない。 これは対立関係が悪いと言っているのではなく、その対立関係が固定化・絶対化し、暴走する事が危険だといえる。その最たるものが、市場/国家、であったり、善/悪、正しい戦争/悪い戦争、といった主張である。 これは権力のとらえ方に根本的な問題があり、それを変える必要がある。 権力というものは「外在的」なもの、つまり自分たちの外部にあるものだという考え方が依然として非常に強い。 これは、国家権力を恐れる左派の理論だけの事ではない。 新自由主義者を含めて、広い意味での自由主義的議論でも、権力は国家という特異点に集中しており、それを縮小する事が人を自由にすると信じられている。 しかし、権力というのは実はもっと「内在的」なものとして捉えられるべき。 つまり、われわれ自身が権力に少なからず関わっている当事者だという事だ。 われわれが支えているからこそ、現在の国家という制度も、市場さえも、成立している。 そして何故われわれがそういった権力を支えているかといえば、権力が単に迷惑なだけでなく、両義的なものであって、良い効果をもたらす面がある事を知っているからである。 例えば警察によく切符を切られて文句をいっている人であっても、警察自体が無くなってしまう不都合さは甘受し得ないであろう。 逆にわれわれが変われば、権力のあり方を変える事が出来る。 「彼ら」を変わらせたり、どうにかする事から生まれるのではなく、かなりの部分がわれわれ自身の問題でもあるという当事者性を意識する事が、成熟した政治的議論につながるだろう。 |
読書日記
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そんな論座も今日で休刊らしいが。
2008/9/1(月) 午前 4:33 [ にしむら ]
そうそう。休刊(実質的に廃刊)ですね。
そんなのを偶然見かけたというのもできすぎている感じがしますがw
取り敢ず、刊行された新訳の対談を見てると、トックヴィルを読みたくなりましたよ。昔に英訳で読んで楽しかったのを覚えてます。さすがに今だと英訳は時間がかかりすぎるので、手っ取り早く日本語訳を・・・笑
2008/9/1(月) 午前 7:15 [ びやん ]