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落語だと圓朝作品などに代表される長講連続作品。最も色んな人が演じているのは、『牡丹灯籠』だと思います。
私が3回以上の連続で聴いているのは、雲助師匠、正雀師匠、馬桜師匠、そして喬太郎師匠の四人です。
「お露新三郎」「お札剥がし」や、その後の「お峰殺し」「関口屋」この部分だけ演じる人あると思いますが、
この『牡丹燈籠』、全部通しでやると、どんなに噺を端折っても六話でやるのが限界か?(喬太郎師匠が全6話で演じた)
速記をみると、だいたい一話20分くらいの尺で22話とかで演じております。寄席の興行が15日とか20日とかある時代で、
毎日寄席にお客さんに来て貰う為に、細かい切れ場で客の心を掴もうとしたのだと思います。
だから、『牡丹灯籠』も全12〜15話で演じると、3回に1回は恐ろしいダレ場になり、退屈する事このうえない。
まぁ、初めて通しで聴くのなら、ダレ場に退屈する度合いも比較的緩いと思うのですが、それでも演者の技量がないと。。。
落語も講釈も、このダレ場を聴かせても、客を退屈させないのが、名人の芸と言われてはおりますが、
演者の技量で、ダレ場を退屈させないのにも限界がありますよね。根多振りだったり重要なキッカケの仕込みだと、
このダレ場をカットする訳にもいかず、難しいです。
さて、私が圓朝作品で連続で聴いた事があるのは、『牡丹灯籠』の他では、
『怪談乳房榎』正雀師匠で最後まで聴いています。松鯉先生、松之丞さん、三三師匠は最初の二話、落合の重信殺しまで。
『真景累ヶ淵』龍玉師匠と、雲助師匠で「宗悦殺し」、「深見新五郎」、「豊志賀の死」まで、
歌丸師匠の「お累の婚礼」「勘蔵の死」「お累の自害」「聖天山」を横浜関内で聴きました。
六代目圓生がやっているとこまでは、あるのですが、この先は聴いておりません。
『粟田口霑笛竹』正雀師匠で全三話を聴きました。そして黒門亭で一時間での一話ダイジェストも聴いた。
『業平文治漂流奇談』雲助師匠が最初の部分を三話だけやって、続きは又の機会にと言って続かなかった。
最近は、最初の一話だけしかやりません。師匠の弟子に是非やって欲しい噺です。
『緑林門松竹』龍玉師匠と馬桜師匠で聴いています。龍玉師匠は、一夜で全部語るって会にも行きました。
この噺も、またかのお関が登場し新助が殺される辺りまでは面白いけど、終盤は流石に毒殺に飽きてしまいます。
『名人長二』馬石さんで通しで全部聴きました。ただ、馬石さん覚えたばかりでいまいち物語に入り込めませんでした。
同時に『お富與三郎』を雲助師匠で聴いて、そちらに引き込まれて集中できなかったのもあります。
この時に思ったんです、連続物を別々二席聴くのは、集中力が続かない!!
圓朝以外では、談洲楼燕枝の『嶋鵆沖白浪』ですね。三三師匠のライフワークになっていますが、その横浜公演を観ました。
これも全十話ですが、結構なダレ場もあります。そうそう、圓朝モノで聴きたい!聴きたい!と思って聴けていないのが、
『塩原多助一代記』ですね。芝居では見ているのに、落語で聴けてないのです。
一方、講釈は数多にあります連続モノ。神田松鯉先生が愚直に昔から連続モノを読み続けておられます。
そして、その弟子、阿久鯉、鯉栄、そして松之丞の三人に、この教えが色濃く伝わっていて、
それぞれの特徴に合った連続モノを、伝承しておられます。松鯉先生の師匠、二代目山陽先生は寄席に出てからは、
「もう、長講連続作品の時代じゃない!!」と、仰って端モノばかりを寄席で掛けておられました。
弟弟子の愛山先生も連続モノおやりになりますが、松鯉先生ほどの拘りはないようです。
そんな神田松鯉一門で聴いた連続モノが、下記のような作品になります。
『寛永宮本武蔵傳』今年は、松之丞さん一人での正月連続読みがこの作品で、続けて「講談研究室」でも俥読みされます。
当初は、松鯉先生、松之丞さん、そして“みのり”さんの予定でしたが、“みのり”さんが紅一門に移籍したので、
二月は松鯉先生、松之丞さんの俥読み、四月からは鯉栄先生が加わり、鼎での俥読みとなります。
『慶安太平記』松之丞さんが「松之丞百席」で読んだのと、「講談研究室」での松鯉先生との俥読みを聴きました。
そうそう、「朝練講談会」が始まった年、その時のGWに春陽・松之丞での俥読みもこの根多でした。
勿論、談志、談春、志らくでも「宇津ノ谷峠(禅達の旅立)」と「吉田の焼討ち」「箱根の惨劇」は聴いています。
『柳沢昇進録』阿久鯉先生で、今まさに聴いております。約半分が読み終わった辺りですね。もう少しで「浅妻舟」です。
『天保水滸傳』これは最初GWの「朝練講談会」で春陽・松之丞の俥読みで全部を聴いて、
翌年、赤坂「峰村」で、松之丞さんが一人で通しでやりました。「峰村」の女将どうなさっているのか?
『天明白波傳』こちらは、らくごカフェの「松之丞百席」の最後の根多だったように記憶しています。
「八百蔵吉五郎」だけ、松之丞さんで聴けておりません。最近、「八百蔵吉五郎」はやりませんねぇ。
『村井長安』「講談研究室」で松鯉・松之丞で俥読みされた後、阿久鯉先生の須賀神社の勉強会で全部もう一度聴きました。
ただ、この噺は、後半の噺が、実にとって付けたみたいな展開になり、大岡様も殆ど登場しません。
だから、通しで演じられるより、「重兵衛殺し」から「雨夜の裏田圃」、この二話だけ抜き読みされるケースが多いと思います。
『畔倉重四郎』最初は松之丞さんは「西新宿ミュージックテイト」で根多卸ししていたのですが、鯉栄さんとの二人会でした。
そうだったので、鯉栄さんが真打披露でテイトの会を休む事になり、新宿レフカダにて全話通しの会をやりました。
更に、その後、「講談研究室」で松鯉・松之丞で俥読みされました。この噺も、「奇妙院登場」辺りから無駄に長いと思います。
「金兵衛殺し」から「栗橋の焼場殺し」までの二話は、実に面白いのに… 全十話かせめて十二話ですよねぇ。
『祐天吉松』この噺は聴き逃してしまいました。最初の二話と飛鳥山しか聴いていない。朝練で誰かやってくれないか?
『徳川天一坊』これは朝練講談会のスペシャル企画で春陽先生で半分くらい聴いて、松之丞さんの勉強会『まつまつ堂』でも聴いています。
二代目山陽の『徳川天一坊』を聴いて、あの江戸川乱歩が「講釈は推理小説より面白い!!」と、言ったとか?!
最後に『赤穂義士本傳』これは貞寿先生が二年間、ことたま堂とイルパッショで掛けたやつを全十二話くらいですかねぇ。
楽しいとは思いませんが、討入までの準備、内蔵助の心理戦のような部分が、現代の官僚政治に繋がる部分を感じます。
さて、圓朝作品と講談の長講を聴き比べて、一番思うのは、構造/骨格的な展開させ方というのは、
比較的似ている部分を感じます。それは、主線のストーリーと複線のストーリーを同時進行させて、
中盤過ぎから、関係なさそうな二つのストーリーが徐々に関連付けされて、一気に大団円となる展開です。
これは、寄席に客を通わせる為には、非常に有効な手段で、およそ半分くらいまで聴いても、
全然ストーリー全体が読めないし、1回聴き逃すとストーリー展開に付いて来られなくなる虞が大なのです。
ただ、『牡丹灯籠』のようにドラマッチクな主線/複線は稀で、多くの長編は無駄に伏線が絡んで、
単に物語を複雑にしているものばかりだと感じます。『牡丹灯籠』の勝因は、複線「お露新三郎」の方が、
主線「孝助の復讐」より面白い点です。更に決め手とも言うべきポイントが「伴蔵とお峰」の存在です。
この「伴蔵とお峰」が主線と複線を結ぶ第三の主人公となり、物語を面白くさせています。
一方、講釈の長編モノは、大きな特徴があります。それは、主線の物語と人物伝で構成されているのです。
『赤穂義士伝』『慶安太平記』そして『徳川天一坊』も、このパターンで展開されます。
天一坊は、主線6:人物伝4くらいですが、義士伝と慶安太平記は、主線4:人物伝6で描かれます。
そして、『天明白波伝』と『天保水滸伝』この二つは、人物伝が7〜8と強調されているので、
一話一話が独立して抜き読みしやすい長編になっております。言い換えると連続で聴いても、
あまり得る物がないと言うか、冒頭の十分程度のあらすじが有れば、何処からでも聴けるメリットを感じます。
この主線/人物伝のバランスで優れていると私が感じるのは、『徳川天一坊』と『清水次郎長伝』です。
どちらも、登場人物のキャラが立っていて、物語自身も素晴らしくよくできていおります。
天一坊は陰謀のスケールが大きくて、緻密に計略する部分と、張ったりで切りぬける部分のバランスがいい。
片や次郎長伝も、結局悪い奴に騙された身内や兄弟分の復讐/仇討が繰り返されるだけなのですが、
次郎長の貫目が上がるにつれて、そのスケールがどんどん大きくなり、最後は「血煙、荒神山」になります。
また、『徳川天一坊』と『清水次郎長伝』は、それなりにできる演者だと素読みにしても面白い!!
これも特徴です。『天保六花撰』も主線/人物伝のバランスが良い作品なのですが、
こちらは、河内山宗俊という人物を魅力的に演じきれないと、物語がつまらなくなります。
不思議と、『清水次郎長伝』は、次郎長を十二分に描けなくても、それなりに面白いのです。
あまり講釈師は(落語の場合にも言えるけど)、聴く側から語る側に成った人が殆どなのに、
自分の技量に合った作品を選ぶという事はしないようです。殆ど、好き/嫌いか師匠や先輩の薦めで、
やる作品を選んでいるように思います。覚える作業って、講釈は落語よりもかなり大変だと思うのです。
江戸時代のように、釈台の本を見て読んでいるのではなく、ソラで読みますからねぇ。
ダラダラ、長くなってしまいましたが、端モノは良いけど、連続モノはやる前に吟味を十分したら?と思います。
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家元のは、伝説の浪曲師・木村松太郎仕込みですからね。私は残念ながら、関西在住時代だったので松太郎先生は生で聴いておりません。
2018/1/19(金) 午前 11:16 [ Mars_jj_boy ]