奇想の庭(復活そして昇天)

19世紀末から20世紀前半のロシア文化を駆け巡り、拾い集め、組み立てて、発見する・・・・・・

美しい本 稀少本

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サンクトペテルブルクのドム・クニーギ(本の家)で詩集のコーナーを見ていたら、あまりにも装丁が美しいので二冊の詩集を購入してしまいました。レールモントフ詩集とブローク詩集。

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レールモントフの詩集のほうには私の大好きな詩『ムツィリ』が入っています。「ムツィリ」はグルジア修道院の見習修道僧という意味です。一人の見習修道僧が敬虔な修道僧になるべく修行したけれど、コーカサスの自然の子であるその肉体にたぎる血を制御することができずに、密かに修道院を抜けだしては森に分け入り、岩山に、谷間に、滔々と流れる川に全身全霊で生をぶつけるのでした。自然と一つに溶け合うために。そうして、致命的な深手を負ってしまいます。それでもコーカサスの大自然の魅力に抗うことなどできなかったのでしょう。

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ブロークは長編戯曲『薔薇と十字架』を読んだことがありますが、無論、この詩集には入っていません。革命期のペテルブルクを書いた長編詩『12』のほうはこの詩集にも入っています。象徴的なイラスト付きです。
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一人のポーランド人作家ヤロスワフ・イワシキェヴィチが膨大な資料と時代考証に基づいて、ショパンとサンドのノアンでのひと夏の物語を紡ぎあげました。
これは戯曲の形をとっています。つまり、ほとんど台詞から成っているのです。そうして、ショパンは前半には姿を現さず、ピアノの音だけの登場です。だから、実際に舞台で上演される時には舞台裏でピアニストが、その頃ショパンが作曲していたソナタロ短調を練り上げ、試し弾きしているように演奏し続けることになるのです。
この戯曲は翻訳者のつかだみちこ氏によるとポーランド本国でも入手困難で、コピーしてもらったものから翻訳したということです。

内容の一部をご紹介します。
ショパン 短調と長調の区別より、フランス人がポーランド人を理解するのはむずかしいことなんですよ。

サンド  私がもうずっと前から言いたかったことをやっとはっきり言ったのね。私達には、あなた達 のことがわからない。あなた方というのは、あなた方の野蛮な土地の、カリバニスキの住民のエアリエルのような、敏感な魂を持っているのね。でも、私達は、私達は(誇らかに)フランス人です──私達はあなた達を感じることも出来なければ、理解することも出来ないのです! そう、これは本当のことです。私達はあなた方とは違う考え方をします。私達は、あなた方とは違う社会を創り出しています。私達は、あなた方とは異なった文学を持っています。

ショパン (落ち着き払って)でも音楽は?

サンド  私達には、例えばあなたとあなたの召使いのヤンとの間にあるような身分差はないんですからね。

ショパン そうですね、しかし距離をおいている、ということはあるんじゃないですか。例えばあなたとあなたの召使い……マドレーヌとの間のような、ね。

サンド ショパン!

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