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聖アガタ
シチリア島カタニア市で皇帝デキウスの治世下250年(あるいは253年頃)2月5日に殉教されたと伝えられています。
乙女聖アガタは、貴族出身美貌にめぐまれ、シチリア島カタニア市に住んでいました。そして、聖徳をもって神をうやまっていました。シチリア州の総督クインティアヌスは、生まれもいやしく、好色、貧欲、異教徒でしたが、高貴な乙女聖アガタをなんとしてでも愛人にしたいと思っていました。聖女の身分の高貴さで自分のいやしい素姓を高め、聖女の美しさを自分の好色の餌食とし、聖女の財宝をかすめとって自分の貧欲を満足させようと思ったのでした。おまけに偽神たちの崇拝者であったから現代のパワハラ、サディズム、セクハラの典型的性癖をもって聖女に無理やりにでも神々に供犠させようとした。彼は、聖アガタを出頭させ、聖女の意志を変えさせようとしたができませんでした。すると、アプロディシアという名前の女郎屋の女将と同じく罪ぶかい生活を送っている9人の娼婦たちに聖アガタをゆだねました。彼女たちは、30日間聖女の意志を変えさせようと甘言やおどしをもって聖女の善き志ざしを棄てさせようとつとめました。しかし、聖女は毎日女たちに、
「わたくしの気持は、かたい岩の上に建てられたキリストのなかにしっかりつながれています。あなたがたの言葉も、わたくしには風のようなものにすぎません。あなたがたの約束ごとは雨のようなもの、おどしは去りゆく流水のようなものでしかありません。堅固な岩を土台にしているのですからどんなに誘惑されてもわたくしという家は、けっして崩壊しません。」と、言って答えまし。
聖アガタは、泣き、祈り、殉教者の勝利の棕櫚を待ちのぞみました。アプロディシアは、意志をまげない聖アガタの姿を見てクインティアヌスに、
「石をやわらげ、鉄を鉛のようにやわらかくするほうが、この娘をキリストから引きはなすよりも、ずっとやさしいでしょう」と、言いました。
そこで、クインティアヌスは、彼女をつれてこさせて、
「あなたは、どういう家柄の生まれなのか」と、言いました。
聖女は答えました、
「わたくしは、自由な身分の生まれであるばかりでなく、親戚のすべての者が証明していますように貴族の出です。」
クインティアヌスは、たずねました、
「自由な身分であり、貴族であるのならば、どうして奴隷のような真似をするのか。」
聖女は答えました、
「わたくしはキリストの僕(しもべ)ですから碑女(はしため)のように生きているのです。」
クインティアヌスは言った、
「自由な身分であるあなたがどうして碑女になりたいのか。」
聖女は答えました、
「最高の自由は、キリストの僕(しもべ)であることです。」
クインティアヌスは言いました、
「では、ふたつのうちどちらかを選ぶのだ。神々に犠牲をささげるか、それとも、拷問を受けるか。」
聖アガタは言いました、
「あなたの奥さまは、さぞかしローマの愛と美の女神ウェヌスのようなかたであり、あなたご自身もあなたの崇拝なさっているユピテルのような人なのでしょうね。」
これを聞いて、クインティアヌスは、家来に聖アガタの頬を打たせて言いました、
「裁判官であるわたしを侮辱し、無礼な無駄口をたたいてはならない。」
聖アガタは答えました、
「あなたのように聡明なかたがどうしてこんなにばかばかしいことを本気で信じていらっしゃるのか、ふしぎでなりません。あなたにしても、あなたの奥さまにしても、ユピテルやウェヌスのような生きかたをできないのに彼らを神々とよんでいらっしゃいます。それなのにわたくしが、あなたを彼らのようだと言うとそれを侮辱だとおっしゃる。あなたの神々が、ほんとうに善神であるのならわたくしが言ったことは、あなたにたいする賛辞になるはずです。けれども、あの不倫と売淫の神々といっしょにされるのは、まっぴらごめんだとおっしゃる。それなら、あなたもわたくしと同じ意見で一致しているのですわ。」
クインティアヌスは言いました、
「えらい剣幕でまくしたてるが、そんなへらず口がなんの役にたつのだ。神々に犠牲を供えよ。でなければ、ひどい拷問をくわえて殺してやるぞ!」
聖アガタは答えました、
「わたくしにむかって猛獣をけしかけてごらんなさい。キリストのおん名を聞いたら、猛獣たちもおとなしくなるでしょう。わたくしを火で苦しめてごらんなさい。天使たちが天の露でわたくしを救っでくれるでしょう。わたくしを打ったりそのほかの拷問で責めたてても、聖霊のおん力のおかげでわたくしには、魚の顔(つら)に水のようなものでしょう。」
総督は、アガタを牢獄にぶちこむように命じました。公衆の面前で平然と総督に立ち向かいキリスト教の神聖を表明する言葉を話したからです。しかし、聖女は、まるで食事に招かれでもしたかのように嬉々として牢に入り、この争いを主なる神にゆだねました。
翌朝、裁判官は、聖女に言いました、
「キリストを棄てると誓い、わたしたちの神々をあがめよ。」
聖女は、承知しませんでした。それで、彼は、聖女を拷問台にかけ、責めたてさせました。
聖アガタは、言いました、
「この責苦は、わたくしにとって大きな歓喜です。よい知らせを聞いたときのように、長いあいだ待ちのぞんでいた友人に会えたときのように、たくさんの宝を見つけたときのように喜びでいっぱいです。小麦も、穂をつよくつき潰してもみがらをとってからでなければ、穀倉に入れることができないのと同じように、わたくしの魂もあなたの刑吏たちにさんざん肉体を切りさいなまれてからでないと、殉教の棕櫚をもって楽園に入っていくことができないのです。」
怒ったクインティアヌスは、聖女の乳房を鞭で打たせ、長いこと苦しめたあげくに乳房を切り落とさせました。
聖女アガタは言いました、
「残忍な、神を怖れぬ暴君よ、女性の乳房を切り落とさせて恥ずかしくないのですか。あなただって、母の乳房を吸ったのではありませんか。しかし、お忘れになってはいけませんよ。わたくしの魂のなかには、まだ無傷な乳房がそっくりあるのです。わたくしは、子供のころからずっと神さまにささげてきた自分の心と感覚をその乳房で養うことができるのです。」
彼は、聖女をまた牢にもどし、医者を入れてもならない、水やパンの差入れを許可してもならないと命じました。ところが、不思議なことにひとりの老人が、真夜中にたくさんの薬をもってあらわれました。ひとりの子供が、灯りをかかげて老人の先に立っていました。
老人は、聖女に言いました、
「裁判官は、あなたにひどい拷問をくわえましたが、あなたの返答は、それ以上にきびしい鞭を彼にあたえました。彼は、あなたの胸を切り落とさせました。しかし、彼をふんぞりかえらせている彼の胸もいつかは、苦渋を味わうことになるのです。あなたが責めさいなまれたとき、わたしは、その場にいました。そして、治療すればあなたの胸は治ると見たのです。」
聖女アガタは答えました、
「わたくしは、これまで一度も肉体に薬をもちいたことがありません。わたくしが、これまで守ってきたことを棄てるのは恥辱です」
老人は、聖女に言いました、
「娘ごよ、わたしに恥ずかしがることはありません。わたしも、キリスト教徒です。」
聖アガタは答えました、
「どうしてあなたを恥ずかしがりましょう。あなたは、ご老人です、それもたいへんなお年でいらっしゃいます。それに、わたくしの肉体は、ひどい目にあわされさんざん傷つけられていますからだれも欲情を起こしたりはしないでしょう。それにしても、おじいさま、わざわざおはこびいただき、わたくしのことを気にかけてくださったことでお礼を申しあげます。」
老人は言いました、
「なぜあなたはわたしの治療をのぞまれないのですか」
聖女は答えました、
「わたくしには、主イエズス・キリストがいてくださいます。主はすべての被造物をひと言で健康にされ、お言葉でもって万物を新たにされるのです。ですから、主は、そうしようと思われたらいますぐにでもわたくしを治してくださいます。」
老人は、にっこりして、
「わたしは、じつはあなたの主の使徒です。主が、わたしをあなたのところにつかわされたのです。ごらんなさい。あなたは、主のおん名において癒されました。」と、言うと聖ペトロの姿は消えた。聖女アガタは、ひれ伏して主に感謝した。そして、全身の傷がすっかり治ったのを感じた。乳房も、もとどおり胸についていた。ところで、番人たちは、あかるい光が見えたのでおどろいて逃げだし、牢獄の扉を開いたままにしておいた。すると、数人の人たちがやってきて、聖アガタに逃げてくださいと頼みました。
「とんでもないことです。」
「逃げ出してせっかくの受難の冠を失い、番人たちを窮地と責苦におとし入れるわけにはいきません。」と、聖女は答えました。
それから四日後に、クインティアヌスは、
「いつわりの神々に犠牲をささげよ、さもないと、もっとひどい拷問をあたえるぞ」と、聖女に言った。聖アガタは、答えました、
「あなたの言葉は、むなしくて無意味です。空気をけがし、有害です。あなたは、こころも考えも貧しい人です。わたくしを癒してくださった主を否定し、死んだ石くれをあがめよとわたくしにおっしゃるのですか。」
「だれがおまえの傷を治したのか。」
「神のおん子キリストさまです。」
「わたしが聞きたくない名前を聞かせるのか。」
「わたくしは、生きているかぎり、心と口でキリストをほめたたえます。」
それで、裁判官は、
「キリストが、ほんとうにおまえを健康にしてくれるものかどうか、とくと見てやろう」と、言って灼熱に熱っした石炭を用意させ、その上に陶器やガラスのするどい破片を投げ、聖アガタを全裸にしてその上を転がすよう命じました。刑吏たちがそのとおり実行した時、突然、大地震が起こってカタニアの町をゆさぶり、町の一部は倒壊して、クインティアヌスに仕えるふたりの顧問官が、圧しつぶされて死にました。民衆は、大挙して総督府に押しかけ、クインティアヌスにむかって、
「このような災難がこの町にふりかかったのは、罪のない聖女アガタを拷問にかけたからだ」と、叫んだ。クインティアヌスは、地震と民衆の暴動とに怖れをなして聖アガタを牢にもどさせました。 牢獄の中で聖女は、ひざまずき、
「わが主イエズス・キリストさま、おんみは、わたくしをおつくりになり、子供のころからずっと守ってくださいました。肉体を純潔に保ってくださり、現世への愛を棄てさせてくださいました。おんみに力と忍耐をさずけていただいたおかげで、わたくしは、あらゆる拷問にうち勝つことができました。ですから、どうかもうわたくしの霊を受け入れ、わたくしをおんみのご慈悲のもとにまいらせてください。」と、祈り終えた聖女は大きな叫び声をあげました。それと同時に、聖女の霊は、天にのぼっていきました。
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主の奇跡の数々ですね。今日の応援ポチ・・
2011/10/22(土) 午後 8:55 [ O - ]
アガタ 大好きです
サディスティックな男性を断じて許せません
いつの時代も居るものですがいまの時代はこういう類いの輩をもてはやすようにもなりました
歪んでます
神がアガタの取り次ぎによってわたしたちを救い守ってく大増すように祈ります
2011/10/22(土) 午後 9:35 [ - ]
0−さん、ありがとうございます。本当に奇跡ですね
2011/10/22(土) 午後 9:51 [ アベマリア ]
セラさん、こんにちは
聖アガタって、本当に素晴らしい聖人ですね。
こんな風に貞潔の尊さを現代にも伝える人が
いるといいですよね。
たくさんの人がすくわれますように・・・
2011/10/22(土) 午後 9:52 [ アベマリア ]
こんばんわ ^^
聖アガタ 感動的ですね
ハラハラ ドキドキしました。
学校の教科書に
取り入れたがいいのではないでしょうか?
2011/10/22(土) 午後 10:19 [ ニコ ]
ニコさん、こんにちは^^
聖アガタの生涯は、本当に心をうちますね。
教科書に取り入れるって、いい考えかもしれませんね^^
こんな生き方もあるんだよっていうメッセージに
なるかもしれないです
2011/10/23(日) 午前 8:18 [ アベマリア ]
急ぎで申し訳ない、今日の応援村ポチ・・
2011/10/23(日) 午後 3:27 [ O - ]
あらゆる試練に耐え、拷問に耐え、主の元へ行ったのですね。
彼女の神に対する心を神は救ったのでしょう。
傑作、村応援ポチ・・
2011/10/24(月) 午後 10:34 [ O - ]
遅くなりました。今日の傑作、村応援ポチ・・
2011/10/25(火) 午後 11:15 [ O - ]
0-さん、いつもありがとうございます^^
小説頑張ってくださいね
2011/10/26(水) 午後 5:20 [ アベマリア ]
アガタ=アガフィア(ロシア正教) でまちがいないでしょうか?
自分の聖人のことを知りたくて探していました。
いずれにせよ 勉強になりました。ありがとうございます。
2014/4/5(土) 午後 4:56 [ arg*rn*n77 ]
arg*rn*n77さん、こんにちは。コメントに気づかずすみません。
ロシア正教での呼び方を知らないので、断定できませんが、聖アガタといえば、この殉教者を指すと思います^^
2014/4/24(木) 午前 8:03 [ アベマリア ]