酪農家のブログ

趣味は研ぎ。砥石や包丁(庖丁)の評価を記事にしています。もちろん牛の話もあります

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天然砥石の成分

今回の記事は僕の覚え書きです
間違っている部分も沢山有るかもしれませんので、鵜呑みにしないで下さい


うめあにさんから提供された
「京都砥石組合発行の『記念誌 京都天然砥石の魅力』より抜粋の合の砥石成分表」

珪素SiO2 64.00
チタンTio2 0.35
アルミニウムAl2O3 16.69
二酸化鉄Fe2O3 3.12
純鉄FeO 2.86
マンガンMnO 0.09
マグネシウムMgO 1.93
カルシウムCaO 1.64
ナトリウムNaO 2.45
カリウムK2O 2.76
水H2O 3.51
燐R2O5 0.14
計 99.84

[一部タイプミスかな?と思われる部分を修正&わかり易い名称付加]↓
二酸化ケイ素   SiO2 64.00 石英 モース硬度:7
二酸化チタン   Tio2  0.35 モース硬度:5〜7.5
アルミナ     Al2O3 16.69 モース硬度:9
酸化鉄(III)    Fe2O3 3.12 赤錆 モース硬度:不明、軟らかそうだ
酸化鉄(II)    FeO  2.86 カイロに入ってる
酸化マンガン   MnO  0.09 特に影響なさそう
酸化マグネシウム MgO  1.93 特に影響なさそう
酸化カルシウム  CaO  1.64 生石灰 水に反応すると発熱、
                含有量が多い石だと研いだ時に熱くなりそう
酸化ナトリウム  NaO  2.45 水と反応する
酸化カリウム   K2O  2.76 水に反応すると高熱
                含有量が多い石だと研いだ時に熱くなりそう
水        H2O  3.51 説明するまでも無い
無水リン酸    P2O5  0.14 pHの範囲を超える酸性又は塩基性の腐食性を計る酸度関数ではH0=-5
                比較対象:5%硫酸(希硫酸)=-0.02 100%硫酸=-12
                無水リン酸は希硫酸の10万倍の腐食作用を持つ超強酸性!?
計 99.84


1.無水リン酸がとても気になる・・・
2.石英がもっとも含有率の高い研磨材なので、石英単体で研いで霞むのか?
3.この石は、時間をかけて研ぐと「霞まない石」〜「良く霞む石」の丁度中間らしい
4.研磨材になりそうな成分は、石英、酸化チタン、アルミナ、酸化鉄で合計87.02%
5.霞む事が砥粒による要因のほうが大きいならば、
  なぜこれほど研磨材の材料が多いのに時間がかかるのか?

今回はカッター刃の刃先周辺を300倍で確認して見ました


カッター刃を上から見た画像↓
300倍、最小目盛り3.3μm
イメージ 4
刃先の約20μmは蒸着加工されているようです
カッター刃ではありませんが、
使い捨て剃刀の蒸着技術の資料はコチラ



刃の断面300倍(拡大可)↓
目盛りの0.1が33μmです
断面全てにピントを合わせるのは無理でした
イメージ 1
イメージ 2
イメージ 3
刃先が黒っぽいのは蒸着のためでしょうか?
包丁を研ぐときに、よく「力を抜いて研ぐ」とか「転がすように研ぐ」等の表現が、
刃物研ぎのブログや掲示板で良く見かけます


しかし記事だけで判断する読み手側としては、こう思った方も多いと思います

よくわからん
とか
もっと具体的に示してほしい
と、、、


そんな訳で、今回の内容は「刃先に伝わる力加減を、客観的に計る」です


用意するのはアナログの秤↓
上に乗っている板は、秤の皿の形状次第では不要です
デジタル秤は、数値が読み取れないと思いますのでアナログ式が良いかと・・・
イメージ 1


では、僕が三徳を「最終小刃付け仕上研ぎ」をする場合を計ってみましょう
まず、砥石上では↓のように小刃付けをしているとします
イメージ 2
出来れば実際にストロークして、その時の力加減を記憶しておいてください


次に、秤の上で砥石と同じ動作を行ってください↓
イメージ 3
※砥石の上と刃の角度が違うというツッコミは無しでお願いします
撮影のためにそのあたりは適当です
秤の皿の高さは、出来れば普段研ぐときの高さが良いかと思います

そして秤の上でストロークすると、針が揺れ始めます
このときの平均値をがんばって読み取ってみてください

この平均値を、「最終刃付け時の刃先に伝える圧力(以下、圧力)」と定義します


そして、僕が写真の三徳を最終小刃付けするときの圧力は、約30gと読み取れました
ちなみに天水刀の場合は約20gと読み取れました

さて、僕はみなさんと比べて、軽く砥いでいるのでしょうか?重いのでしょうか?


あ、そうそう、
この方法は、最終研ぎ時でも高速ストロークする方、
かなりの力を入れて研ぐ方は、計れないと思います


補足ですが、
三徳を30gほどで研ぐと、刃線厚は概ね0.8〜1.2μm
※鋼材や刃角によって多少違いが発生します

天水刀は、20gほどで研ぐと0.8〜1.0μm前後な感じです
最近、のぶさんのブログの記事で、
天然砥石の研磨痕についていろいろな意見が交わされました
話の経緯はのぶさんの記事をコメントまで見てください
↑のぶさん、無許可でリンクしてしまいましたので、気になるようならリンク等を外しますので、
コメントください

こちらの記事で僕が気になったのは、
1.天然で砥いだ後の霞は、「遊離砥粒説」によるよる説
これは、天然砥粒が砥ぎ進められるにつれて粒度が小さくなり(以下、粉砕砥粒)、
この小さな粒が霞模様を発生させているとのこと

2.実際に天然の砥汁水溶液を製造して、包丁を浸けておいても切刃が霞まなかった
  →よって霞は、天然成分による腐食効果ではなく、粉砕砥粒の研削作用の方が大きい感じがするとのコメント(あるけすさん、こんな感じですかね?)


そして、僕の見解ですが、
上記の1に対しては、
砥粒が小さい事が霞の原因ならば、僕の所持している人造砥石(30種以上)の中に、粉砕砥粒と同じ大きさの粒度の砥石も有るはずである
例えば、「超仕上砥の極妙」
しかし、霞まないのはご存じの通り

では、市販されている各種研磨パウダーを一定の割合で配合して
(例:5μm(25%)、2μm(25%)、
1μm(25%)、0.5μm(25%))疑似的に、天然砥汁を再現して、
この混合砥汁を金盤の上に乗せて研ぐ
→実験していませんが、多分霞まないでしょう

2.「天然砥石に腐食作用が有るなら、砥汁に浸けっ放しで腐食するはずである」ですが、
僕の腐食説は3つの条件が必要と考えています
 1.酸化触媒(天然砥石ですと硫酸等の火山性の成分)
 2.酸素(大気中には豊富に有る)
 3.運動エネルギー(化学反応を加速させるためのエネルギー。平たく言うと、腐食作用を起こさせる分子と分子(あるいは原子)の出会う機会(スピード)を増やすため)

そして、天然砥汁に浸けっ放しは、2と3が足りないため霞まなかったと考えます
人造砥石で霞まないのは、1が足りないと推測します



では実験です
まず、上記2番の「天然砥汁に浸けっ放し」に酸素と運動エネルギーを供給して、
予想通り腐食するかテストします

使用した包丁(貞信)↓
紙ヤスリ#600で平と切刃を全て磨いて有ります
イメージ 1
イメージ 2
イメージ 3
イメージ 11

酸素と運動エネルギーを与えるための道具として、熱帯魚用のブクブク発生装置(ポンプ)↓
イメージ 4

新大上の砥汁↓
#150ダイヤ砥で削って砥汁水溶液を作りました(pH5:酸性)
イメージ 5
イメージ 6


ポンプと砥汁水溶液をセット↓
イメージ 7


柳刃をセットし、ブクブク開始↓
刃渡りの4割位が水溶液に浸かっている状態にしてあります
イメージ 8


1時間30分後↓
イメージ 9
イメージ 10
鋼が腐食しています
僕の予想では地金も腐食すると思っていましたが、
水溶液が薄いのか、運動エネルギーが足りないのか、まだ腐食していない感じでした

腐食部分100倍↓
イメージ 12
腐食作用が強すぎて穿孔しています
黒錆になるかと思いましたが、緑の錆ですね
もっと反応速度を上げないと期待した結果にはならない感じです
矢印の白色部分が特に黒錆と思われる腐食模様(砂模様)


平部分の100倍↓
イメージ 13
僅かに、腐食されている感じです


上記のテスト結果から、霞ませるには、腐食成分のほかに
酸素と運動エネルギーが必要で、
あるけすさんのテストではそれらが足りなかったと考えられます



では、次に上記1の「粉砕砥粒じゃないと霞まないのでは?」に対するテスト

容器に酢酸(米酢)を入れて、酢酸水溶液を作ります
以前、酢酸を切刃に塗って腐食をテストした事が有りましたが、
あまり反応が良くなかった覚えが有りますが、
手元に、都合のよい腐食材料がなかったので酢酸を再度使いました
pHは3〜3.5位?
イメージ 14
イメージ 15

そして、ブクブクブク・・・っと↓
イメージ 16


1時間30分後↓
イメージ 17
鋼は見事な黒錆、切刃、平共に一様に霞みました
右端の水溶液に浸かっていない部分と比べてみてください
霞んでいるのがハッキリしています


黒錆100倍↓
イメージ 18
綺麗な砂模様です
テスト前の切刃100倍画像と比べてください
明らかに変化しています

平100倍↓
イメージ 19
平も綺麗な砂模様です


このテストでは、砥石は一切使っていません
つまり、粉砕砥粒で腐食痕が形成される訳ではないと考えられる

腐食作用は、紙ヤスリの砥傷を覆っていく感じなので、
粉砕砥粒は人造砥石同様に直線的な研削傷を切刃に残しているが、
腐食作用の方が速く、見えなくなっているだけでは?
と言うのが天然砥石の粉砕砥粒が切刃に与える影響の推測です
つまり、粉砕砥粒は人造の砥粒同様の物理的作用を切刃に与えていると考えています

鋼が硬くなるのは、腐食によって鉄(Fe、モース硬度4〜5)が、
黒錆化(FeO.Fe2O3、モース硬度6)するので、
鋼を構成する成分の「鉄」が「酸化鉄」に変化すれば
必然的に鋼の硬度が上がるためと考えます
前回から始めた柳刃(貞信)研ぎの続きです

ちょいと、記事の更新が遅くなったのは、
バイスを調達していた事と、僕のモチベーションが↓な感じで作業が進んでいませんでした

本日、バイスを手に入れてモチベーションが↑になったので、
成形がんばってみました


今回の作業は、バイスを使った歪み取りと切刃の成形です
使用した砥石は電着ダイヤ#150、あらと君#220


まずは、バイスを使用した歪みとりの様子↓
歪みを取りたい部分に両面テープで割り箸を固定しバイスで挟んで直しました
イメージ 3
イメージ 1
イメージ 2
実際に反りを直して見ると、
バイスは力が強く手加減しないと、
歪みが真直ぐを通り越して逆に反ってしまいました

それからこの柳刃、切っ先が軟鉄側に反っているのですが、
これは上の画像の方法では固定できないため直せませんでした


しょうがないので、切っ先を直接バイスに挟んで曲げてみたり、
金床の上でハンマーで叩いたり努力をしてみましたが、
努力の甲斐空しく↓な感じになりました
イメージ 4
ピシ、ピシ、ピシッ!
荒砥を掛けて気がついたのですが、クラックが4か所も入っていました・・・Orz
切っ先付近は肉厚が薄いため、無理な力がかかると直ぐ掛けたりクラックが入ったりするので
ほどほどにしておかないと、どんどん刃渡りが短くなってしまいますね・・・


次は裏ですが、本当は手研ぎで全てがんばろうと思ったのですが、
とにかく、裏より梳き部分が先に砥石に当たる諸刃仕様な柳刃なので、
結局、グラインダーの力を借りました
グラインダーで梳いた後↓
イメージ 5
イメージ 6
まだ、手梳きを行っていないためグラインダーの生傷が残っています
前回より上手に梳けたかな
ようやく、まともに裏が押せる状態になりました



ここまで来ると次は表の作業です
電着ダイヤで切刃の成形を行っていきます
↓は電着ダイヤ作業途中の切刃を撮影しました
イメージ 7
イメージ 8
イメージ 9
もともとこの柳刃は、切刃にグラインダーをしっかり当てた後が有り、
切刃の中央に全く当たらない部分が2か所
こういう後々の事を考えていない加工はホントに困りますね(-_-メ)



そして、#220で電着ダイヤの砥傷を消した後↓
イメージ 10
イメージ 11
イメージ 12
「貞」の文字の直ぐ下(画像では右側)部分の、切刃のグラインダー傷はとても深く、
完全には消しきれませんでした
綺麗に消そうとすると鎬や刃線の歪みが酷くなりそうなので、様子見ってところです


この包丁、利器材の打ち抜きで製造された物だとばかり思っていましたが、
刃境が波打ってるので、もしかしてちゃんと2枚合わせの鍛造なのかな?
それにしては作りがダメダメですが・・・
どちらにしても、出元が判らないので真実は判りません


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