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「芸の変貌」って一口に言うけど、二通りあります。一つはゴミみたいな奴が突然面白くなる場合。
所謂、化けるという奴です。これは少ないようで、意外と存在します。タイムマシンがあれば驚愕します。
ローマは一日にしてならず
ゴミ芸人が明日から突然名人にはならないのでねぇ、二代三平が事故で意識不明の重体になり、
意識を取り戻したら小三治に成っていたりはしません。変化は緩やかに始まり、突然加速します。
一方、逆も存在します。若い頃周からは頭一つ、いや、二つ三つ抜けた芸で人気もあり、
これは将来の名人候補だ!業界を救う!風雲児!と、呼ばれていたのに40の坂を下る辺りから、
アレ?おかしいぞ?となり、50代ではタダの人。60になると完全にポンコツです。
名人候補がダメになる流れは、人の芸を見なくなると危険です。
勝手に他人の芸は、自分には参考にならないと思ってしまう。
ホール落語だけ、しかも独演会ばかりで、自分以外は前座の芸しか見ていない。
しかも初めて自分の芸をみる人ばかりの前で、比較的大きなホールでしかやらなくなる。
そして、まずは後輩にゲストとして、全く呼ばれなくなります。
更に悪化して来ると、真打披露、襲名披露にも呼ばれなくなります。
トドメは寄席形式の会にも呼ばれなくなる。主催者にも見切られてしまいます。
ますます他人の芸を見る機会を失う悪循環。負のスパイラルです。
同じ芸が続けられない。40代、50代、60代とそれぞれ同じ噺でも年相応のやり方があるのだが…
それを探る事すらできないと、自力/独学では良い芸にならない。よほどの天才でない限り、
会話の切り返し方、啖呵・言い立て、道中付け、そして地の使い廻し。このチューニングで失敗する。
結局、100人くらいの小屋で、厳しい反応をみせる「落語研究会」の客を集めてリハビリでもしないと、
壊れた名人候補は、治らないと思うのだが、そこへは回帰できないので大ホールに初心者を集めて演じたがる。
色んな意味でダメなんでしょうねぇ。ニュートラルな助言をしてくれるブレーンでも居ないと無理だと思う。
他方、ポンコツ野郎が、何かキッカケを掴んで、徐々に進化を初めて、やがて坂を石が下るように勢いが付く。
このパターンは、意外と目にする事があります。ただし、ポンコツとはいえ、完全なポンコツは無理です。
何か「武器」を持っていて、それに気付かないでやっている中、その存在を知り、使い方を研究するようになる。
そうなると、自身の芸を結構俯瞰で見る事ができ始めて、「武器」を生かす工夫がへと発展します。
なんせ、ポンコツが進化する特徴は、自身がポンコツである事の認識から始まるのです。
ここは、名人候補が治らない理由に通じるものがあり、ポンコツがそれを脱出するには、
他人の芸の模倣、盗むところから始まるように思います。自身で盗めなくても、
周囲のアドバイスに対して、素直に耳を傾け、そしてやってみる勇気があるか?どうか?です。
これは口で言うのは簡単ですが、実際にプロの芸人としてのプライドもあるから、
なかなか他人から学ぶというのはねぇ、できるようでできないもんだと思います。
あえて前者が誰で、後者が誰だとはいいません。六代目圓生は「ポンコツ」だったとまでは言いませんが、
50過ぎて開花した芸人なのは間違いありません。多くの「武器」を持った咄家は、キッカケさえ与えれば、
大化けする可能性を秘めております。そんな目で、ポンコツ芸人を見るのも、一興です。
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2018年01月20日
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