マリア様とともに・・・

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聖ルチア

聖ルチア
 
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 シチリア島シラクサ市でディオクレティアヌス帝治世下の304年(あるいはコンスタンティヌスとマクセンティウスとの両帝治世下の310年頃)1213日に殉教されたと伝えられています。
 聖ルチアは、シラクサ市の貴族の家に生まれた乙女でした。聖女アガタの聖名がシチリア全島でたいへん崇敬されているという話を聞いて母エウティキアと一緒に聖アガタの墓へ参詣しました。母は、四年このかた長血をわずらい、薬石の効果もむなしかったのでし。彼女たちが、聖アガタの墓のある教会に着いた時、ちょうどミサがあげられており偶然にも聖福音書の一節、主が同じ病気である“長血を患っているの女を癒された”という朗読箇所を拝聴した(マルコ525〜)。聖ルチアは母に、
 「今朗読されたお話しを本当だとお信じになるのでしたら、主のために殉教された聖アガタ様がいつも聖主のみもとにおられるということもお信じになって下さい。お母さまが、聖アガタ様の墓に心から信じて手をお触れになれば病気はきっと治ります」と、言いました。
 
 人びとが教会から出ていくと、聖ルチアは、母とふたりだけあとに残って聖女の墓に敬虔にひざまずきました。すると、聖ルチアは、眠りにおち、聖女アガタが宝石をちりばめた冠を頭にいただいて天使たちの真ん中に立っているのを幻視しました。そして、
 「わたしの娘ルチア、神に身をささげた乙女よ、どうしてお母さまのことをわたしに頼むのですか。あなた自身の手でお母さまの病気を治してあげることができるのですよ。ごらん、お母さまは、あなたの信心のおかげでもうお治りになりました」と、言う声が聞こえました。
 聖ルチアは、眼をさまして母に言いました、
 「ごらんなさい、お母さま、病気は治りましたよ。そこで、病気をお治しくださった聖アガタ様の御名にかけてお願いします。これからは、もうわたくしの縁談は口にお出しにならないようにしてください。そして、持参金としてわたくしにくださるおつもりだった財産は、神さまのために貧しい人びとにわけてあげてください」
 母親は、
 「ルチアや、わたしが死ぬまで待ちなさい。それからなら、遺産をあなたの好きなようにしてもかまいません」と答えました。
 しかし、聖ルチアは言いました、
 「お母さま、あなたが死後に施されるものは、あの世へ持って行けないので遺産をお与えになるのです。生きていらっしゃるあいだに施して下さい。そうすれば、天において報いがありましょう。」
 
 こうして、二人は、家に帰ると毎日財産を少しずつ売っては貧しい人びとに施しました。しだいに聖ルチアが相続するはずの財産は、だんだん減っていきました。聖女の婚約者はこれを聞きつけ、聖女の乳母の所を訪れて事情をたずねました。乳母は、一計を案じ、
 「あなたの花嫁は、有利な財産を見つけ、あなたのためにそれを手に入れようとしているのですよ。そのためにいまもっている財産を売っているので財産が減っているように見えるのです」と、答えました。
 彼は、聖ルチアが手に入れようとしているのは現世の財産だと思いこみ聖女が今持っている財産の売却を手伝いました。しかし、ことごとく財産を売り尽くした時、彼は、聖ルチアがすべての財産を貧しい人たちに施してしまったことに気がつきました。それで、かんかんに憤慨して聖女を裁判官パスカシウスの前につれていき、聖女がキリスト教徒であり皇帝の命令に背いた事をしていると訴えました。裁判官は、聖ルチアに偽りの神々に供物をささげることを命じました。
 聖女は、
 「神さまのお気に召す犠牲は、貧しい人たちを見つけだし、困っているときに助けの手を差し伸べてあげることです。わたくしにはもう神さまにささげるものがございませんので、わたくし自身をささげます」と、答えました。
 パスカシウスは言いました、
 「そんなことは、おまえのようなばかなキリスト教徒に言うのだな。だが、わたしにむかっては、そんな口をきくことを許さん。わたしは、皇帝がたの命令の番人なのだから。」
 聖ルチアは答えました、
 「あなたは、あなたの皇帝がたの命令をお守りになることです。わたくしは、わたくしの主イエズス・キリストさまの掟を守ります。あなたは、あなたの皇帝がたを怖れなさい。わたくしは、わたくしの天主を怖れます。あなたは、皇帝がたの不興を買わないように用心なさい。わたくしは、神さまの怒りをまねかないように気をつけます。あなたは、皇帝がたのお気に入るように心がけることです。わたくしは、キリストさまにお気に召されることを切に心がけます。あなたは、ご自分の利益になるとお思いのことをなさい。わたくしは、自分に魂のたすかりと天において利益をもたらしてくれることをします。」
 
 パスカシウスは言いました、
 「おまえは、相続分の財産を悪辣な誘惑者どもといっしょになって食いつぶしてしまった。おまえが、娼婦のような口のきき方をするのは、そのためだ。」
 聖ルチアは答えました、
 「わたくしは、財産をシミも虫もつかず、盗人が穴を開けて盗み出すこともない安全な場所に置いたのです。心の誘惑者とも肉体の誘惑者ともぐるになったことは一度もございません。」
 パスカシウスは、
 「では、こころや肉体の誘惑者とはだれのことか」と、訊(たず)ねました。
 聖ルチアは答えました、
 「人びとに真の造り主を見捨て偽りの神々を偶像崇拝するように説くあなたがたこそ、心の誘惑者です。そして、永遠の喜びよりも肉体の欲望を追い求める人びとは、肉体の誘惑者なのです。」
 パスカシウスは、
 「言葉をつつしまないと、鞭で打たせるぞ」と、言いました。
 聖ルチアは答えました、
 「神さまのお言葉は、おさえることができません。」
 パスカシウスは、
 「それなら、おまえは神か」と、訊(たず)ねました。
 聖ルチアは答えました、
 「わたくしは、主の碑女(はしため)にすぎません。主は、使徒たちに、『あなたがたは、王や裁判官のまえに引き出された時、何をどのように話すかを思案するには及ばない。話すのはあなたがたではない、天におられるあなたがたの父の霊があなたがたの口を借りて話される』と言っておられます」(マテオ1018,20)。
 パスカシウスは、
 「それでは、おまえのなかに聖霊とやらが宿っているのか」と、訊(たず)ねました。
 聖ルチアは答えました、
 「処女を守り、純潔に生きる者は、聖霊の神殿です。」
 パスカシウスは、さらに言いました、
 「では、おまえを娼婦たちの神殿につれていきおまえの純潔を失わせ、聖霊を追いだしてやろう。」
 
 聖ルチアは答えました、
 「肉体は、霊が同意しないかぎり純潔を奪われることはありません。あなたは、わたくしの同意を無理やりとりつけることはできないのですから、力ずくでわたくしの純潔を奪っても、わたくしには乙女の純潔の報いが2倍にして与えられるだけです。何をぐずぐずしていらっしゃるのですか。わたくしの肉体は、どんな責苦も覚悟しております。さあ、はじめなさい、悪魔の息子よ、好きなようにどんな残虐な仕打ちでもしてごらんなさい。」
 これを聞いてパスカシウスは、女衒(ぜげん)たちを召し出し、
 「さあ、すべての男たちを呼び込んで、この女が死ぬまでその肉体をもてあそばさせるんだ」と、言いました。
 けれども、女衒たちが聖ルチアを引きたてて行こうとすると聖霊の恵みによって聖女の身体が急に重たくなったためぴくりとも動かすことができませんでした。それを見てパスカシウスは、千人の男たちを加勢させ聖ルチアの手足を縛りあげろと命じました。しかし、千人の男たちも、どうしても動かすことができませんでした。パスカシウスは、千人の男たちのほかにさらに数頭の雄牛をつながせたが、一歩も動かせませんでした。彼は、魔術師たちを呼び集めて彼らの魔術で動かそうとしたが、これも全く効果がありませんでした。ついにパスカシウスは、
 「千人の男がひとりの娘っこを動かせないとは、なんという魔術だ」と、叫びました。
 聖ルチアは言いました、
 「これは、魔術ではありません、天主のおん力です。さらに千人の男を加えても、わたくしを動かすことはできないでしょう。」
 どんな魔術でも尿をかければ解けると言う人たちがあったので、パスカシウスは、彼女に尿をかけさせた。しかし、それでも動かすことができないとわかった時、パスカシウスは、なにやら気味がわるくなってきて、
 「聖ルチアのまわりに大きな火を焚かせ、瀝青(チャン)と松ヤニと煮えたぎった油を振りかけよ」と、命じました。
 聖ルチアは言いました、
 「わたくしは、信仰心のあつい人びとから受難の恐怖をとりのぞき、信心しない人たちからは罰あたりな声を取り除いてあげるために、殉教の時期をしばらく猶予して下さるよう天主にお願いしておりましたが、それはすでにかなえられました。」
 パスカシウスがひどく気おくれしたのを見て、彼の友人たちは、聖ルチアののどに刀を突き刺しました。しかし、聖女は、それでも言葉を失わず、
 「わたくしは、キリスト教にふたたび平和があたえられたことを、あなたがたにお知らせします。今日、マクシミアヌスは死に、ディオクレティアヌスは帝位を追われました。そして、わが姉聖アガタ様が、カタニア市の守護者として与えられているように、わたくしは、シラクサ市の代願者として与えられるのです」と、叫びました。
 聖女がその言葉を終わらぬうちに、ローマの使者が到着して、パスカシウスを捕縛し、皇帝のもとに連行していきました。彼は、この州であらゆる機会につけこんで私腹を肥やしていたことを皇帝の耳に知られたのです。彼は、ローマの元老院に引き出され、人びとの証言に敗北し、判決によって斬首されました。一方、聖女ルチアは、深傷を負わされた場所にそのままとどまってそこから動かされることを望まなかったのでした。聖女は、司祭たちがやって来て聖体をさずけるまで息を引きとりませんでした。聖女が息を引きとった時、すべての人々が「アーメン」と唱えた。それは、聖アグネスの殉教と時同じくコンスタンティヌス大帝が、帝位についた時代であり、数年後の西暦313年『ミラノ勅令』が発布されるとキリスト教徒への迫害は、聖女の預言どおり止み平和がおとずれました。
 
 
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