〜まろやか狼のプログ〜

約4ヶ月振りで戻ってまいりました。

小説「つぎはぎ」

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イメージ 1

僕は
海を渡り
山を越え

世界中から集められて作られた



みんなの
心を
少しずつ感じ

ひとつの形に作られた





〜水面に写る空〜


水の流れに沿って歩くと
川幅が広くなった

川原に下りて
水辺に腰を下ろし
木々が開けた空を眺めた

てっぺんにある太陽が
優しくもあり
疎ましくもあり


しばらくそうしていると
空を眺める視界の端から

鉛筆の芯のようなものが七つ
ゆっくりと空を横切る

通り過ぎたあとに
低い唸りが続く


あれが向かう先で

また悲しみが生まれる

あれが向かう先で

また誰かが英雄になる


あれが向かう先で

何かが終わり

あれが向かう先で

何かが始まる


僕は

あれが向かう先のことを考えないようにして
純粋な水の流れに顔を落とした

僕の顔は

日の光りを反射する水面には映らない
まるでモザイクのように


僕は

白い右手と黒い左手
両方を使って水をすくい
口に運んでのどを潤した


つぎはぎだらけでいびつな僕も

のどがかわけば水を飲む

つぎはぎだらけでいびつな僕も

今夜おちつく場所を求めて歩き出す

イメージ 1

僕は
海を渡り
山を越え

世界中から集められて作られた



みんなの
心を
少しずつ感じ

ひとつの形に作られた





〜ぬくもりの影〜


昼暑く
夜寒い
瓦礫の集落で君を見つけた


右は最後の日の傾き
左は長くいびつな影

ここで動くものは
瞬きしかしないトカゲと
軒先でゆれる干し草ぐらい

小さな君は
大きな人に抱かれたまま最後の眠りにつこうとしている

「もしも君が僕ならば…」
そう思うと膨らんだ胸が痛くなった

「もしも僕が君ならば…」
そう思うと穴の開いた胸が冷たくなった


一瞬
君の目が開いたように見えた

僕は
日が沈むのを待って君と別れた


冷たい風が僕の背中を押した
何もできない僕の背中を押した

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僕は
海を渡り
山を越え

世界中から集められて作られた



みんなの
心を
少しずつ感じ

ひとつの形に作られた





〜ジャングルの空き地〜


傷つき
道に迷った兵士が
ジャングルの空き地で僕を見つけてこう言った

「君は人か
それとも天使か
はたまた悪魔か」


僕は
こう答えた

「僕は僕で、
 貴方でもある者です」


兵士は虚ろな目で僕を見つめながら「なるほど」と言って腰を下ろした


僕は
足元に横たわっている別な兵士が握っていた拳銃を拾った


細く白い僕の右手が
自分の目を覆う

太く日に焼けた僕の左手が
引き金を引いた


銃声に驚いた虹色の小鳥が悲鳴を上げて飛んでいった


僕は目を覆ったまま泣いた
すると空が泣き出した

僕は溶けてなくなってしまった

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