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寺島しのぶは、現在最も注目を集めている女優の1人でしょう。 そして、もしかするとこれから更に注目を集める女優になるかもしれません。 御存知の通り、彼女は父は七代目尾上菊五郎、母は冨司純子という「二世」であり、父方の祖父は七代目尾上梅幸、母方の祖父は東映で多くの任侠映画を手掛けたプロデューサーの俊藤浩滋、そして弟は当代尾上菊之助という、文字通りの俳優・演劇一家に生まれ育った人ですが、僕がこの人を最初に観た時の印象は、はっきり言って「最悪」でした。というのは、デビュー当時、母親とCMで共演していたのを見て、「この人は自分の顔を鏡でちゃんと見たことがあるのだろうか?」と、今考えると失礼極まりないことを本気で思ったものでした。当時は所謂「二世」ブームで、その恩恵を蒙る形で芸能界にデビュー出来たのではないかと、これまた失礼千万なことを思ったりもしました。 しかし、実際には青山学院大学文学部在学中の1992年に文学座へ入団。文学座に入るにあたっては、当時の看板女優だった太地喜和子にも相談したといいます。「将来の文学座の看板女優候補」と言われ、大先輩の杉村春子からも目をかけられていたというから、当時から既に「見所」のある存在だったのでしょう。その文学座は96年に早々と退団しますが、その後もヘレン・ケラー役で出演した『奇跡の人』(1997年)を始めとして数々の舞台に出演し演技の幅を広げ、数々の演劇賞を受賞します。舞台中心に活動する一方で、テレビでは大河ドラマ『琉球の風』(1993年)『八代将軍吉宗』(1995年)などに出演しますが、あまり多くはなく、そのため一般的な知名度は低かったと言わざるを得ません。 ここまでどちらかと言えば「地味」な女優だった寺島しのぶが、突如「大化け」したのは2003年のことで、この年公開された『赤目四十六瀧心中未遂』(荒戸源次郎監督)と『ヴァイブレータ』(廣木隆一監督)という2つの映画に出演。大胆なラブシーンに挑戦したり、自分の体に刺青の刺繍を入れるなどの徹底した役作りで一躍注目を浴びることになります。特に後者については、母親から猛反対を受けてあわや「絶縁」まで追い込まれたそうです。以後、映画でも数々の話題作に出演。テレビでは、池波正太郎原作の時代劇『剣客商売』の女剣士・佐々木三冬役で、これも2003年から登場。そして、今年放送された朝の連続テレビ小説『純情きらり』では「笛姉ちゃん」こと有森笛子役で出演。むしろ、この作品で一般的な知名度を上げたと言えるのかもしれません。来年は話題の映画『愛の流刑地』の公開が予定されており、更に注目を集めることは間違いないでしょう。 初めにも書きましたが、寺島しのぶという人は決して「美人」とは言えないかもしれません。しかし、最近の彼女の顔を見ていると、実に「いい顔」になったと感じます。単に演技が優れているだけでなく、人生の積み重ねや内面の充実感が、そうした印象を感じさせるのでしょう。現代を描いた作品も、新派のような古風な作品も似合う人なので、これからも舞台・映画・ドラマでの活躍が続くと思います。
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