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久しぶりに時間ができて音楽を聴くことができた。
すこし前から無性にベートーヴェンの中期のソナタを聴きたくなった。
CDラックの中からウィルヘルム・ケンプのベートーヴェンソナタ全集を見つけた。
テンペストやアパッショナートは耳にイメージが出来上がってしまっていて、・・。
音楽の味わいにも、磨耗という概念があると言ったら言いすぎであろうか。
どんな名演奏でも、やがて耳に突き、耳に障るようになる。
悲しいかな、最初に聞いたときの感動は二度と戻ることはない。
初恋の如く、よき思い出となり、たまに夢の中で甦るに過ぎない。
Beethoven Sonata 19 in G minor Op49-1
この10分足らずの2楽章のソナタに今夢中だ。
ベートーヴェンの若き日の情熱の光と陰を見ることができる。
もっと人気が出ても・・、いやこのまま、いつまでも野に咲く可憐な花でいて欲しい。
ベートーヴェンという人が貴族社会に飽き足らなかったのはよく分かる。
この比較的手垢の付いていない、小さなソナタだからこそ伝わってくるものかも。
モーツアルトのようで絶対モーツアルトではない。
自分で積み上げて作り上げたものから生まれる火照りのようなものか。
彼の若きエネルギーに癒される自分が心地よい。
しかし、聴き過ぎるとすぐ無くなってしまう、まるで芳醇なワインのようだ。
大切に楽しもう。
貪ることなく、思いを残すことがないように。
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