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原則として「聖書でドイツ語」では、Luther 2017と新共同訳を使い、2018年12月からは聖書協会共同訳も利用しています。

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定期購読している「通訳翻訳ジャーナル」2019年春号が届いた。
書店では明日21日発売だが、いつも1日前に郵便で届くので、少し得した気分だ。

そして今回の号の特集は、
今もこれからも、求められる人材になるために 
−「通訳者・翻訳者がやるべきこと
http://tsuhon.jp/book/7290

私が関わる翻訳分野では、やはり最近話題の機械翻訳への対応が挙げられている。
実際に英日特許翻訳では、機械翻訳+ポストエディットのプロジェクトに参加しているので興味がある。
これから特許翻訳に取り組もうという翻訳者もいるので、今後の予測と共に、読むべき記事だと思う。

本日読んだのは次の2つ。
1) 井口耕二 「道を拓く 何をどう考え、どちらに進むべきなのか」
2) 河野弘毅 「機械翻訳の時代に活躍できる人材になるために」

1) については、執筆者のブログでも紹介している。
buckeye.way-nifty.com/translator/2019/02/post-0853.html

他の媒体と同様に、この記事でも機械翻訳に対する私見が書かれている。
「自分の道は自分で選ぶ」ということで、機械翻訳を使わないことを選んでいるのであって、他の翻訳者が有名翻訳者の私見をそのまま信じ込むことがないことを祈りたい。

機械翻訳を選ばなかった理由として、本当のところはわからないとしながらも、「MTの出力文を読み続けると言語感覚が狂う、という意見もある」と紹介している。

この「言語感覚が狂う」ということについて、データがないためわからないとしながらも、「私は狂うはずだと思っているが、意外なほど狂わないのかもしれない。」と書いており、機械翻訳に反対している人たちのような断言は避けているようだ。

それでも、「翻訳メモリーさえ使わないのだから、機械翻訳を使うことはありえない。… 機械翻訳のおかしな出力文を大量に読んで言語感覚が狂ったら致命的だとも思っている。」と書いている。

また、記事の冒頭にあるように、「MT+PEも(実際のところどうかは別として)コストダウンの口実になるので業界がMT導入に流れていくのは避けられないだろう。」ともある。

機械翻訳の導入による影響については、機械翻訳を使うことを選んだ人たちが行えばよいということなのかもしれないが、翻訳業界が可能な限りまとまって、学術的に研究し、そして翻訳者の育成も含めて、取り組むべきではないだろうか。

2) は、実際に機械翻訳を利用している人の記事なので、これから取り組もうとする翻訳者には有益だろう。

機械翻訳は今後も性能の向上が続くと考えられ、最近は大量の言語データの対訳コーパスが得られなくても、高い翻訳性能を実現する技術が研究されている。

また、アダプディブな機械翻訳エンジンという新技術では、ニューラル機械翻訳エンジンに追加のトレーニングを施して、個別の領域に特化してMTの性能を改善しようとしている。

機械翻訳の利用については、様々な立場の人が情報を発信しているが、どの情報も鵜呑みにすることなく、発言者の立場や意図に注意する必要もある。

人間と機械が役割分担するという新しい働き方に対応するとしても、それでも高い翻訳能力を有する人材が必要だ。
ただし、現在のような翻訳者の仕事とは変わるかもしれない。
アダプディブな機械翻訳エンジンを最適化するには、機械に学習させる対訳データの内容を吟味したり、パラメーターを調整するなど、翻訳者の経験をベースとした新しい職種が生まれるかもしれない。


私は、作業の効率化が実現できるならば、機械翻訳を積極的に利用したいと考えている。
ポストエディットが面倒な場合もあるが、それでも10%〜20%の効率化が実現している。

また、機械翻訳の導入によって、特許技術内容を理解せずになんとなく翻訳をしている人や、誤訳を指摘しても直さない人、推敲せずに納品してしまう人などは、翻訳業界から退場することになるかもしれない。

日々の業務で忙しいが、英語・ドイツ語がわかる化学者として、これからも活躍できるように努力しよう。

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