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新潮社さんが二つ目さんの為に開催している土曜早朝寄席。その本年第一回目が昨年八月に昇進した笑福亭希光さん。
発足して間もないファンクラブの女性4人が最前列で、横断幕風の模造紙2枚に「希光ファンクラブ・キコちゃんズ!」 と、書いてアピールされておりました。早朝にも関わらず、20名ほどのお客様で、まずまずの盛況でした。 そんな笑福亭希光独演会!こんな内容でした。 1.ふぐ鍋
芸術協会所属で笑福亭鶴光師匠のお弟子さんです。「希光」命名の秘話、新幹線から取った名前だというところから、 希:のぞみ、光:ひかりで「希光」という洒落た名前なので、巷に「こだま」するようにと付けられたそうです。 さらに、これも命名秘話として語られている、師匠の鶴光さん、読みは「ツルコ」なんです。つまり林家つる子と同じ。 だから、「希光」も「キコ」という恭しい名前なのです。弟子をとったら「眞光」とか「香光」とかつけるそうです。 そんな自己紹介からマクラは、上方の落語と東京の落語の事情の違いについて喋る希光さん。
笑福亭たまさんの説によると、常連の落語ファンの潜在的な数が、東京に比べると上方はまだ少ない。 しかも、東京はそれが万単位で居るが、上方は200人ぐらいだろうと言うのです。 これは、私もたまさんから聞いて、そないに少なくはないだろう、2,000人くらいは居るはずと思ったが、 たまさん曰く「大阪だと、若手の勉強会が前売りチケット・予約が0人で中止になる会がある」と言うのだ。 確かに、東京はどんな無名の二つ目の会でも、4人とか3人は来るので開催はされます。 この数が、5σくらいのファン層だとすると、母集団の数は万を超えるけど、6σでも1になるか?否か?なら、 統計学的には、母集団の数は、200人以下やと言われても納得してしまいます。 ただ、上方のファンの方がシビアなのもあると思います。東京の客さんは銭を溝に捨てる覚悟で、 千円、二千円の銭を若手に投資しますが、上方のファンはそうではないという事だとも思えるのです。 マクラは、小咄が案外受けない場合があると言う、希光さん。ほぼ鉄板の皆さんやる「美術館小咄」。
私は最初に聞いたのは、志の輔さんだったように思います。 説明員「こちらが展示会場でございます、奥様!」
マダム「あら?これは誰の作品かしら?」 説明員「こちらは、情熱の作家、ゴッホです」 マダム「そう、ゴッホ。じゃぁ、これは?」 説明員「こちらは、印象派の奇才、ルノアールです」 マダム「そう、ルノアール。アッ!これは分かるは、ピカソねぇ」 説明員「違います、奥様!それは鏡です。」 これを小さいBarの会でやったら、不思議そうに二人の女性客が、この小咄について高座に聞こえる声で喋り出したそうです。
あまりにその会話が白熱し、煩いので「お客さん、どないかしましたか?」と、尋ねると、片方の女性客が、 「鏡がなんで、サゲになるんですか?理解できません。」と、言い出したそうです。 振った手前、説明せん訳にもいかないので希光さん、「ピカソの絵って、人の顔がデフォルメされて崩れたような気色悪いでしょう?」 と、みなまで言うのかい!!みたいな野暮な解説をすると、その女性客が「私は美大出身ですが、ピカソの人物がは美しいと思います」 そう言い出して、その女性のピカソ論に、おいおいと思いながら、「この小咄無かった事で…」と、先に高座を進めたらしいです。 十人十色、蓼食う虫もなんとやらですね。小さい会場ならではの、エピソードトークから、河豚のマクラへ。 河豚を関西では「鉄砲」と呼び、鉄鍋、鉄刺、などと言う。鉄砲は、弾に当たるに掛けて、昔は調理師免許なんてないから、
時々河豚の毒にあたる人が出たので、偶に当たると弾に当たるを掛けて、「鉄砲」と呼んだと振って、『ふぐ鍋』へ。 本編、仕草や科白はちゃんと入っていてそれなりにできているのだが、この日、見台と膝隠しが出ているのに、小拍子を使わないのである。
不思議に思っていたら、なんと楽屋に小拍子を置き忘れて持たずに上がったそうなのである。これも東京の上方落語家らしい失敗ですね。 普段は、見台と膝隠し無しの座布団だけの高座が多いのでねぇ。この『ふぐ鍋』は、おこもさん(乞食)を客の大橋さんが様子を見に外に出る、 この場面以外は、大きな場面転換がないので、小拍子無しでも違和感は少ないが、次の演目、『竹の水仙』は使って欲しかったです。 あと、そうそう、台所へ「お余り下さい」とやって来るおこもさん、これを“男”と呼んで、乞食扱いしないのです。なぜ?
テレビやラジオでやるのを今から意識してんのか?元、お笑い芸人から落語家になった希光さんらしいと思いました。 今度、何かのおりに聞いてみたいですね。二つ目になって半年なら、十分過ぎるしっかりした語りだと思います。 2.竹の水仙 マクラで草津が噴火でたいへんな事になっている話題に触れて、草津温泉というと、芸協の二つ目さんは草津温泉に派遣されて、 その草津温泉常設の高座で落語や講釈ができるという特典というか、そいうお仕事があるのです。希光さんも既に2回行ったそうです。 そして、やっぱり草津と言えばあの湯揉みですよね。湯畑へ行って湯揉み体験もして来たと言って、温泉の話題から旅の話題を振って、 甚五郎についても、少し触れながら、『竹の水仙』へ。 師匠の鶴光さんも甚五郎ネタは、いろいろ持ってられるので、弟子としてはレパートリーに加えたいですよね。
希光さんの『竹の水仙』。まず、甚五郎の年齢がいまいちボケた感じに見えました。老けた感じで喋るのですが、 喋る速度が、旅館の主人や女将と変わらない。間だけでも大きくとると、貫禄が感じられると思います。 ただ、余裕があり日に六升の大酒と大海の珍味を十日間食らって、十一両二分の借金を作っても、全く動じない風は上手く出ていました。 細川様の家来・大月玄播の武士らしさも、徐々にそれらしくできるようになると更によくなると思います。 最後に、甚五郎が宿屋の主人に、飛騨高山の甚五郎と名乗る場面、大月玄播に引っ張られて、肥後熊本と言い間違えたのはご愛敬です。 ここも、本来は大月玄播と細川様の会話で、竹の水仙が甚五郎作だと知らせ、大月玄播がこれを宿の主人に伝える。 この仕込みが飛んでしまっていたように思います。まだまだ、荒削りですけど、伸びる予感の希光さんです。 3.レジ・スタンス 出囃子が、いきなり「舟行き」でした。大師匠・六代目松鶴が使っていた出囃子です。現在は、誰も使ってませんけどね洒落でしょうけど。 さて、希光さん、三月に大阪で二つ目の披露目公演をやるそうです。25日だったか?小拍子を忘れた事を、ここでカミングアウト。 マクラは、ある咄家と二人会すると打ち上げが朝までになる話題を振って、自身が東中野に住んでいることを紹介し、 中野区が中央線・総武線沿線の桜を伐採する事を決定、区民はこれに反対し座り込みして桜伐採に反対運動を起こしたそうです。 これを見た、希光さん、Twitterに生まれて初めて、この「中野区民の桜伐採に反対運動」に賛成するコメントをUpした。 炎上したらどうしようとドキドキの希光さん。仕事が終わりスマホを見てみると、「いいね 6」。 俺は春蝶兄さんみたいにはなれないと思ったそうです。そんなマクラから自作の新作落語『レジ・スタンス』 トリネタになぜこれを選んだのか?竹の水仙で良かったのに。。。米朝師匠が、地獄八景の後に、つるでハネる事がありましたが、
そんな気分を味わいたかったのか? サゲを言っても変な空気になって、降りるに降りられない希光さんでした。 ちなみに、小拍子は新作でスーパーでレジ打ちする場面だけ、場面転換の機会が無かったので、レジのバーコードリーダーとして使われてました。
次回、矢来町土曜早朝寄席は、古今亭始さんで二月二十四日です。 |
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2018年01月28日
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