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一応、横浜の貸しスタジオでの正雀師匠の会です。稲荷町の正蔵師匠の個展などを開催したりしていて、
今回が正雀師匠を中心に開催される落語会は、合計24回目だと仰っておりました。地元に根付いている会です。
周囲ののどかな風景、最寄りの青葉台駅からのバスで道のりが、あーとすぺーす風での小せん会に似ております。
初めての会場だったので、1時間くらい余裕を見ての参加でした。私の家からだと小田急「柿生」が最寄駅なのですが、
「柿生」からのバスが日曜日は、1時間に1本しかない!!流石に、このバスにピンポイントで乗るのはリスクなので、
日曜日の昼でも、1時間に6本以上ある「青葉台」からのルートを選択しました。
ただし、このルートだと、バス停が「寺家町」ではなく、「鴨志田団地」です。ここから徒歩15分となっています。
初めてバスで着いた「鴨志田団地」。団地と横浜市指定文化財財団の建物前になります。
前景に山があり、なだらかに下る感じで、その山の麓に到着。バス停から100mくらいです。
ここで、1つ迷いが生じました。寺家スタジオさんの地図では、この山の裾野を迂回して、
やく500m〜600m歩くコースが指示されていて、この工程で15分と言っています。
しかし、真っ直ぐ迂回せずに山を登って、幼稚園の横を通れば300mくらいで寺家スタジオに行けるのです。
このルートで行った方が早いのでは?と思って、やや坂は険しいけど、幼稚園があるくらいだから…
と、この直線ルートを選択して登ったのですが。。。 恐ろしい勢いで登って、即、今度は同じような下り!!
更に、少し行くとまた強烈な登りなのです。帰りは、この山の裾野を迂回してみたらやっぱり、
この迂回の方が楽で、時間も殆ど変わりませんでした。主催者が教える道が、当然正解でした。
そして、やっとの思いで付近まで来たけど、「寺家スタジオ」の看板は在りますが、建物に表札がない!!
結局、スタジオに2回電話してようやく場所が分かりました。HPにある写真のイメージと異なります。
カフェの方にも看板らしきものがないし、本当に分かりにくいと思います。
辺鄙な場所にある会場なのに、超満員の30人くらいの入りで、当日の人も何人かいらっしゃいました。
そんな、山登り気分だった「正雀・白酒」、こんな内容でした。
・子ほめ … 彦星
・犬の災難 … 白酒
・紺屋高尾 … 正雀
お仲入り(ティータイムブレイク)
・万病円 … 白酒
・稽古屋 … 正雀
1.子ほめ/彦星
前座さんがやる根多で、私が最も苦手なのは、この『子ほめ』です。
よくできた筋なので、オウム返しが決まれば必ず笑いになるのですが…
前座さんだと、まず、その「決める」器量がありません。演じ分けるのと筋を追うのが精いっぱいです。
年齢の世辞、この部分で無駄に長い感じになります。それと『子ほめ』をやる前に、
彦星さんは、師匠が『稽古屋』やると知らなかったのかな?思いっきりつく噺ですよね、この二席。
2.犬の災難/白酒
この会は、何度か来ているという白酒師匠。このスタジオを会場にしたのは、前回からで、
それまでは、もう少し狭い、カフェの方が会場だったそうです。そんな初めてのスタジオを見て、
「大変素晴らしい会場ですね」と、世辞を言って、「でも、どこが?と問われると答えられないけど…」
掴みの笑いを取る白酒師匠。いつもの調子で毒を吐きます。それでも自身の会よりは控え目です。
落語の強みは、座布団一つあれば、何処でもできる事。しかし、昔は営業に行くと飛んでもない場合があった。
確かに、最近でこそ落語が認知されたので、そこまで酷い話を聞かなくなりましたが、
白酒師匠は二つ目に成り立ての時に、ショッピングセンターの階段の踊り場でヤレ!と、言われたそうです。
流石に客が止まっては聞いてくれないので、小咄を繰り返しやって、短い根多で勝負したらしい。
この種の営業話はいろんな人から聞きますね。志らく師匠は、二つ目時代に商店会の余興に呼ばれて、
立ってハンドマイク/拡声器(運動会で体育の先生が使うやつ) あれで落語をやらされた経験がある。
また、粋歌さんから聞いたのは、パチンコ屋の入口に仮設高座が作られて、通行人相手に一席。
全然人は集まらない。しかも、パチンコ屋の向かいのタバコ屋が勝手にカメラを設置してUstreamで生中継された。
そうそう、小せん師匠と志の八師匠も、トツカーナモールのバスターミナルの踊り場で落語してました。
落語の認知度が上がったのは、TVの落語放送の効果が絶大。昔は深夜というか早朝に落語番組はやっていた。
しかし、落語The Movieなどは、プライムタイムに放送されていますからね。認知度があがりました。
一方、落語を初めて聴いた人からは、2通りの感想を聞くと言う白酒師匠。
一つは、落語には「起承転結」みたいな、「発端」「展開」「山場」「結論」のようなものが一切ない。
彦星さんの『子ほめ』でも分かるように、「半分でございます」と、一方的にサゲられて終わってしまいます。
八五郎は、はたしてタダの酒にありつけたのか? 世辞が上達したのか?一切触れられず終わり、
続編のようなものも語られない。これにフラストレーションを感じる人が居る。
これに対して、この落語の後味の悪さや、何の生産性の無い無情がいいと言う人も居る。
また、前者のような理由で落語に馴染めない人には、講釈というものがあり、起承転結、続編がある。
あと、寄席はホール落語と違って、落語ばかりではなく色物さんがあったり、持込みで食事ができる。
しかも、鈴本とにぎわい座は、お酒も中で飲めてしまうので、その雰囲気が好きだと言うファンも居るだろう。
そんなマクラから、今度は酒の話題に。白酒さんの周囲の芸人には、酒は酔う為に飲んでいるって人が多い。
なぜなら、落語家にでもなろうという「真っ当な考えを持ち合わせていない怠け者」が、前座修行をする。
すると、日々いろんな人への鬱憤が溜まりに溜まり、酒に逃げて発散するようになる。現実逃避!!
この為に、とにかく酔えれば、という料簡になるらしい。だから寄席の近所の居酒屋は意外と前座出禁が多い。
中には、お茶を肴に酒を飲むって変人や、「錠剤ですぐ酔える酒はないの?」と言い出す、
貧乏だから走らないが、お手頃価格のドラッグがあればそっちに走りそうな人まで居ると言う。
酒に絡めて、『犬の災難』へ。久しぶりに、この噺を白酒さんで聴きました。4年前の銀座落語祭・山野楽器以来。
この噺は『猫の災難』に比べると、コンパクトで「鶏肉」を買いに行った兄貴分への配慮が、全くないですよね。
『猫の災難』だと、1合とっといてやろうみたいな下りがありますが、こちらは夢中で飲んでしまいます。
また、酔ってからの言い訳も、豪快というか、雑ですよね。それを笑いにできるか?って感じがします。
古今亭は、皆さん、基本、この『犬の災難』です。
3.紺屋高尾/正雀
マクラは、江戸時代の廓のしきたりなどから入り、全盛と言われた「三浦屋の高尾太夫」。
それは勿論1人だったわけでなく、十一代も居たと言われていると解説し、有名な高尾太夫を紹介する正雀師匠。
久蔵が高尾に惚れて、恋煩いで寝込み、親方が部屋に見舞いに行く所から始まるパターンです。
道中を見て久蔵が、旦那に結婚します!の方ではありませんでした。野田の醤油問屋ではなく、流山のお大尽。
さて、正雀師匠で初めて『紺屋高尾』を聴きました。談志師匠、そしてその一門で一番聞いている話です。
どんな人で聴いていたのか?リビューしてみた。すると、毎年最低1回は聞いておりました。
2009年
・立川談春×2
2010年
・柳家花緑
・立川志らく
2011年
・三遊亭遊雀
・立川談春
2012年
・立川志の輔
・立川談笑
・三遊亭天どん
・三遊亭遊史郎
2013年
・三遊亭天どん
・立川談春
2014年
・三遊亭兼好
・立川談春
・立川生志
2015年
・国本武春
2016年
一龍斎貞橘
2017年
・入船亭小辰
・林家正雀
談春さんで5回、これがダントツに多くて、貴重なのは、国本武春先生の最後が、私はこの『紺屋高尾』でした。
京子さんの真打の披露目で、渾身の一席でした。この噺は、二つ目さんで手を出す人が凄く少ないと思います。
私が聞いたのは、天どん師匠と小辰さんの二人だけ。天どん師匠と兼好師匠は、六代目圓生直系の『紺屋高尾』。
ですが、あの感じではありません。立川はほぼ皆さん、談志テースト、談笑師匠以外は。談笑師匠のは改作です。
あのコリン星の優子リンが出てくるジーパン屋のお話です。
さて、正直、正雀師匠の『紺屋高尾』は、どうも私好みではありません。無理に古典らしく演じてられて、
高尾に色気が無いのです。久蔵の一途さも硬く感じて、幇間医者も上手くアクセントにならない存在。
そして、親方と女将さんも働き盛りの職人の感じより、やや老けた感じに思えました。
で、何よりの違和感は、無理に笑いを入れたりするのも、何とも似合わない感じ、正雀師匠のニン似合わない。
できれば、文芸噺のようなタッチで正雀師匠らしい『紺屋高尾』が聴けると嬉しいのだが…
4.万病円/白酒
この会の仲入り休憩は、25分と長い。なぜなら、この日は白玉ぜんざいが振舞われた。女性の皆さんには好評。
そのティーレークを兼ねて25分の仲入り休憩です。私のように甘味が苦手で食べられない者には無駄に長い。
そして、出番も珍しいパターンのABABパターンの二人会でした。普通はABBAパターンですよね。
さて、25分の仲入り休憩から「三越落語会みたいですねぇ〜」と言って、三越落語会は、
会場が宝飾品売場の前なんで、何か買わせようという魂胆で、無駄に長いのか?と毒突く白酒師匠。
最近は、本当に落語会が多くなっていて、それを実感するのは、あの東京かわら版。その厚みが一番物語っている。
確かに昔はペラペラでした。それが、かなり厚くなりましたよ。売れてますよね、皆さん持っている。
俺は、どうも持ちたくない派です。そして、載ってないような会に比較的行ってます。
一方、上方の落語家さん情報では、上方も確かに会は増えているが、上方のお客さんはシビアなのか?
会が予定されていて、1枚もチケットが売れず中止になる会があるそうです。東京は聞いた事がないですよね。
私の経験では、4人・5人を何度か経験しています。また、友人に2人だった!と言うのもあります。
やっぱり、東京のお客さんは温かいのと、演者も宣伝しますよね、来て下さい!!と。上方はそれもしないのか?
そんなマクラから、落語には嫌われるヒール役として、侍が扱われると言う話題を振り『万病円』へ。
これは、鯉白さんで美舟さんの「つばなれ特選会」で聴いたばかりですが、やっぱり発信元の白酒師匠は1枚上手。
個人的には、饅頭屋の小僧が好きです。
5.稽古屋/正雀
25分の休憩と、『紺屋高尾』もたっぷりだったので、後半は20分以内の軽い噺二席になりました。米朝師匠式?!
さて、これは正雀師匠の芸が生きる一席です。小唄の稽古で、初心者の方は、春先の季節までを見越して
「世辞で丸めて」
これを習う。隠居さんに女性にもてる方法を教えて欲しいと指南を仰いだ八五郎。隠居の答えは稽古事。
特に小唄、「清元」のひとつでもできれば、女は寄ってくること請け合い無し!と進められる。
そんな八五郎も、「世辞で丸めて」を習う事になるのだが… 思わぬ邪魔が入り稽古に集中できません。
さて、この小唄は、永井ひろが、守田勘弥の「一休禅師」を観て、清元「喜撰」の喜撰法師を連想し作った唄です。
〽世辞で丸めて浮気でこねて,小町のような私さえ,ひと夜の嵐に誘われて,散ればこの身は,ねえ も〜し 一休さん!!
清元の喜撰で出て、小町のような〜 で、「一休地獄噺」にすりかえているところに面白味があります。
ちょっと分かりにくい理屈です。咄家は、この「世辞で丸めて」の蘊蓄を語ってくれません。
多くの咄家は、いきなり師匠が「喜撰からやりましょう!」と、言って始めるパターンです。
13時半に始まり、16時ちょい前なんで、終わりかと思ったら、正雀師匠恒例の「質問コーナー」があり、
稲荷町の師匠の思い出や、文芸噺に関する質問に応える正雀師匠。赤坂の会と同じ展開で16時半に終わりました。
この会、次回は2月に開催されます。また、この寺家スタジオで、5月に稲荷町の37回忌展が開催されるとか。
自筆の原稿(台本や日記)と、秘蔵の写真が沢山展示されるそうです。時間が合えば、私も行きたいと思います。
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2017年11月29日
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