奇想の庭(復活そして昇天)

19世紀末から20世紀前半のロシア文化を駆け巡り、拾い集め、組み立てて、発見する・・・・・・

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 運が悪かったら、その時わたしは死んでしまっていただろう。いかなる人工呼吸も功を奏さず、わたしの肺は機能することをやめ、そのまま二度と意識が戻らなかったに違いない。だが、恐らくわたしの魂が浮遊して眺めているらしいもう一つの現実世界はどうなるのだろう。わたしの意識の消滅と共に、放射能に包まれた森と草原は消えてしまうのだろうか。

 その時わたしは、わたしをここまで導いたくれた白い天使のことを思い出した。あの天使も、わたしの肉体から遊離した魂の生み出した幻想だったのだろうか。どこまでも開けているようでありながら、どこか鉛色に淀んだ雲ひとつない空をわたしは魂の眼で360度見回したが、すでに天使の姿はどこにもなかった。まあいい。また、ひょいとどこかで出くわすこともあるだろう。

 いつしか、森の向こうに大きな橙色の夕陽が沈もうとしていた。厳粛な美しい瞬間だ。その金赤の光が突然、最後の力で、その勢力の及ぶあらゆるものを橙色にきらめかせた。平屋建ての木造の田舎家の窓という窓を、草原を追われて家畜小屋に帰ろうとしている牛たちの首にかけられた銀の鈴を、細くうねる小川の水を。

 そうして、わたしは玉ねぎ型のドームをたくさん戴いた古めかしい聖堂を見た。それは森の中から姿を現し、9つのドームのすべてが眩いほどに輝いていているのだった。

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