奇想の庭(復活そして昇天)

19世紀末から20世紀前半のロシア文化を駆け巡り、拾い集め、組み立てて、発見する・・・・・・

19世紀ロマン派点描 肖像編

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 1841年4月26日に催されたショパンの演奏会にはリストの他にもハイネ、ドラクロア、フランショーム、ミツキェヴィッチ、ヴィトフィツキなども顔を見せていた。もっとも、ショパン本人にとってはひどく乗り気がしなかったものであったらしい。ショパンは友人たちに降参する形で大演奏家を開くことになったものの、出演者の調整(独奏会という演奏会の形態を考え出したのはリストであり、それまではピアノだけの演奏会を開くなどという習慣はなかった)が難しくてやめてしまおうかと思っているという手紙をショパンの恋人ジョルジュ・サンドは友人の一人に送っている。

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 一方、リストはイギリス、アイルランド、スコットランド各地やベルギーなどでの絶え間のない演奏旅行から一旦パリに戻ってきた。3月半ばのことである。そうして、3日27日と4月13日にエラール社のサロンで演奏会を開き、二度とも大成功を収めた(3月のほうにはワーグナーが列席した)。その頃すでにリストの恋人マリー・ダグー伯爵夫人とジョルジュ・サンドとの間には、修復不可能な亀裂が入っていたものと思われる。マリーは友人の画家アンリ・レーマンに宛てた1841年4月21日の手紙に書いている。

「敵意を抱いた小党派がプレイエルのサロンで演奏することになっているショパンを蘇らせようと必死です。サンド夫人は私を憎んでいるし、もうお会いすることはありません」

 こうして、リストとショパンを楯にしたマリー・ダグー伯爵夫人ジョルジュ・サンドの熾烈な抗争は水面下で繰り広げられていった。
リストのエラール社のサロンでの演奏会の成功に激しい対抗意識を抱いていたと想像されるジョルジュ・サンドに懇願されて、ショパンは4月26日にプレイエル社のホールで同じような演奏会を一度だけ開くことを決意したのであった。リストのほうは、このショパンの演奏会の前日にもパリ音楽院で大ベートーヴェン祭を開き、ベルリオーズの指揮でベートーヴェンのピアノ協奏曲第五番変ホ長調『皇帝』作品73などを演奏した。

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さて、ショパンの演奏会評は本来エルネスト・ルグーヴェが書くことになっていたのであるが、リストがこの栄誉を要求して認められた。ショパンのほうは、いかに友人であったとは言え、ライヴァルであるリストによって評価されたことに激怒した。
「リストは貴方のために素晴らしい王国を築いてくれるよ」と請け合ってくれたルグーヴェにも、「ああ、でも彼の帝国内にね」と答えたという。
実際、1841年5月2日にこの評が発行されると、極めてショパンに好意的なものであったにもかかわらず、リスト+マリー組とショパン+サンド組の関係はさらに一層険悪なものとなった。マリーはアンリ・レーマンに宛てた1841年5月18日の手紙で、音楽院での大ベートーヴェン祭でのリストの成功を、リストとベートーヴェンの二人の成功であると形容した後、このように報告している。

「サンド夫人は(大ベートーヴェン祭も含めた)これらの大勝利に苛立って、ショパンがプレイエルで演奏会を開くよう追いやりました。非公開の仲間うちでの演奏会です」


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画像は上からショパンとジョルジュ・サンド。ピアノを弾くリストとその足許のマリー・ダグー伯爵夫人。ショパン、リスト、ジョルジュ・サンド、マリー・ダグー伯爵夫人の肖像

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