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新しい年の始まりと同時に、1月7日から放送が始まった大河ドラマ『風林火山』。 去年の暮れに、「期待と不安を両方抱いている」という旨について書きましたが、スタートから1ヶ月が経った時点での感想をありのままに書いてみようと思います。 結論から言えば、当初の予想以上に僕の中では好感触です。『風林火山』は、井上靖の原作も読んだことがあり、また昭和44年に公開された三船敏郎主演の映画版(稲垣浩監督)も観たことがあります。今はいわば「オリジナル」の物語ですが、それでもしっかりとしたドラマになっていると思います。 大河ドラマでは、戦国時代を舞台にした作品は「定番」となっていますが、ここ最近の作品は率直に言って不満の多い作品が続きました。『利家とまつ』(平成14年)は、ひたすら前田利家の妻・まつ、と言うよりも、演じる松嶋菜々子を目立たせるだけ目立たせて、本当の主人公であるはずの唐沢寿明演じる前田利家さえも蔑ろにするかのようなドラマの展開に、正直辟易してしまいました。去年の『功名が辻』(平成16年)は、初めは「『利家とまつ』の二の舞」を危惧していましたが、ヒロイン・千代の仲間由紀恵と、夫の山内一豊を演じた上川隆也の演技もあって、それよりはかなりマシな作品にはなっていたと思います。しかし、1年間の長丁場である大河ドラマの題材としては、少々「弱い」という印象が拭えず、また、関ヶ原の合戦を経て、土佐入国後の一豊・千代夫婦の描写も悪くはなかったと思いますが、いまひとつ盛り上がりに欠けていたようにも感じられました。 『風林火山』に話を戻すと、久しぶりに「『骨太』なドラマ」という印象を感じます。戦国乱世という激しい時代が持つ荒々しさやその時代に生きる人たちの逞しさや悲哀、それに、主人公を下手に美化することなく描いているところにも好感が持てます。先日2月4日に放送された第5話「駿河大乱」では、大河ドラマに限らず滅多に映画やドラマでは取り上げられることのない、天文5年(1536年)の駿河今川家のお家騒動、いわゆる「花倉の乱」が大きなテーマとなっていて、大河ドラマファンとしても、歴史好き人間としてもより興味深く見ることが出来ました。 俳優陣は、全体的に地味で渋い顔触れのようですが、しかし良い役者を揃えていると思います。主人公・山本勘助を演じる内野聖陽は、己の腕と才覚で戦国の世をのし上がって行こうとする野心を持つ一方で、恋人を殺され、実の兄と斬り合う悲哀も背負う、これまでとは異なるイメージの勘助像を好演しています。その勘助が仕える武田晴信、後の信玄を演じるテレビドラマ初出演という歌舞伎俳優の市川亀治郎は、台詞回しがいかにも歌舞伎調ですが、凛々しく風格のある「若殿」ぶりがハマっています。 助演俳優に目を転じると、板垣信方役の千葉真一、今川義元役の谷原章介が印象的です。武田家臣団は個性豊かな俳優を揃えていますが、その中でも千葉真一の存在感は流石に際立っています。勘助との立ち回りのシーンは迫力満点。一方の谷原章介も、見かけはおっとりとした風情ながら凄味のある切れ者ぶりを披露。いわば、この2人からは「動」と「静」のコントラストが感じられます。 これからドラマは本格的に動き出していきますが、今のところ、久しぶりに「次回が楽しみ」と思う展開となっているので、1年間このペースを維持してくれればと思います。
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