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土曜日のお昼、神田で電車を降りて須田町方面へ歩く、ちょうど12時に「やよい軒」に着いて、迷いながら『すき焼定食』の肉1.5倍を選択する。
あえて、ビールは我慢して、ゆっくりとすき焼を楽しむ。肉は松屋より美味く、吉野家よりはやや落ちる。卵は牛丼チェーンのより黄身がでかい!!
白菜・ネギ、糸蒟蒻、うどん、焼き豆腐と肉以外の具も充実している。甘さも控えめだし、ご飯が進みました。
そんな食事を堪能して、連雀亭に12時55分くらいに着くと、既に入口近くまで階段に列があり、結局、31/38という、松之丞さんが出ない会で、こんなに満員になるのは、初めてかも?
そんな、小雨がまだ時折降っていた土曜日のお昼の連雀亭「きゃたぴら寄席」、こんな内容でした。
1.三方一両損/寸志
やや地味な印象ではありますが、凄くテクニシャンと言うかぁ、業師だと思う寸志さん。この噺、あまり考えずに演じると、お白州前で飽きてしまいます。
と、言うのは、吉公と金公が似たような職人気質の江戸っ子なんで、最初の喧嘩あたりで、展開が一本調子で、聴いていて飽きが来る感じの退屈を覚えてしまいます。
特に、スピード感だして、二人の語りが酷似して、しかも、グイグイやられると、何とも疲れるながらの退屈を味わう事になります。
しかし、寸志さんのは、吉公は最初受け身で、穏やかな感じに、やや、突き放す感じで金公をあしらい気味に科白を吐いて、ポカっと殴った後からスピードが増して行きます。
そして、隣人が騒いで、止めに大家が入る辺りがピークで、江戸っ子らしい啖呵が、絶好になるのです。
これに対して、金公は出足好調で、江戸っ子らしくポンポン!と、切れた科白を飛ばします。だが、吉公の科白が、加速して啖呵へと変わると、こちらに押され気味になり、最後はややタジタジに。
そして、これをやや引き摺る型で、金公は自分の大家に、吉公との喧嘩話を語るのです。このくだりがあっての、最後のお白州で、お奉行様は『三方一両損』と言う言葉の響きに、自画自賛となります。
寸志さん、上手いなぁとは感じるんですが、もう少し華があると、人気出るんでしょうね。話芸の匠は、光るモノがあるんだが、独演会を観に行こうとは、なかなか。
普通の咄家が、やらないようなネタを、ネタ出しでやってくれたりしたら、行くかもしれません。
2.笹野名槍伝「海賊退治」/紅純
神田では、阿久鯉先生、松之丞さん。一龍斎では、貞橘先生、貞寿先生でも聞いている、偽笹野権三が登場する武芸モノ。
神田の皆さんは、紅純さんを含めて、凄く調子のいい感じで、二代目山陽の弟子らしい講釈です。一方、一龍斎のは、貞橘先生のが特にそうですが、海賊が出るまでの緊張感が凛としていて、独特です。
紅純さんの『海賊退治』は、2回目ですが、二年前の講談研究室で聞いた時より、かなりアクションが大きくなっていて、立体的な講談でした。
紅純さんのアクションが、非常にコミカルで、小さい体を大きく使う演技が、漫画のようで、彼女の個性となるのかと思います。
3.宗論/吉好
マクラでは、師匠・現在の五代柳好とのお酒のエピソードを振ってから、本編の『試し酒』に入ったが、一升盃で五升の酒を飲めるか?挑戦する井上さん。
尾張屋を近江屋が訪ねて、話が始まる展開は、原作通りだが、お伴の下男が久蔵ではなく、井上晋三さん?さらに、普通は、ここから五升の酒が呑める/呑めないで賭けになり、
尾張屋と近江屋がもめ始めて、近江屋は下男久蔵ならば、間違いなく五升の酒を呑み干してしまうと、豪語するが、尾張屋はそれに対し懐疑的な意見を返していた。
そして、この争いを見ていた久蔵が、どうしても用事があり少し外に出て来ると告げてぷいと外に出てしまう。
これを見た尾張屋は、久蔵が怖気付いたとおもうのだが… みたいな、ネタ振り・伏線・仕込みを飛ばして、
いきなり、井上さんが、じゃあ五升の一気呑みにチャレンジしようとして、サゲを含めて、吉好さん自身が、『まずい!』と気付く。
すいません!酒の話無し。違う噺にします。と、唐突に言い出して、宗教の小咄で空気を変えて、『宗論』に入りました。
流石に、客席の空気が、変なまんまで、大受けとは行きませんが、酷い事にはならず、吉笑さんのトリに繋げました。ちょっと、失敗。
4.くじ悲喜/吉笑
当然、開口一番、吉好さんの『試し酒』をいじる吉笑さん。芸協は大丈夫か?と。また、言葉にはしませんが、談幸一門が芸協移籍の折に受けた仕打ち、
二つ目だった吉幸さん、幸之進さんは、前座からやり直しさせられたのに、芸協育ちの二つ目吉好さんが、この体たらくとは、と言わんばかりに聞こえました。
さて、『くじ悲喜』。これが3回目だと思いますが、凄く良くなっていました。町内商店街の三角くじの世界観が実にたまりません。
ネタバレするから、詳しくは書きませんが、吉笑さんの代表作になると思います。
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予約成立!!
昼夜、兼好じゃなく満喫します!
この会は、正直、落語・講談はオマケです。六人も出る会ですから、最大持ち時間20分、できれば、17分くらいで廻すのが理想です。
さて、何がこの会の魅力かと言えば、三三師匠が一番のびのびと、楽しそうに落語も、大喜利もやる東京の会と言えるからです。
また、たまさんが企画・演出する大喜利は、本当に体験した事のない笑いの宝箱です。過去にも、こんな大喜利があり、このブログで紹介しています。
2012 一之輔出世数え歌
2012 咄家人生ゲーム
2013 サイコロトーク
2013 細かすぎて伝わらない楽屋モノマネ
2014 いきなりトークショー
2014 イロモネア
2015 アタック25
2016 IPPONグランプリ
2016 成り切り笑点大喜利
2017 YES &No アンケート
2018 クイズドロミファどんなんかなぁ〜
2018 言い訳王選手権
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主任が柳家喬太郎師匠である事と、次回が三遊亭白鳥師匠なので、eプラスからチケットを買っての参加でした。
今年、一番最初の「JAL名人会」でした。喬太郎人気で出足が早そうだったので、14時に会社を出て16時に到着。
二番目だったので、次回分の整理件も手に入り思惑通りだったのですが、入場が二番目だったから、
間違いなく狙っていた席に付けるものだと思ったら、私が席に着く前に、鞄が置かれている席がありました。
これまで、20回以上、この会には参加しているけど、席が主催者によって確保されているのは初めてでした。
JALの大株主なのか?政府関係者なのか?
女性二人連れでした。下手のテーブル付きのLA列を狙っていたんだけど、仕方なくRA列上手を取りました。
そんな人気者、柳家喬太郎師匠が登場する二月JAL名人会、こんな内容でした。
・弥次郎 … 一猿
・転失気 … 志の太郎
・二人癖 … 丈二
・錦の袈裟 … 金遊
お仲入り
・漫才 … ハマカーン
・死神 … 喬太郎
1.弥次郎/一猿
この会の前座さんは、「○○の弟子の××です。」と名乗りを上げません。禁止されているのか?
前座さんが今のように沢山居ると、前座四年目と言えども名前が覚えられません!!名乗れよ。
噺自身はちゃんとやれる前座さんです。機内放送で使わないので、「名乗るんじゃねぇ〜」と、
JALの技術の人に釘を刺されているのか?不思議です。以前は名乗っていたと思うんです。
権太楼一門の、現在はさん光になっている“おじさん”が前座していた頃は・・・
2.転失気/志の太郎
二つ目になり、カウントダウン寄席で二年、三年に一度聴く程度の志の太郎さん。普通にできる二つ目さんです。
この日も、寄席としての流れ、前座の後の二つ目の役目を十分理解していて、お寺の落語会の様子を面白く伝えて、
そこから和尚さん繋がりで『転失気』へと入り、十分笑いを取って、客席をいい感じに温めて下がりました。
3.二人癖/丈二
名前が“丈二”の前は、“小田原丈”だった、いつものマクラから入り、人間の癖のマクラを振って本編へ。
実に貴重です、2014年に『禁酒番屋』、2016年に『牛ほめ』を聴いていらいの10年で三回目でした。
ただ、この『二人癖』は、三人のキャラクターが丈二師匠らしい演出でしっかりでき上がっていました。
軽くて、丈二さんらしい一席でした。寄席の出番などではやっているんでしょうねぇ。
4.錦の袈裟/金遊
マクラで、「数字の5に拘る知人」の話をされました。五月五日の五時五分に生れたので、
自身のラッキーNo.は“5”だ!と、硬く決めている男性の話。これはそれなりに面白かったのですが!!
本編が実に笑いが少ないのです。奇を衒うようなくすぐりは一切入れませんが、素にやっても最っと面白いはずなのに…
これ、JALの機内に流すのかな?笑いを増して。そんな感じでした。
5.漫才/ハマカーン
Twitterにも書いたけど、二人の間が漫才としては少し変でした。たまに喰い気味な喋りになっていて、
喰われた方が、びっくりして喋りを止める感じになり、暫く間が取れるんだけど、また興奮すると喰い気味になる。
独りの科白は、それなりに面白いんだから、ネタとしては悪くないのですが、劇場やテレビ・ラジオでやってない感じ?
明らかに、サンドイッチマン、ナイツ、ロケット団、ホンキートンクとは違いました。
6.死神/喬太郎
以前はよく聴いていた喬太郎師匠の『死神』。過去十年に6回聴いていました。しかも2009〜12年に。
2009
・横浜にぎわい座
・練馬文化センター
2010
・恵比寿ガーデンルーム
・成城ホール
2012
・銀座ブロッサム
・社ホールはしもと
2011年は東日本大震災があったから『死神』自身を聴いていなくて、年に3〜4回聴く『死神』の二回が喬太郎さん。
この日の死神も、基本的には、この頃に聞いた『死神』と同じです。甘井羊羹、稚内終点などの医師の名前が登場します。
そして、この日の呪文は、「アジャラカモクレン、JALカード、マイルが貯まります。パン!パン!」でした。
あと、細かいところで変わっていたのは、以前は死神の容姿を、細かく描写していたのが無くて80、90になろうかという老人。
そう表現するだけで、サラッと過ぎてしまいました。また、蝋燭が沢山ある部屋に連れて行かれた時に、
主人公が、別れた息子と女房の蝋燭にコメントする前に、必ず、その時に、他界した有名人を蝋燭に喩えて弄っていましたが、
これも尺の関係か?長年、ここで弄っていた歌丸師匠が死んでしまったからか?無くなっておりました。
尚、サゲは実にオーソドックスに六代目圓生と同じパターンで、火が死神に貰った蝋燭に移らないパターンのサゲでした。
まぁ、オーソドックスと申しましたが、近年はサゲを新しく考えるのが『死神』になっていて。。。
圓生のサゲを継承している方が珍しいと感じるかもしれません。
そうそう、今思い出しましたが、必ず、死神が主人公に言う「医者に成れ!儲かるぞ、医者は。」の後に、
喬太郎師匠は、主人公が「この会場に、医者が居たら気分を悪くするよ!」と返します。そして、更に続けて死神が、
「仕方がないだろう、本当の事なんだから…」とも、続けて云う。
次回は、三月二十六日(火)です。主任は三遊亭白鳥師匠、おそらく、自作の『初めてのフライト』をやると思います。
主人公をちゃんと小沢一郎でやってくれるか?また、それをまんまJALが機内に放送できるか?楽しみです。
昔、JAL名人会で、談志師匠が石原新太郎を『権兵衛狸』の中で、弄ったんですよね。しかも、石原さんが運輸大臣の時代に。
ちょうど、動脈瘤で裕次郎が倒れて、自衛隊が出動して、慶応病院まで緊急搬送して、石原さんが野党から公私混同!!
と、攻撃されて、それに石原さんが、「警察(西部警察放送中)を自衛隊が助けるのは当然だ!」と答弁し、問題になった時。
談志師匠が、狸の毛を刈る場面で、「このタヌ公、こうしてやる慎太郎カットだ!」
「自衛隊が警察を助けて何が悪い!とか言うが、西部警察は警察じゃねぇ〜」とか言いながら狸の毛を刈ったらしい。
すると、この『権兵衛狸』を運輸大臣をdisったまんまノーカットで飛行機では放送したそうなんですよ。
すると、飛行機に乗った石原運輸大臣が、これを聞いて激怒!監督省庁の大臣がdisられている落語をタレ流すとは!何事だ!と、即刻、放送を中止しろ!と、クレームになる。
勿論、JALは泣く泣く?放送を差し替えて、放送を中止します。しかし、この一部始終を談志師匠に、ご注進!と、チンコロする奴が居て、今度は談志師匠がJALに抗議したんだそうです。
JALは、大臣に言われたら、表現の自由を曲げてしまうのか!!絶対に俺は認めない、JALに強く抗議する!説明責任を果たせ!と、やられたそうです。
以来、暫く、立川流はJAL名人会には、呼ばれなかったと、談春師匠が、JAL名人会のマクラで言っていました。
さて、白鳥師匠が、談志師匠に負けないくらいに、小沢一郎をどのくらい弄るか?今から楽しみです。
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過去に、一度だけ道中付けに関する記事を書いております。2016.05で、落語『黄金餅』の道中付け。
◇黄金餅の道中付けを考える
この時は、思い付きで横浜の道中付けを作ってみたりしたのですが、やっぱり「道中付け」と言えば講釈です。
落語で、この『黄金餅』以外に、私がパッと思い付いた道中付けは、『御神酒徳利』の大坂から江戸へと、
番頭の善六さんが帰る道中に、この道中付けがありますね。
京出ては、またも大津や草津に石部、あいの土山雨となり、鈴鹿を越えれば亀山宿、
ひいふうみっつ四日市、いつか桑名に舟こいで、赤坂御油は昼の月、
仲も吉田や白須賀新居、願いを掛川金谷の宿、びんのほつれの島田も過ぎて、
ここは名高き沼津の里、富士見しろさけ名物を、ひつとつめせめせかごにめせ、
箱根を越えれば小田原。大磯おり保土ヶ谷超えて、神奈川宿。新羽屋稲荷の霊験新かに、
川崎からの渡し舟。六郷土手から品川へ、やって来ました日本橋は馬喰町、おっかぁ!帰ったぜぇ。
七五調の科白を、独特の節回しで語るのが、この「道中付け」で、講釈師はその流派の、その師匠からの独自のリズムと節回しを受け継ぎ語ります。
ただ、一龍斎や神田は、まずやらないように思います。「道中付け」と言えば田辺か?宝井か?東海道や、中山道。時には奥の細道までも、「道中付け」で語ります。 現役だと、やっぱり、鶴遊先生と凌鶴先生でしょうか?師匠である一鶴先生の芸、「道中付け」を、一鶴リズムでやって下さいます。 一鶴先生と言えば、「東京五輪の入場行進」。これで人気に火が付いて、広くテレビ・ラジオ、そして映画に出るようになりました。 また、この「東京五輪入場行進」は、道中付けの手法を使っていて、田辺の講釈らしい調子で、一鶴先生の弟子たちに広く受け継がれおります。 道中付けには全く関係ない余談ですが、平井の圓蔵師匠が、前座時代の松之丞さんに初めて会った時に言ったそうですよ、 「お前は、何で講釈師なんかになった?落語家になれば、名人になれたかもしれんのに。だから、お前はあの前座より、出世の可能性が無い!! なぜなら、お前はどんなに売れたとしても、一鶴どまりだ!講釈師のMAXは一鶴だからなぁ!!」と。 さて、道中付けに話を戻します。 吉良を討った大石ら四十七士たちは、その後どのような行動をとったのでしょうか。吉良邸討ち入り後の彼らの足跡を追ってみましょう。 吉良を討った四十七士たちは当初決められていた通り、主君であった内匠頭の墓所がある泉岳寺に引き上げます。 当時、吉良邸は両国にありました。現在は公園と石碑が残るのみですが、この両国から泉岳寺までの道のりは、実に、道中付けにぴったりというか、道中付けの為にあるが如き、三里半の道のりです。 その道中付けの前に!所謂、講釈で言う「修羅場(ひらば)」の部分があります。パン!パン!会稽山に越王が、恥辱をそそぐ大石の、山と川との合言葉、末代めでたき武人の亀鑑!! 四十七士の名前を読み上げながら、討ち入って吉良の首を討ち取るまでの、経緯を、パンパンやりながら、名調子で聞かせる修羅場です。 表門の大石内蔵助隊と、裏門の大石主税隊が、同時に攻め込み、同時進行で、その活躍が読み上げられる。忠臣蔵のクライマックス中のクライマックス!! この後にですよ、吉良邸から泉岳寺までの道のりを、道中付けにすると、先の修羅場からの流れで、盛り上がること間違い無しなんですが、 多分、覚えるのが大変なのか?それとも、体力的にしんどいからか?まず、誰もやりません。四十七士の名前を読み上げるだけで、五分近い修羅場ですから無理も無い。 そこに、この二分弱ぐらいの道中付けが入れば、鬼に金棒のような義士伝になると思うのは私ダケなんでしょうやぁ!! 両国は、本所松坂町の吉良邸後に、四十七士の大行進。
内蔵助を先頭に、一糸乱れぬ隊列なして、主君が眠る泉岳寺、サクサク、サクサク進みゆく、
回向院の門前通り、あれに見ゆるは一之橋、
大川からの風受けて、ゆらゆら揺れる槍先には、吊るして運ぶ吉良の首、
浪士一行は一之橋を渡り切る!!、そこに見えるは御船蔵。
次に浪士を迎えしは、別名を元番所の橋と呼ばれてた!萬年橋。今じゃ立派な鉄のお橋に御座います。 萬年橋から清洲橋、清洲橋から永代橋。沿道集まる野次馬を、掻き分け掻き分け、浪士が通る。拍手喝采!雨あられ、リバーサイドを進みます!! 橋を過ぎにしキラキラと。川面に見ゆる日輪の。返す光は眩しくて、浪士は上野介思い出し、「憎くき吉良メ!吉良メ!」と口に出る。 永代過ぎて八丁堀。奉行所大戸はまだ閉じて、鉄砲洲稲荷がお出迎え。 そこに見えにしは、かつて主君がおわします、そう!浅野邸。思わず足が止まる隊列を、「前へ!前へ!」と叫ぶ声。
声の主は誰あらむ、老僕・堀部弥兵衛その人だ!弥兵衛の声で浪士たち、本願寺前に差し掛かる。 本願寺を後にして、夜泣き屋台が店仕舞い、そんな新橋越えて、日比谷神社と芝大門。芝大門から札の辻。三田に来ました御田八幡!! 高輪大木戸くぐり抜け、やって来ました泉岳寺。主君の墓前に、召し出されしは、憎くき憎くき吉良の首!! バカボン!!じゃなくて、おそまつ!! |
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今年一月三日に馬るこ師匠との会で『親子酒』を聴いて以来の宮治さん。
毎回、後輩の前座さんにタップリ時間を与えての前方をやらせる。この会で初めて見て、
現在も連雀亭やその他の会で観ている音助さん、鷹治さんなんて二つ目さんが居ます。
そして、そんな前方が、今回は遊之介のお弟子さんで女流の「遊七」さんでした。
さて、そんな宮治さんのにぎわい座・のげシャーレでの会!こんな内容でした。
1.オープニングトーク
水前寺清子の「365歩のマーチ」に乗って、演歌歌手のような金銀の刺繍入りの派手な着物で登場の宮治さん。
「なぜ、今日はこの衣装で、水前寺さんなのか?分かりますか?!」と、客席に向かって問いかける宮治さん。
派手な着物は、俳優養成所時代に、役作りで浅草伝法院通りの吊るしで買った衣装だと言う。物持ちがイイ!!
さて、水前寺清子の理由は、二女の保育園年長さんが、上野動物園に卒園遠足で行って“チータ”がお気に入りに。
そんなチータとチータを掛けた趣向ですと言うのだが…。娘は水前寺さんなんて知らないだろうに…
その後は、中野zeroの独演会。あそこは、小ホールと言っても五百のキャパなので、と、集客アピールに終始します。
国立の三百、本多劇場の四百はクリアーしている宮治さん、次は中野zeroの五百に挑戦です。
映画館での落語会があり、2年前の落語会スタートで呼ばれて、久しぶりに裏が返ったと喜んだ宮治さん。
映画「マスカレードホテル」と、映画「七人の会議」が上映されていたそうです。
その映画館に向かう途中、電車の中では、東野圭吾原作の方の小説「マスカレードホテル」を読みながらの移動。
映画館の最寄り駅に着く直前に読み終わっていたので、落語会の後、映画「マスカレードホテル」を見ようと決めて、
上映開始時間をチェックする宮治さん。すると、15時30分。落語会も15時30分に終わる予定。。。間に合わない。
気を取り直して、それならば、映画「七人の会議」はと、見てやれば、15時35分、これも厳しい。
確かに、映画の冒頭は10分程度のCMタイムだけど… そこまでして着物を速攻で着替えてまで見るのはと、諦める。
そして、そんな事前確認をしたマクラを映画館で振って、洒落でですよ。「マスカレードホテルの犯人を云います!!」
と、客席に向かって叫んでいたら、イオンモールの関係者が「止めて下さい!犯人は言わないで下さい!!」と、
青い顔して飛び込んで来たそうです。洒落の分からないイオン。流石、岡田克也の実家だ!と思いました。
更に、宮治さんがトリ根多の『片棒』で、三男の鉄三郎が登場したくらいの所で、一番前に居た女性三人組。
このうちの一人の御婦人がソワソワし出し、周囲に「ごめんなさい」のポーズを取りながら席を立とうとする。
まっすぐ後ろに行って、帰るなら我慢もするのだが、最前列の通路を通り、宮治さんの前を通って出ようとした。
宮治さん、トイレかな?と思いながら、弄ってやろうと、呼びかける「鉄三郎!ソワソワして何処へ行く、雪隠?憚りか?」
と、云うとその女性から思いもよらない答えが返って来た。「違います、『マスカレードホテル』を観に行きます。」
宮治さんの落語で、この女性の返しが一番受けたんだそうです。
(最初、宮治さん、怒りと興奮のあまり『片棒』を『七段目』と言ってました)
2.道具や/遊七
たぶん40代の女性前座さんです。遊かりさんよりは年上、風子さんと変わらないくらいの年齢だと思います。
旦那さんとお子さんが居て、前座になられたと、宮治さんが言っておりました。旦那さんが働いていて、
お子さんは小学生らしいので、そんな状態でお母さんが、前座になるなんて… 余程理解ある家庭なんでしょうね。
さて、落語の方ですが、与太郎も客もそれぞれ個性を見せて演じ分けていましたが、最後の訛りが強く、
短刀をみせろという頑固そうな老人は、何か変んな感じでした。そんなに酷くはないのですが…
3.風呂敷/宮治
当然の儀式で、まずは、遊七さんを弄る。先に申し上げた旦那様と小学生の子供が居ての楽屋入り。芸協内でも波紋が…
相変わらず、宮治節は健在で、最初は遊七さんだったのが、同じ女流でやや先輩の芸協のあるお方を全力で弄り始める宮治さん。
ここに書くと波紋が広がるので、書きません。そんな毒も宮治さんらしさだと思います。一之輔師匠とかぶりそうで被らない。
何だろう、ある意味、一之輔師匠よりきつい毒を吐いても、宮治さんだと許されるような所がありますよね。
さて、本編の『風呂敷』。私は、このよこはま宮治展でネタ卸しを2014年に聞いていました。
5年間の熟成を経て、かなり落語へと進化していました。前回はコントっぽくてドタバタ感が強かった。
それでも志ん生のくすぐりをまんま入れていましたが、今回は「女三界」「李下に冠」「瓜田に靴」の三本でした。
そして、前回どうしたか覚えていませんが、風呂敷を持って自宅を出る兄貴!風呂敷を自分で探して持って出ますし、
女房がこれに絡むような展開は一切はりません。また、サゲを変えていました。ブラックジョークなサゲに。
兄貴分に風呂敷を掛けられる酔っ払った熊五郎、新さんが押し入れに隠れていたのを、実は知っている設定。
最後に、ベロベロだった熊公が、素になって、「兄いのおかげで、新公を殺さずに済んだぜぇ」と啖呵を切るサゲです。
宮治さんのヘラヘラした顔が、一瞬、真顔になり、低く鋭い声で下半身から響くように言う科白がたまりません。
4.宿屋の仇討/宮治
これまた2014年に聞いていました。ただし、宮治さんの会ではなく、三三師匠のにぎわい座の会のゲストで。
この日は、結構押していて、超早口でまくし立てる宮治さん。神奈川の宿が「武蔵屋」で、小田原の夜先の五月蠅い宿は「相模屋」。
そして川越藩士は「石坂大右衛門」でした。前回は何だったか?記録が残っておりません。
この日はちょっと時間を気にして急ぎ過ぎでしたね。もう少し、ゆっくり余裕を持ってやれる時に観たかったです。
5.夢八/宮治
枝雀さんのYOUTUBEの動画を見て、落語家になろうと思った宮治さん。それだけに外せない根多なんでしょうね『夢八』。
登場人物は、大家の甚兵衛さん、夢八こと八五郎、長屋の女性・お綱さん、そして化け猫に乗り移られた首吊男の四人。
初手は、甚兵衛さんと八公の会話から始まり、八公が夢に悩まされて仕事どころではないと愚痴をこぼします。
また、この夢の内容がいいですよね。夢の中で夢を見て、無限に夢がループする。だから起きる時は大変だと言う。
このロシアのマトリョーシカ人形みたいな夢の話が、枝雀さんは、実に夢の世界が見えるようなホンワカした語りでした。
それと比べると、やっぱり目先の笑いになりがちですが、宮治さんは意外と、このホンワカの感じになっておりました。
そして、半分騙されて大家の甚兵衛さんに、弐円と弁当付きで「一晩、釣り(吊り)の番」を頼まれる八五郎です。
この後、弁当作りと警察の立会を任されていた、“吊り”の隣に住むお綱さんが、半狂乱になり甚兵衛さんに苦情を云う。
このお綱さんの苦情は、ストレートな笑いの場面です。宮治さんは、井戸端会議の仲間の長屋の女性陣が、
「首吊が出た!」と、知ると蜘蛛の子を散らしたように長屋を離れて、実家や友人の家に逃げ出してしまいます。
完全に、独りぼっちにされたお綱さんの愚痴が、甚兵衛さんに向けて爆発します。
最後に、薪ザッポを持たされて、“吊り”の現場に案内される八公。上方では薪ザッポとは言わず“割り木”です。
この響きの違い、何とも、この噺を江戸で、小南師匠のように上方弁ではなく演じる人の『夢八』はちょっと違和感を覚えます。
ここで、眠気醒ましに伊勢音頭を唄うのが、普通で、サゲもそれに掛けて、伊勢参りに行く夢を見ている!!になりますが、
宮治さんは、一捻りしていて、伊勢音頭ではなく、東京音頭でやり、伊勢参りではなく、神宮に野球を観にいっている!!です。
そうそう、小南師匠からの人はそうなのか?握り飯だけで、煮しめが出ない『夢八』でした、宮治さんのは。
あと、化け猫が登場してからは、結構、あっさりサゲに向かいます。私はこのパターンの方が好き。
宮治さんの『夢八』。二十分ちょうどくらいで、コンパクトで面白かったです。
さて、次回、よこはま宮治展は、八月二十六日(月)です。
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