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ビデオやDVDで、昔の大河ドラマも気軽に見ることが出来る時代になりました。といっても、1970年代後半までの作品は、VTRテープが現在とは比較にならないほど高価だったこともあって、本編が全て残されている作品は殆どないそうです。 『国盗り物語』(昭和48年)は、僕が生まれる2年前の大河ドラマですが、やはり本編が全て残ってはおらず、現在ビデオやDVDで見ることが出来るのは、前・後編の2部構成による「総集編」のみです。 『国盗り物語』は、司馬遼太郎の同名小説が原作で、脚本は大野靖子。油売りから一国一城の主となり、「蝮」と恐れられた斎藤道三と、彼の遺志を別々の形で継承した織田信長と明智光秀を主人公に、群雄割拠の戦国乱世から天下統一へと突き進む時代と、その時代に生きた人々の生き様を描いた作品です。戦国時代は大河ドラマでもすっかりお馴染みですが、本作品はその中でも極めてオーソドックスな主人公とストーリーと言えるでしょう。ドラマでは、『国盗り物語』の他に、豊臣秀吉を主人公にした『新史太閤記』、紀州雑賀衆の頭領・雑賀孫市の生き様を描いた『尻啖え孫市』、忍者の生き様を描いた『梟の城』、それに来年の大河ドラマの原作でもある、山内一豊夫婦が主人公の『功名が辻』など、戦国時代をテーマにした司馬作品をサブストーリーに織り込んで、より厚みのある内容になっています。 ストーリーですが、前半の「道三編」は、一介の牢人・松波庄九郎が京都の油屋を経て、美濃一国の主・斎藤道三となるまでがテンポ良く描かれていて、その過程は決して暗い雰囲気はなく、むしろ爽快感さえ感じられます。後半の「信長・光秀編」は、共に道三の志を受け継ぎながら全く異なる個性を持った二人が、「本能寺の変」へと追いやられていくまでが描かれています。 出演者も大河ドラマらしく豪華で多彩な上、当時の新進気鋭の若手俳優が多く起用されています。 男性陣は斎藤道三が平幹二朗、信長が高橋英樹、光秀が近藤正臣、木下藤吉郎(後の羽柴秀吉)が火野正平。その他、杉良太郎(浅井長政)、林隆三(雑賀孫市)、寺尾聰(徳川家康)、江守徹(黒田官兵衛)、竹脇無我(足利義輝)、伊吹吾郎(細川藤孝)。女性陣は道三の油屋時代の女房・お万阿を池内淳子、道三の娘で信長の正室・濃姫を松坂慶子が演じている他、山本陽子(道三の正室・小見の方)、三田佳子(道三の愛妾・深芳野)、松原智恵子(信長の妹・お市)、中野良子(光秀の妻・お槙)などの顔触れです。ただ、太地喜和子が演じたという秀吉の妻・寧々が総集編では登場していないのが残念です。 また、道三の宿敵でもある信長の父・織田信秀を千秋実、道三の「国盗り」に利用される美濃の国主・土岐頼芸(よりよし)を金田龍之介、光秀の奔走で室町幕府15代将軍となるも、信長打倒を画策して逆にその座を追われる足利義昭を、当時「性格俳優」として活躍していた伊丹十三、信長暗殺に執念を燃やす伊賀忍者・葛籠重蔵を『太陽にほえろ!』の「山さん」でお馴染みの露口茂、そして、信長を脅かす甲斐の武田信玄を大友柳太朗の各ベテランが演じ、更に、来年の大河ドラマの主人公である山内一豊・千代夫婦は東野英心(当時は東野孝彦)と樫山文枝が演じています。 『国盗り物語』の主人公である道三・信長・光秀の3人は、共に志半ばにして非業の死を遂げ、天下統一の事業は、この作品では脇役の秀吉や家康によって完成されます。戦国時代を扱った大河ドラマの中でも最もオーソドックスと言える本作は、同時に夢や野望に燃えながらも果たすことが出来なかった男たちの生き様を描いたドラマとも言えます。総集編だけでも見応え十分な作品なので、リアルタイムで本編が見たかったと思っています。
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