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http://www.tokyovalley.com/yahoo_blog/article/article.php
この内容は1990年代中頃に法政大学法学部政治学科で開講されていた杉田敦ゼミの記録です。ゼミの先輩がHPとして作成していただいたものを私が編集して「記録」としてここにアップしています。従って内容についての責任などは私、村上にあります。ご意見・ご要望などありましたらコメント欄やメールにていただければ幸いです。


「ボランティア」3

文責:Y本(四年)

・贈与論、ジェンダーを巡って

A:今日はこの著作「ボランティア」については、最後の議論です。そこで残りの部分と併せて、今までの総括的なことも取り入れてみたいと思います。

B:1、2で大体の話しが出てきたと思いますが、今回の範囲では新しく企業ボランティア、「自立生活」、それに極簡単な贈与論(文化人類学的観点で)、ジェンダーについての話しが出てきてますね。

C:僕は、この贈与論、それにイリイチからのジェンダーについての議論と”ボランティア”との関連性がいまいち分かりにくかったなぁ。

C:同じく。

A:では、その辺から。

D:贈与論は資本主義に於ける貨幣媒介の商品関係ではない、あげた→ だから貰う→そしたらまたあげる・・・、みたいな関係の事を言うんで、そこに人と人との心の交流みたいなものを著者としては見出して、ボランティアの後者のような側面を強調したかったように思う。

E:”ジェンダー”に関しては、その関連性はもっと分かりにくいよ。私の勝手な解釈として喋らせて貰うなら、著者がここで言いたかったのは、現代の男女の関係、特にその社会的地位の様なものは、永遠不変じゃなくて、歴史的産物でしかないっていう所だと思うんです。だから現代社会のシステムを相対化して、その裂け目からボランティア的可能性を見出そう!!って訳なんじゃない?

A:ふんふん。

B:でもだよ、今D君が言ったことに関してなんだけれど、贈与論のそうした面を持ち出すことは少し危険が伴わないかい?

D:と言うと?

B:つまり、そういった親密な人間関係をクローズアップしすぎると、日本みたいな閉じられた共同体内での伝統を賛美してしまうことになりかねないんじゃないかぁ。

C:著者はそういった考えを持っていることはなさそうだから、ここでこういうことを書くのは、つまり日本を頭に置いて述べてはいない、そうなるかい?

D:じゃあ、何処見てんだ?

E:一つにはユートピア、それは無いとして、そうなると欧米って事になるね。

F:私は、アメリカなんかではボランティア的なことをしても、直接の御礼なりを期待しないって事を聞いたことがあります。それはつまり、その行為が狭い空間で閉じてしまっているのではなく、もう少し広い、社会とか国単位での貢献として捉えられているからなのかも。

A:欧米、特にアメリカって言ゃあ、資本主義の本場だろ。経済とは距離を置くボランティアがそこに根付いているのは何か面白いね。

B:うんうん。考えとしては近代化が良くも悪くも行き着いた果てに、その副産物としてひょっこり出ていたっていう考え方と、そうじゃあなくて、もともと西洋的価値観にはそういう要素が含まれてたという考え方があるだろうね。

C:キリスト教のことを考えると、後者の側面が強いのではないかい。そうなるとその伝統のない日本のような国ではボランティアが難しいって事になる。これは困っちゃうし、著者も困る、でもそこら辺は触れてませんね。

D:あと、ジェンダーについてですが。

E:これまた「問題有り」っだね。

F:そこんとこ、少し詳しく。

E:ここでイリイチを出してきて、言ってんのは、さっき誰かが言ってたような、”歴史性”なんだろうけど、イリイチの引用からでは「昔々、男の人と女の人とにはそれぞれ社会的に決まった役割がありました。しかし経済社会になるにつれてその分担構造が崩れてしまい、女性の立場は経済の論理で流動化し、従って今みたいな状態になってしまいました」こういう話しになって、これは一部のフェミニストには受け入れがたい。後者は暴力的な線引きに反対しているのに、今の話しでは嘗ての線の復活によって問題は解消されると考えている。

F:何だか難しいや。

A:フェニミズムについては次回から少しやる予定ですのでその辺として、まぁ、今回でこのテキストについては終わりです。ここまで様々な意見が出ましたが、最初のテキストのテーマ「システムと生活世界」とも関連して、学ぶところが多かったのではないでしょうか。 

B:僕は「バルネラブル」の可能性が新鮮だった。何処もシステムで、ボランティアすらそれとは決して無縁ではあり得ない、だから脆弱でありバルネラブルなんだけど、でもどこかそれと違う所、その違いをネットワークで繋いでいく、こういう著者の姿勢には確かに共感できる点が多いです。

B:そうだね、だからこの本は”ボランティア”が主題だけど、より守備範囲を広くして(そこがウィークポイントでもあるが)、私たちのゼミの今年の「市民社会」の問題と繋がって来るんだね。そこで出てくるのはシステムを引き受けて、それから這いあがってくるラディカルなボランティア的市民。これもまた、重要なとこだね。

C:じゃあ、今日はこれでおしまいにしましょうか。では皆さん、また来週お目にかかりましょう。さよなら、さよなら、さよなら。(淀川長治さんw)

6月6日

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