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独断偏見「寅さん」ランキング「作品編」。 ベスト20作品をランキングしていますが、ここでは上位10作品の寸評を書いて行きたいと思います。 1位 『男はつらいよ』:この作品があったからこそ、後の47作品があった訳で、その意味でも間違いなくトップにランクされる作品。寅さんの帰郷、さくらと博の結婚、寅さんの最初の失恋などあらゆるエピソードを詰め込んで、名場面も盛り沢山。しかもそれぞれ過不足なく描いているのはお見事。 2位 『寅次郎相合い傘』:寅さんと浅丘ルリ子扮するリリー松岡の再会編。ファンの間でも「最高傑作」の評価が高い作品。寅さん、リリー、それに船越英二扮する蒸発男・兵頭の北海道3人旅やとらやでの「メロン騒動」など全体が名場面といった趣。寅さんとリリーが結ばれそうで結ばれずに終わるラストが切ない。海賊タイガーが活躍する冒頭の夢のシーンや、さくらがメインのオープニングもいい。 3位 『寅次郎忘れな草』:こちらはリリー初登場編。「似た者同士」といえる寅さんとの出会いと、2人で船出する父親を見送る家族の姿を見るシーンはしみじみとした雰囲気が漂う。「自分はあぶくのような人間」と悟った寅さんが一念発起して北海道の酪農家の家に住み込み、「地道な労働」に励む顛末が笑える。 4位 『寅次郎夕焼け小焼け』:太地喜和子扮する芸者ぼたんも良いが、それ以上に日本画家・池ノ内青観を演じる宇野重吉と、そのかつての恋人・志乃を演じる伝説の女優・岡田嘉子の存在感が光る一編。2人が語り合う「後悔論」は、特に岡田嘉子の実人生を知ればより味わい深く感じる。 5位 『望郷篇』:山田洋次監督が「完結編」のつもりで作ったのが、結果的にシリーズが定着するきっかけとなった一編。テキヤ稼業の哀れな末路を目の当たりにして、「額に汗して働くことの尊さ」を痛感しながら、結局それに馴染むことの出来ない寅さんの姿がおかしくも哀しい。マドンナ・節子を演じたのは、テレビ版でさくらを演じた長山藍子。 6位 『柴又慕情』:おいちゃん役が初代の森川信から2代目の松村達雄に交代しての1作目。冒頭の夢のシーンの定着や、マドンナ・歌子役に吉永小百合を起用するなど、『男はつらいよ』という映画がメジャーとしての地位を完全に確立したのは、実はこの作品だったのではないだろうか。 7位 『寅次郎ハイビスカスの花』:リリー3度目の登場編。病気のリリーを見舞うために沖縄へ行くことになった寅さんが、飛行機に乗るか乗らないかで大騒ぎする場面は爆笑もの。終盤、寅さんがリリーへ「俺と所帯を持つか?」と告白するが…。それを受けてのラストシーンがいい。 8位 『知床慕情』:「あのミフネが寅さんと共演!」と上映前から話題になった作品。黒澤映画などで世界的にも評価されながら、晩年は不遇であった三船敏郎の俳優人生後期の代表作と言えよう。寅さんがとらやの跡継ぎとして不適任であることが決定的となった作品でもある。 9位 『浪花の恋の寅次郎』:今以上に綺麗で色っぽかった頃の松坂慶子が満を持してのマドンナ役。着物姿も関西弁もはまっていて、冒頭の夢のシーンでは「乙姫様」として登場。生粋の東京の芸人である渥美清と、芦屋雁之助、大村崑、六代目笑福亭松鶴ら関西喜劇勢との共演も見物。満男が吉岡秀隆に交代したのもこの作品。 10位 『寅次郎紅の花』:今思えば、山田監督も渥美清も、「これが最後の作品」と覚悟を決めて撮影に臨んだのかもしれない。リリーを久々に登場させたことからもそれが伺える。寅さんの姿から、渥美清=田所康雄の「老い」と「衰え」が垣間見えてしまう作品。この作品が最終作となったことは、シリーズ全体にとっても良かったと思っている。 以上、ここまで上位10作品の寸評を書いて行きました。残り10作品の寸評と、選に漏れた中で個人的に気に入っている作品については、また次回に紹介します。
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