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気づいたらリタイアして10年過ぎていた。
体感ではせいぜい2年くらいしか経ってない感覚しかない。
働いていた頃の1年は随分長く感じたものだが、リタイア後 の日々はあっという間に過ぎていく。
と言っても、そこまでいい意味で言っているのではなく、
特に何の変りもない平坦な日々を大過なく過ごせば、そんな感覚に
なるんだろうな、という程度の意味で、ポジティブな意味ではない。
特に、オレの場合は若い頃から給料が高く、早期リタイアできる仕事を
選んだ。給料が高いってことはもちろんそれだけ忙しいわけで、働いて
いる間は、ほぼジェットコースターを休みなく乗り続けるような、そんな毎日。
その反動か、今の、静かで平坦な日々は一週間が二日くらいで終わる
ような感覚であっという間に過ぎていく。
働いていた頃は、今の日々を獲得することを毎日夢見て生きていたので、
夢が叶っている状態なわけだが、想像とは一つだけ大きく違う点がある。
実はもっと幸福感があるものと思っていたのだが、正直、完全に無味乾燥なのだ。
良くも悪くもなくフラット、本当に平坦。リタイア直後は経済的に本当に大丈夫 かどうかの不安があって、投資とかして一喜一憂したこともあったが、
実際には独り者で5000万も貯金があれば、はっきり言って余裕すぎるくらい
の余裕があることを、身をもって知ることができた。
最低1億円貯まるまでリタイアするなと多くの人に言われたが、よっぽど
贅沢な暮らしを続けるとか、妻子がいるとかでない限り、そんな大金、
まったく必要ないということだけは10年無職で過ごしたオレが断言できる。
つまりあの言葉はリタイアさせないための言葉だったのだな、と今頃理解した。
10年経っても、貯金は2割減っただけ。そもそも、贅沢したかったり、妻子がいたら
リタイアなどせず、観念して子会社や孫会社からも不要とされるまでしがみ続け、
俗物の限りを尽くして生きただろう。自分が手にできるカネを人生ギリギリまで
追い求め、会社の金で贅沢して過ごす。あまりカッコイイ生き方とは言えないが、
日本の社会でそれができるポジションまで行けばそうするのが普通の生き方だし、
家族にカネを遺せる人間こそが死ぬ瞬間まで形だけでも大事にしてもらえて、
周囲にも恥ずかしくない葬式を出してもらえるのだ。
オレの場合、そういう生き方を選ばなかったので、社会的には哀れな末路と
なるだろう。どんな終末になるのかわからないが、たぶん孤独死は避けられない
だろうと想定しているので、せめて死後に関係各所に迷惑がかからない準備だけ
はしておかなければならないと思って、少しずつ手をつけている。
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