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昭和から平成へと年号が変わり、1980年代から90年代へと時代が移っていく中で、テレビの時代劇の放送枠が徐々に少なくなっていったことは、非常に寂しく思います。 そうした流れの中で、フジテレビの水曜夜8時台の時代劇枠は実に貴重な枠でした。 かつては大川橋蔵主演の『銭形平次』が、昭和41年から59年にかけて、延べ888回に渡って放送されていたフジテレビの水曜8時枠は、『銭形平次』終了後は、今でもファンの間では人気が高い大映テレビ制作のドラマが放送されていましたが、年号が変わったことに合わせるかのように、平成元年4月に始まった大地真央主演の『女ねずみ小僧』から再び時代劇枠として復活し、その後番組として始まった中村吉右衛門主演の『鬼平犯科帳』以降、完全に定着したと言えます。 『鬼平犯科帳』と並んで、この時間帯の看板とも言うべきシリーズだったのが、北大路欣也主演の『銭形平次』(平成3年〜10年)。放映回数はさすがに大川橋蔵版には遠く及びませんでしたが、北大路欣也自ら有名な主題歌を歌い、また、橋蔵版で作られた作品をアレンジするなど、過去の財産を大事にする形で番組作りが行なわれていたそうです。北大路欣也は水曜8時枠の常連俳優で、『銭形平次』の他にも、大石内蔵助を演じた『忠臣蔵』(平成8年)、諸国で起こった事件を探索する幕府大目付の活躍を描いた『隠密奉行・朝比奈』(平成10年〜11年)に主演し、また、火曜夜8時台に時代劇枠が移動してからは、時代劇の大スターだった父・市川右太衛門の当たり役だった『旗本退屈男』(平成13年)に主演しました。 この他に印象に残っている作品は、役所広司主演の『八丁堀捕物ばなし』(平成5年〜8年)と、渡辺謙主演の『御家人斬九郎』(平成7年〜12年)。『八丁堀捕物ばなし』は、「遠山の金さん」として知られる遠山左衛門尉が奉行を務めていた頃の北町奉行所を舞台に、役所広司ら定町廻り同心が事件を追う姿を中心に、彼らの日常生活も丁寧に描いていました。この作品では、いかりや長介扮する臨時廻り同心(第一線を退いたベテランの同心)の語りで物語が進行し、その語り口も印象に残っています。 『御家人斬九郎』は、『眠狂四郎』などを書いた柴田錬三郎の原作で、名門の家ながら貧乏で無役の「御家人斬九郎」こと松平残九郎が、毎回難事件に巻き込まれたり、危ない橋を渡る破目になったりする姿を描いたもので、岸田今日子演じる食い道楽でわがままな母・麻佐女や、若村麻由美演じる残九郎とは相思相愛の芸者・蔦吉など脇役陣も個性豊かで、ゲスト出演者も豪華で充実していました。 先ほども書いた通り、フジテレビの時代劇枠は、その後水曜夜8時台から火曜夜8時台に移動しますが、ここでも『怪談百物語』(平成14年)や『大奥』(平成15年)のように、普段時代劇には興味を示さない層まで取り込むことに成功したことも付け加えておきます。 フジテレビというテレビ局は、「トレンディー・ドラマ」を先駆けた影響もあって、そうしたタイプのドラマのイメージが強いようですが、それと並行する形で質の高い時代劇を作り続けてきたことは、大いに評価すべきだと思います。最近では、『大奥・第一章』(平成16年)が話題を集めたり、今年に入って『鬼平犯科帳』がスペシャルで復活したりしていますが、レギュラーでの時代劇枠は今はありません。またいつか時代劇の枠が復活してくれることを祈っています。
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