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原則として「聖書でドイツ語」では、Luther 2017と新共同訳を使い、2018年12月からは聖書協会共同訳も利用しています。

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大学4年から始めた卒論では、研究分野の特徴から、英語に加えてドイツ語の化学論文や書籍を多く読み、
研究室のセミナーでもドイツ語フルペーパーを紹介するなど、化学分野だけだが経験を積んできた。

ドイツ留学中は、生活や会話に関するドイツ語も実地訓練のように学んだし、
帰国後はドイツ語を話す機会はなくなったものの、ドイツ語翻訳者として収入を得るまでになった。

翻訳では教育制度などの自然科学分野以外も依頼があるので、ドイツ語の新聞や雑誌の記事を読んでいる。
様々な単語や表現を勉強しているが、私はドイツ語専門ではないので、知らなかった文法項目に何度も出会う。

今回は 「代名詞 es」 について、色々と調べることになった。
どうやら、「定動詞と呼応しない代名詞 es・名詞(主格主語)の相関詞としての es」 と思われる。

自然科学分野の最新ニュースを伝える wissenschaft.de をチェックしていたら、
ダウン症でがん発症率が低いのは、21番染色体由来のタンパク質が血管新生を抑制するからだとあった。
http://www.wissenschaft.de/wissenschaft/news/303798.html

私の姉がダウン症だから、この解説記事に注目した。
Nature のオンライン速報版に出たその論文を来週読んで、姉のためにも理解しようと思う。
http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature08062.html


ドイツ語の話に戻ると、この解説記事を読んでいて、代名詞 es について疑問を持った。
記事の最後の段落には、次のような文がある。

Da es nur sehr wenige Menschen mit Down-Syndrom Krebs bekommen, vermuten die Forscher,
dass die Gene des Chromosoms 21 einen nahezu vollständigen Schutz vor Tumoren bieten.
「ダウン症のヒトががんになることは非常にまれなため、21番染色体の遺伝子が腫瘍に対する
ほぼ完全な防御を与えていると、研究者は推測している。」

da 副文の定動詞は bekommen であり、es に対応する bekommt ではないので迷った。
主語は nur sehr wenige Menschen mit Down-Syndrom、4格目的語は Krebs で、es が余ってしまう。
最後にある dass 副文を受けるわけでもなく、この es はどのような役割なのか気になった。

これは自己流解釈だが、「後に出てくる主語を先取りした、主格主語の相関詞としての es」 とした。
「定動詞と呼応しない代名詞 es」 ということで、主語の複数に合わせて動詞は bekommen なのだろう。

三修社「現代ドイツ文法」の451ページには、次のような例文が出ていた。

Es sind in der letzten Zeit mehrere Unfälle passiert.
「最近事故がいくつか起きた。」

ただし、どのような場合に、こういった es の使い方をするのか、書いていないのでわからなかった。
今回の da 副文は es がなくてもよさそうだが、主語が長い名詞句になるときに使うのだろうか。

探してみると、es の用法に関するドイツ語文法の論文もあるようだが、そこまで調べなくてもいいだろう。
それにドイツ人だって、どうしてこのような使い方をするのか、きちんと説明できないだろう。
例えば、留学中に doch の使い方を質問して、同僚は皆困っていたし。
理屈ではなく習慣だから、と考えることにして、ドイツ語の勉強を続けよう。

  • 顔アイコン

    こんばんは
    おそらく推察のとおり主語の先取りだろうと思います。副文内なのでわかりづらいですが。
    主文なら
    Es bekommen nur sehr wenige Menschen mit Down-Syndrom Krebs.となるんでしょう。
    これだとわかりやすいですね。

    どういう場合にes を立てるか、語学の専門家なら説明できると思います(私は文学なのでこれ以上の説明ができません。すみません)。

    ほかの可能性はあるでしょうか。
    考えてみます。

    [ めりあ ]

    2009/5/23(土) 午後 6:36

    返信する
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    コメントありがとうございます。
    「訳さない es」の場合が色々とあるので、やはり勉強は一生続くものですね。

    もしかすると、長い名詞句の主語が文頭に来ることを避けるため、主文ならば Es bekommen ... とするのかもしれません。そして副文で Da es .. bekommen, になっても es は残るということでしょう。

    このあたりは、ドイツ語ネイティブの感覚の範疇なのだと思います。私が独作文をしても、こういった使い方は思いつきませんし。

    また、ドイツ人の同僚は、「doch の用法だけで博士論文が書ける」 と言っていましたが、「es の用法」 の博士論文もありそうですね。読むのは苦労しそうですが。

    [ ドイツ語好きの化学者 ]

    2009/5/23(土) 午後 6:59

    返信する
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    お邪魔します。最近こちらのブログを読ませていただきょうになりました。いつも勉強になり、感謝しています。
    さて、esの件ですが、mar*mo*rar*7*7さんと同じで、後続の語句を先取りするesの用法だとおもわれます。どうして先取りするかというと、お察しのとおり文頭にあまり大きな主語が来るのはスタイル上みっともないというか、好ましくないということがあるようです。(ドイツ人が)読んですーっと理解しやすい流れにする、というんでしょうか。 削除

    [ translife ]

    2009/5/25(月) 午後 0:03

    返信する
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    ご訪問ありがとうございます。
    そういえば主語が長い場合は、副詞などを文頭にしていますね。通常は ueberraschenderweise などを置くのでしょうが、今回は文頭に持ってくる成分がないため、es で埋めているのでしょう。

    自然科学の記事を読んでいるのに、様々な文法項目が出てくるので、いつまでも勉強は終わりませんね。

    [ ドイツ語好きの化学者 ]

    2009/5/25(月) 午後 7:36

    返信する

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