酪農家のブログ

趣味は研ぎ。砥石や包丁(庖丁)の評価を記事にしています。もちろん牛の話もあります

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龍泉刃物作 V金10三徳 大改造 その4の続きです


前回のその4の記事からずいぶんと時間が経過してしまいました
実験そのものは、ずいぶん前に終わっていたのですが、記事にしていませんでした
続きを楽しみにしていた方には、遅くなって申し訳ないです m(__)m



では、前回の記事の補足説明から始めます
前回の薬液Aですが、新品を購入しなおしたところ、「有機酸(pH1)」でした
具体的な化学式や正式名称は、記載がなかったので判りませんでした
この酸はでは、ステンレスを腐食させるには、いまいちパワーがなかったことは、
前回の記事で述べたとおりです




では、もっとパワーのある強酸ならどうなるのか?が今回の実験です



手に入れた強酸は2種類
1つめは濃硫酸・・・濃度97%以上
イメージ 1
濃硫酸は金属を腐食させないため、実験では約50%希硫酸を作って使用しました
<<!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!>>
※濃硫酸を薄める場合は、「必ず、水に濃硫酸を少しずつ加えていくこと!!!」
「濃硫酸に水を加えるような真似は、絶対に行わないこと!!」
守らないと、硫酸が一気に沸騰して、硫酸を体に被ることになります!!!
作成中の希硫酸は、熱反応でかなり熱くなるので、
氷水に希硫酸の入ったビーカーを入れて、作業したほうがよい
そもそも興味本位では、作るべきではない
ビーカーの真上には、硫酸の湯気が上るので、顔を真上に持ってこないこと、
風上に立つこと、換気の良い場所で混ぜること
<<!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!>>



かなり危険な薬物なのに、700円で買えるのはどうかと思いますね・・・






2つ目は濃塩酸・・・濃度37%、pHは-1.1位なのかな
イメージ 2

これも700円だったとおもう・・・
※注意事項は硫酸と同じ







実験をするに当たっては、厚手のゴム手袋や、長靴、長ズボン、長袖を着こんで、
安全面には特に注意しました
ここまでして、実験するか・・・と、自分に突っ込みつつ・・・
イメージ 3









では次に、実際の実験風景です
まずは希硫酸に包丁をぶち込んで、しばらく置いた状態↓
イメージ 4
透明だった希硫酸が、しばらくすると緑色の液体に変化しました
たぶん、硫酸鉄(FeSO4)でしょう
そして、ある程度時間が経つと、反応しなくなりました


包丁を取り出してみると・・・
イメージ 5
全体的に、一皮剥けた感じでしょうかw
ステンレスといえども、硫酸にかかれば、あっという間に腐食するようですね

金口部分が真っ黒になっています
この部分は水溶液の外に出ていたのですが、
立ち上る硫酸の湯気で腐食し、変色したようです
















続きまして、濃塩酸での実験です↓
イメージ 6
イメージ 7
希硫酸ではいまいち期待外れな結果だったため、
あまり期待していなかったのですが、
期待を大きく裏切り、包丁を入れた直後から、
炭酸水に温めた鉄板を入れたかのように、ブクブクと多量の泡を出し始めました
すぐに、水溶液も透明から薄黄色に変化して、レモンスカッシュな感じにw










10分ごとに取り出して、腐食具合を確認しましたが、
イメージ 8
溶ける、溶けるw
1時間ちょっと漬けましたが、これ以上漬けると、
ブレードが痩せすぎて、包丁として機能しなくなる恐れがあったので、途中で中止しました












腐食具合と見てみると、
イメージ 9
イメージ 10
イメージ 11
VG10の部分の腐食は酷く、塩酸の濃度が濃すぎた感じです
積層部分ですが、積層を構成する鋼材2種類とも、腐食速度は大して変わらず、
はっきりと立体化したのは、刃先周辺のVG10との境目部分くらいでした

この腐食結果から、この包丁は、芯材のVG10と、積層部分の鋼材2種の合計3種類のステンレスが使われていると思います
積層部分は、VG10と普通のステンレスを折り返して模様が作られていると考えていたのですが、
芯材のVG10と積層部分では、明らかな浸食スピードの違いがあったので、積層部分にはVG10は使われていないとおもいます

また、はっきりとした立体模様を出すためには、積層模様がもっと粗く(積層数が少ない、奏の幅が広い)ないと難しいようです





そして、意外な副作用がありまして、
塩酸での腐食はとても強力なため、グラインダーで付けてしまった深い傷も、見えなくなりました
上手に使えば、化粧加工として使えそうです
しかし、注意しないといけないのは、ナカゴまで水溶液にしっかり漬けないと、見える部分に腐食の境目が出来てかっこ悪い結果となります

今回の実験では、金口の少し下までしか、水溶液に漬けなかったので、
この部分に腐食の段差ができてしまいました(画像左下部分)
イメージ 12






最後になりますが、
かなり前に、天然砥石で研いだ後の切刃の砂模様(腐食痕)と腐食について記事を書きました
その当時の実験で、腐食に強いはずのステンレス包丁が、天然砥石によって砂模様を形成させたので、
「砂模様は、腐食ではない」と結論していましたが、
今回の実験で、硫酸や塩酸の成分ならば、いとも簡単にステンレスを腐食させることが確認できたので、
やっぱり、天然砥石で形成される砂模様は、天然砥石の含有成分である「硫化物」や「塩化物」によるものだと僕は考えます






そして、最後の最後になりますが、
ブログの更新はこの記事で最後になります
拙い文章にも関わらず、お読み下さった方々、コメントを下さった皆様に、感謝いたします
約2年半の間、お付き合いくださいまして、誠にありがとうございましたm(__)m

閉じる コメント(16)

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去年より酪農家さんの研究や砥に掛ける情熱エトセトラ
そんなあなたのブログを楽しみにしておりました。

また、戻ってくる機会がありましたらお目にかかれるその日まで待っています。
短い間でしたがとても参考になりました。ありがとうございました。

2012/7/6(金) 午前 0:41 [ 狛犬 ]

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こそっと応援しています。
が。
>守らないと、硫酸が一気に沸騰して、硫酸を体に被ることになります!!!
硫酸の溶解熱により沸騰するのは、溶媒である水の方ですね。硫酸の沸点である290度を超えることは考えづらいです。
また、硫酸に対しては長ズボン等は意味がありません。ゴム手袋と安全メガネが必須ですね。
硫酸自体が安く手に入ることに問題は何もないですが、高校一年生レベルの薬品の知識が全くない方が買える事の方が大きな問題ですね。

>※注意事項は硫酸と同じ
扱いの注意点は溶解熱の高い不揮発性の硫酸と溶解熱の低い揮発性の塩酸では全く違いますね。

2012/7/6(金) 午前 3:51 [ wrt225 ]

wrt225さん、はじめまして

>硫酸の溶解熱により沸騰するのは、溶媒である水の方
硫酸に水を入れる過程でのことですので、
当然、そのつもりで書いています
「硫酸」と一言で書きましたが、ここでは硫酸と水の水溶液の事を指しており、沸騰して飛散する可能性があるのは、単体の水でも沸点が290度以上の硫酸でもありません
当然ながら混合中なのですから、
高濃度の硫酸水溶液のことを指しています

>硫酸の沸点である290度を超えることは考えづらいです
これは、濃硫酸に水を混合しても問題ないように聞こえますし、
水だけ飛散して、濃硫酸は飛散しないようにも取れます
このコメントを見て、濃硫酸に水を入れる人が出かねませんので、
釘を刺しておきます
理由は上記の説明の通りです

>硫酸に対しては長ズボン等は意味がありません
勘違いしないでください
劇物で服が溶けるかどうかを、問題にしているのではありませんよ

2012/7/6(金) 午前 8:11 [ 酪農家 ]

万が一事故が発生して、劇物が飛散し自分自身に降りかかってきた場合、長袖長ズボンを着用している場合と、半袖半ズボンを着用している場合で、「どちらのほうが身体への被害を低減できるか」、という意味で記述したのですよ
出来るだけ安全に作業することが肝心であると言いたいのですよ
長袖長ズボンは、劇物で溶けてしまい着用する意味がなく、
半袖半ズボンで作業しても安全性は変わらないと思うなら、
どうぞ、軽装で作業してください
この点についても、知らない人に誤解を招くような記述だったので、
釘を刺しておきます

ネットで硫酸の事故を検索すると判りますが、
「服は溶けたが、身体に異常はなかった」といったニュースがいくつも出てきます
もし、衣服が防御してくれなかったどうなっていたか、想像に難くありませんよね?

2012/7/6(金) 午前 8:11 [ 酪農家 ]

>こそっと応援しています。
最後になりましたが、応援ありがとうございました
残念ながら、新規の記事を書くことはあきらめましたので、
その点、申し訳なく思います

2012/7/6(金) 午前 8:14 [ 酪農家 ]

狛犬 さん

せっかく、コメントをいただいたのに申し訳なく思います
研ぎに関する記事は他にもあり、
もし、お読みになっていないようでしたら、
ゆうけんさんのブログを、お勧めします
天然砥石中心の記事がたくさんありますよ

2012/7/6(金) 午前 8:18 [ 酪農家 ]

wrt225さん
>不揮発性の硫酸と溶解熱の低い揮発性の塩酸では全く違います
硫酸が不揮発で、希硫酸を放置しておくと、水が蒸発して最終的に濃硫酸に戻ることもわかっていますよ
これにかんしても、硫酸は不揮発だから、ビーカーの上に顔等を持っていっても問題ないと読み取れるので釘を刺しておきます

実際に、濃硫酸を水で薄めてみるとわかります
硫酸自体は不揮発ですが、水溶液中の水(お湯のほうが正しいかな)は
熱によって湯気(当然、水蒸気の事を指しているわけではありません、硫酸と水の水溶液の粒です)となって上昇します
この気体を吸い込むとのどを痛めますし、目などの弱い部分に被れば、目を傷めかねませんよ

2012/7/6(金) 午前 8:43 [ 酪農家 ]

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ゆうけんさん、あるすけさん、そして酪農家さん。
研究熱心というのも上から目線のような評価で申し訳ないんですが、どこまでも自信の砥腕を上げようとされる御姿は先輩と呼ぶより、師匠と読んだほうがしっくり来る方々ばかりです。
他にも幾人かのYahooブログや個人ブログで砥のお話、研究や本職の方は知りうる限りかなりおります。
しかし、なかなかピンポイントで、基礎の部分からわかりやすい解説をしてくださる方々はあまり聞いたことがございません。

自分もいつかその高みに追いつけるようこれからも応援し、
精進します。
前のコメントにも書きましたが、またもどっていただける日々を心待ちにしております。

2012/7/7(土) 午前 1:24 [ 狛犬 ]

心躍る記事ばかりでした。
よい包丁にも出会えることができましたし、
砥石の世界にもふれることができました。
本当に素敵なおはなしで楽しい内容でした。
ありがとうございます!

2012/7/8(日) 午前 6:47 べと

べとさん、お久しぶりです

長らくのご愛読ありがとうございました
僕の記事が少しでもお役に立てたのでしたら、幸いです

2012/7/8(日) 午前 9:35 [ 酪農家 ]

酪農家さん、お疲れ様〜
またご自分のブログでコメントを楽しまれる事を期待しています。
名古屋砥泥会(なごやとどろかい)のPR有り難う御座いましたm(__)m。
時々、覗きに来て下されば嬉しいです。

2012/7/10(火) 午前 8:21 ゆうけん

ゆうけんさん

これまで、叱咤激励、アドバイスと、有意義なコメントを沢山頂戴しました

また、ゆうけんさんのブログのお陰で、ここまでブログを続けることが出来ました

誠にありがとうございました

2012/7/10(火) 午後 0:13 [ 酪農家 ]

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スゲー腐食!!(笑)

刃境が溶接跡のようになるのは何ででしょうね?光の加減なのかもしれないけど立体的に見えます。
立体的な積層鋼の包丁は、積層してる鋼材に腐食速度の差が大きい物を使ってるとかいう可能性もありますね。

長らくご苦労様でした。たくさん勉強になりました。無料で気合の入ったテーマの記事ばっかり書くのはむちゃくちゃ大変だったろうと思います。

またいつか気が向いたら、こっそり別のブログはじめてもいいから面白い記事を書いてくださることを期待しています(笑)

2012/7/15(日) 午後 6:44 [ 道哉 ]

道哉さん、お久しぶりです

>刃境が溶接跡のようになるのは何ででしょうね?光の加減なのかもしれないけど立体的に見えます。
刃境の部分は、立体になりました
これは、刃金が地金に比べて、異常なスピード腐食して痩せてしまったためです

>腐食速度の差が大きい物を使ってる
そんな感じです
ちなみに、三木の鍛冶師の立体加工は、塩酸を使用しています
濃度は判らないけど、塩酸を試した感じでは、
37%では濃すぎるため、10〜15%前後では?と推測します


>長らくご苦労様でした
こちらこそ、お世話になりました
沢山のコメントいただき、ありがとうございましたm(__)m

2012/7/17(火) 午前 9:06 [ 酪農家 ]

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濃硫酸に水を入れる実験では、比重の違いにより水が濃硫酸の下にたまり、
溶け合っている境界面の熱が水を沸騰させ、濃硫酸を飛び散らせますね。
濃硫酸は工業で大量生産されて安いとはいえ、700円で買えたら大丈夫?
と思っちゃいますよね。

2013/11/6(水) 午後 3:01 [ han*k*k416 ]

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包丁に硫酸とか包丁ダメにするだけ
水素脆性が発生し硬度が低下

2015/5/25(月) 午後 11:51 [ たぬき ]


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