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このシリーズ、意外と続きましたね。さて、今回は戦記物を取り上げてみたいと思います。
落語で戦記物というと、『源平盛衰記』ではないでしょうか?古くは三平師匠がやっている映像を見た記憶があります。
そして、落語の方では、何と言っても、この『源平盛衰記』で真打披露のトリを取った、柳家小ゑん改め立川談志でしょう。
一方の芸術協会では、伸治の文治師匠、西武池袋線のラッキーおじさんとして女子中高生に人気だったあの師匠の十八番でした。
だから、当代文治師匠も引き継いで演じますし、立川流の真打もたいていやります、『源平盛衰記』。
【落語】4人9回
・桂文治 ×3
・立川志らく
・立川談春 ×2
・林家なな子
【講釈】9人13回
・一龍斎貞奈 ×2
・一龍斎貞鏡
・一龍斎貞寿
・神田伊織
・神田すず
・神田鯉栄
・神田松鯉 ×2
・神田松之丞 ×3
・田辺一乃
落語の『源平』は、殆どが義経が源氏軍の大将として活躍する噺がメインで、鵯越えから壇ノ浦までを地噺で演じられます。
一方、講釈は落語のそれよりピンポイントで演じられ、そして最も多いのが、『那須与一の扇の的』です。
また次に多いのが義経と弁慶の『五条橋』です。それ以外私の場合は、『敦盛の最期』と『巴御前』です。
講釈の戦記物は、必ず、修羅場の読みが入り、合戦の様子を講釈らしく伝えるのがお約束です。その修羅場のリズムの稽古は、
家康が信玄公に攻められて脱糞したので有名な『三方ヶ原軍記』。これも勿論、戦記物の代表で、講釈師だけでなく、
談志家元が存命の頃は、立川流の二つ目試験の中に、この『三方ヶ原軍記』の修羅場を読む試験がありました。
そして、立川こはるさんが、談春師匠に、公開でこの試験をやられて、公開稽古みたいに成った「かもめ亭」の高座を見た記憶があります。
さて、次に有名な軍記といえば、大河ドラマ「真田丸」の影響もあり『難波軍記』ですね。講釈の『難波軍記』は、豊臣贔屓の引き倒し!!
いまでもやっていると思いますが、大坂夏の陣の頃に、旭堂の講釈師が南凌先生を中心に集まって、「打倒・家康」の決起集会をやります。
ゲストに江戸の講釈師も呼んで、家康の弁護をさせてそれを大坂方が一斉に口撃するという、ディベートみたいな感じのイベントです。
結構、コアなファンが多くて、会場も一体になって盛り上がる企画です。太閤没後の混乱から、豊臣滅亡の合戦記です。
勿論、噺の中心に居るのは、真田幸村です。真田十勇士もちょびっと活躍します。講釈ではない『難波軍記』と読み比べると面白いです。
さて、軍記物の特徴は、時代時代に書かれた当家の歴史資料的な軍記(勿論、手前味噌な脚色はある)、平家物語のような物をベースに、
これを講釈師が、観て来たように編集/脚色して仕上げた物が、軍記物として講釈の世界に脈々と受け継がれております。
講釈は、元々台本を読んで聞かせる芸だったので、伝承し易いですよねぇ。
そして、時代によって言葉も違うし、戦い方も違うので、同じ軍記物と言っても、室町時代のそれと戦国時代も末期のそれでは大きく違います。
『仮名手本忠臣蔵』と『赤穂義士傳』くらい違います。先に紹介した『源平』と『難波戦記』でもよいので、是非、聴き比べて欲しいと思います。
つづく
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