|
(2)からのつづき。
ではデメリットに対してはどう対処できるだろうか。 まず建替えが迫ってきており、決議されるかどうかも難しく、徐々にゴーストタウン化していくのではないかという懸念。 これについては、適切に修繕を行っていれば建物寿命も60年から更に伸びそうである(異論もあり)。 コンクリや躯体などは、よほどの欠陥がない限り適切な修繕で持つ可能性は高いが、給排水管やガス管(埋設、館内の両方)、電気設備が悪くなっている場合がある。 給排水管は30年以上経てば、建物の終焉まで使うつもりでむき出しで引き回し工事をやった方がよいと考えられる。 ガス管や電気設備も同様。例えば管理組合側で、縦管だけは組合で交換して、室内リフォームの際に、どうせ床の工事をやり直すのであれば一気に床下配管も代えるように周知しておいた方がよいと言える。 またガス管については、どのお宅でも団地の分譲当初より遥かにガス消費量の大きな器具を付けているのが一般的であるから、実は埋設部分の配管が細くて供給が間に合わないという事態も発生している。 その場合は東京ガスなどにも協力を仰ぎ調査してもらう事で、埋設ガス配管の交換が必要なのか見通しは出してもらえる。 この場合、団地全体として数百万単位での交換が発生することもある。 また古い公団分譲団地では、敷地が広い分、緑が多く、植栽剪定費用が非常に多くを占めている場合もある。 だいたい毎年100万から、なかには1,000万円以上かけている団地もある。 居住者の意思の問題もあるが、思い切って「事業仕分け」することをやれば、この費用はだいたい落ち着くラインに落ち着いていくことになる。 その他諸々も考えられるが、建物自体の寿命を延ばせる可能性もあるし、その場合、建替えは30年後になるとして、30歳で住めば60歳までは住むことが出来ることになる。 それ以降は、建替えて新しくなった団地に住むか、リタイアする歳であろうから、地方にでも永住すればよいとも考えられる。 作りの古さなどについては、建物の修繕時に改善を提案する他は、残念ながら目をつぶるしかない。 エレベーターがない事による、高齢化後の不安について。 これもエレベーターがないことはメリットと表意一体であるため、必ずしも悲観することはない。実際1〜3階までの部屋なら我慢できる範囲だと言えるため、その辺りの部屋がお勧めといえる。 とはいっても4〜5階にも住んでいる高齢者は多い。ただ、二人の話の結論としては1〜3階が一番手頃で良いだろうと一致した。 周りに高齢者が多い団地であるが、若い人も適度に入ってきて「代謝」はそれなりにある。高齢者が多いという事は、それに対応したコミュニティーや集まり、イベントも多いため、積極的に外に出て行けば、孤独死という事も防ぎやすいといえる。 そのためにも?なるべく外に出やすい1〜3階までで部屋を探す方が望ましいといえる。 「駅からの遠さ」については、実はいかんともしがたい。 もちろん通勤形態は多様であり、個人的な感覚なので、許容できる人に限定しての話だが、敷地が広い分駐車場も持ちやすいし、マイカー通勤が出来る場合もある。 また公共機関を利用しての通勤は、逆にマイカーより安全ともいえるので、割切って考えるしかないようだ。 廉価でマンションの所有権を得られる (1)で記述したように、分譲当初より大幅に販売価値が下落している古い公団分譲団地マンションであるが、逆にこれが「底値」ともいえる。 というのも、住宅である以上、なかなかこれ以上は金額が下がりにくいという現状がある。 確かに都外の公団分譲団地マンションでは300万円程度まで下がっているものもあるが、近隣住宅も割安というかなり悪条件がそろっているためでもあり、そもそも30年も経たないうちにその金額に落ちているという現状がそれを物語っている。 30年以上経って、金額も安定していて、近隣の新しいマンションや戸建て住宅も平均して高い水準を保っているところであれば、現状が底値に近いといえる。 また、 仮にリフォーム済みで800万円で手に入るとしよう。 このマンションを賃貸で借りた場合は、少なく見て7万円ほどである。 つまり、10年間部屋を借りた場合、70,000円×120ヶ月=840万円で、もうリフォーム済みの部屋を入手できるくらいの金額を払っていることになる。 これに住宅取得の様々な控除特典なども付く。 安く抑えた分は、室内はより凝ったリフォームをしても良いだろう。 別に10年間同じ場所に住むわけではないにしろ、賃貸だけでずっと賃料を払っていれば、一生払っていても住宅は手に入らない。しかし購入してローンで払う分には、それが手に入る。また、価値が下がらなければ、ほぼ同額に近い金額で売ることもできる。 人によってはすぐに終わるか、そもそも一括で買えるくらいの金額というのも魅力的といえる。 そもそも、ローンだけでなく毎月の管理費・修繕積立金を支払っていかなければならないのがマンションであるが、管理費・修繕積立金だけでなくローンの金額も、毎月賃貸で支払っている料金(仮に7万円として)より安めであれれば、お手軽といえるのではないか。 前提として、立地、部屋の間取り、管理状況、修繕積立金の総額、長期修繕計画、部屋の階数を確認して、十分許容できる範囲であれば 古い公団分譲団地マンションは、十分「買い」といえる。 これはあくまで、建物をずっと管理していく側の立場で見てきた経験だけれども、確実にそういえる。 少なくとも、自分としては社宅に住める期限が切れて、まだ東京での勤務が続くようであれば、購入を真剣に検討してみたいと思った。
老後は実家に土地と家があるし、尚更確実にそう思う(苦笑) |
過去の投稿日別表示
[ リスト | 詳細 ]
2010年10月09日
全1ページ
[1]
|
(1)からのつづき。
ではこの様な古い公団分譲団地マンションを購入することで、どのようなメリットが考えられるのか。
あるいは、先に挙げたデメリットをどう克服するのか。
まず一番のメリットは、お金があまりかからない事だといえる。
築年数からいって細かい修繕は多いものの、実は概して一般のマンションより管理費・修繕積立金費は少なく済む。
設備については、機械ものの劣化が一番怖いが、幸いなことに、この手の団地は「設備」が極端に少ない。
通常のマンションに設置されているエレベーターがないので、当然入替えも必要ないし、保守点検料金や電気料金もかかっていない。この点、デメリットである「エレベーター無し」が逆にメリットになっている。
エレベーターの保守料金は、サービス内容や規模にもよるが1基当たり月30,000〜100,000円ほどである。他にも築25〜35年に想定される、エレベーターのリニューアルや交換工事は500万〜1,500万円かかる。当然毎月の電気料金もかかっている。
他にも、通常はあるはずの給水設備もない。
団地造成時に、地域の水道圧を高めてマンションの5階まで水道管の圧力で供給できるようにしてあるためである。当然その圧に耐えうるような給水管の仕様になっている。
そのため、給水ポンプ保守点検料金や、ポンプ維持・交換費、電気料金がかからない。受水槽などもないため、受水槽清掃費、法定検査料金もかからない。当然その交換費用も勘案しなくて良い。
この辺も毎年2〜6万円の保守点検料金、100万円ほどの交換費用、200万円以上する受水槽の交換費なども必要ない。
消防設備も最小限のものしかない。
法定での保守点検が要らない程度の設備しかないため、保守料金がかからない。当然腐食や機能不全による点検指摘や、交換費用も発生することはない。
これでもバカにならない金額が浮くことになる。
また一般的に建築基準法で実施することになっていて、東京都条例により実施年が決まっている、建築設備定期検査(年1回)や特殊建築物定期調査(3年1回)というものがある。
これも、当該団地マンションでは、前者は非常用照明や給水設備がないため免除されているパターンが多い(以前は換気設備検査もやっていたが現在は免除のため)。
後者の特殊建築物定期調査だけは、以前から該当しているマンションでは免除にならない。
但し建物の構造がシンプルなため、一般のマンションより調査費用が安くすむ。(一般的に10万以上→3万円程度)
駐車場が、敷地のみでメンテナンスフリーの場合が多いのも魅力だ。
一般のマンションには機械式駐車場(立体駐車場)が設置されている場合が多い。
これは新規で分譲する場合には、世帯数に対して一定の駐車場数を確保しなければならないためで、狭い敷地内を上手くやりくりして、駐車場を設置しているところもある。
この場合も、毎回の保守料金、電気料金、20年以上経った後の機械交換料金がいずれ必要になってくる。
最近は、マンションに関するテレビ・雑誌の特集で、機械式駐車場を維持して交換する際にいかに大きなお金がかかるかという事が喧伝されたため、よく知られることになったが、将来何千万のお金がかかる事が既に想定できる。
幸いなこと?に、古いタイプの公団分譲団地マンションでは、敷地がやけに広い場合がほとんどだ。
そのため、メンテナンスも要らない、敷地内駐車場を使用することが出来る。当然、管理組合としてかかる費用もない。(正確には、敷地が広い分、個人が固定資産税をちょっぴり多めに支払ってはいるが)一般よりお得といえる部分である。
テレビの共同視聴アンテナについては、最近では地域のケーブルテレビ会社に全面無料化廉価で委託しているパターンが多いため、維持費や緊急対応費を考えなくて良くなってきている。
地デジ対策もCATV会社によって無償で対応してくれるパターンが多いし、CATV会社でも、無償(廉価)で地上派を放送し、維持費用を負担したとしても、有料放送への加入者が何割か見込めれば採算は取れているようだ。
他にも、一般に考えられるような、自動ドア、オートロックの集合玄関機、宅配ボックス、警備会社のセキュリティーサービス、などなども必然的にないため、メンテナンスフリーで、維持費も交換費用もかからない。
設備が無い分、不便だから安くなっているだけでは、という事も言えるが、
賃貸としてではなく、長期的なマンションを所有する場合はこういった費用削減という観点も重要だと考える。
おかげで、こういった古い公団団地の管理費・修繕積立金は驚異的ともいえるほど安い。
設備はわかるとして、建築的な劣化はどうか。
劣化自体は建物を造っている時から生じるものであるから、年数を経て劣化するのは当然でもある。
建築的な観点の劣化は、メンテナンスで適切な時期に修繕を行うことで、寿命を延ばしていく事になる。これは一般のマンションと変わらない。
しかし総じて、
マンションに設備があまりない → 管理組合の保守費・修繕費が安い → 組合員の毎月負担額が安い
という流れは理解していただけると思う。
|
|
昨夜も仕事が長引き、上司の山(「さん」と呼ぶ)さんと、出かけてしまったエビ川さんの帰社を待っていたのだが、帰ってこなかったため、自分が自宅まで送っていくことになった。
車中は、現状の仕事に対する見方(山さんは4月に異動してきたばかり)から、現代の住宅事情、今山さんが住んでいる団地へと話題が進み、不意に得た機会であったが、そこでとても刺激的でアクチュアルな議論の機会があった。
というわけで、以下、メモ的に記録しておこう。
築30年以上の分譲マンションの団地があるとする。
団地での部屋数は300程度。部屋の広さは50㎡ほど。5階建てで、エレベーターはない。
階段を上っていって、踊り場で向かい合うようにお互いの家の玄関がある、典型的な公団住宅だ。
部屋の間取りも古いタイプで、上下左右両隣の音も平均よりも『聞こえ易い』。
駅からも近いわけではなく、バスと徒歩を併用して向かわなければならない。
このタイプのマンションは、当然今ではほとんど価値がないと言われている。
まず築年数が30年越えであれば、かなり建物自体が劣化している感じを受ける。
設備系の劣化は言うに及ばず、建築的に見てもヒビや色あせ、作りの古さがあるのは否めない。
新築マンションが、2〜5年ほどで販売価格が半額以下になるといわれる世の中である。
その中で築30年以上という建物の価値がいかほどのものか、想像していただきたい。
その延長で、遠くない将来、建物自体の寿命が尽き(概ね60年と言われている)、建替えを検討しなければならなくなる。
その際には建替え計画によっては、大きく自己負担を求められるかもしれないし、そもそも建替え計画が所有者一体で上手くまとまっていくという保証もない。大規模な団地になってくると、所有者の意思統一が難しい傾向が更に強くなる(管理組合での建替え決議には5分の4決議である)。
またお年寄りには不向きともいわれる。
1〜3階までは良いかもしれないが、エレベーターがないため、上階になればお年寄りにはキツくなる。実際、こういった団地では居住者の大半がお年寄りで、超高齢化しつつあるが、上階に住んでいるお年寄りが出歩くことがまったく無くなり、孤独死するパターンも最近増えてきている。
駅からの遠さも、嫌煙される要因だ。
「遠い」「近い」は個人差がある感覚的な概念のため、一概には言えないが、「遠く」感じられる場所に位置していることが多い。
これは政策的に、団地設置と周辺開発を念頭に置いたためと考えられる。実際1000戸単位の団地を開発すれば、1戸あたり2〜3人住んでいると考えれば、2〜3000人の住民を想定できる。
一つの街ができあがるようなものであるから、商店や学校、郵便局、銀行の出張所なども同時期に設置されている。
この規模開発が出来る土地は、必然的に駅から遠いところにしか空いてない。
そしてだいたいはバスなどの交通機関の発達でそれを補う計画とセットになっている。
そしてこれが、通勤する人には嫌煙される要因にもなる。駅からの通勤時間だけでも30分以上あるのが普通だとすると、駅までの時間も30分以上を考えると、それだけで片道1時間以上になる。
また、帰りの終バスの時間が早く終わる所もある。
ということで、この手の団地の分譲当初2500〜3500万円ぐらいだった販売価格は、30年を経て700〜1300万円となっている。
競売物件や、孤独死などの事故物件であれば500〜600万円後半ぐらいにもなっている。現代風に室内をリフォームしたとしても800〜900万円ほど。
売る側としては、ほとんど価値が無くなったと感じやすい価格帯になってしまっている。
こういった公団分譲団地以外の、もう少し建物が「若かったり」、EVが付いていたり、もっと部屋が広かったり、駅から近かったりするマンションでは、ここまでの値下げ率はない。2000万円を切る場合はあっても、1800万円程度から、都心であれば3000万円を超えているものもある。
そう考えると、いかにこの手の団地の販売価格が下がっているのか、おわかりいただけるだろうか。
しかし買う側にとって、この手の分譲団地を買って住むことは、実はお得ではないか?
前置きが長くなってしまったが、これが山さんとの議論テーマだ。
|
全1ページ
[1]


