Marsのブログ

小さな会を精力的に聴く努力をしてまいります!!

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前回は、講釈/落語/浪曲に共通の根多として『紺屋高尾』を取り上げて少しお話をしました。
今回は、それぞれの分野で、余所から根多を盗んだと云うと聞こえが悪いけど、移植名人とも呼べる移植マスターが存在します。
まず、恐らく、最も移植して歴史的な大成功をした人物が、二代目広沢虎造先生であると思われます。
この人は、寄席が各町内に一軒在った時代に、「八丁荒らし」と異名を取った三代目神田伯山の十八番『清水次郎長傳』をパクリました。
そして、この虎造先生の大きな功績は、講釈でやる『清水次郎長傳』にはない、場面、科白、そして節を独自に作って加えて仕上げた事に在ります。

最も有名な「石松、金毘羅代参」「石松、三十石船」の場面も、講釈では一話で完結していた噺を、巧みに二話にしています。
そもそも、講釈には「江戸っ子だってねぇ?」「おう!神田の生れよ!」「食いねぇ!食いねぇ!寿司食いねぇ、呑みねぇ!酒も呑みねぇ!」
このやり取りは在りません。虎造先生が編み出した科白です。この他にも、『次郎長傳』冒頭の「♪旅行けば〜」も作っていますし、
あとはフレーズですよね「清水港は鬼より怖い、大政、小政の声がする」、ただこれは、虎造先生ではなく映画かもしれません。
間違いないのは、「悪い奴らは、都鳥!!」このフレーズは、虎造先生ですね。私の爺さん、婆さんの世代は必ず、
例えば「ヒロシは、本当に悪党だ!悪いねぇ〜」と言われると、「う〜ん、悪い!悪い奴らは都鳥」と云っておりました。
幼い私は、何で悪党の代表が鳥なのか?さっぱり分からなかったけれど、小学校に上がる頃には、自分も使っておりました、このフレーズ。


一方、落語家では、まずは談志師匠ですね。浪曲から大好きだった木村松太郎、勿論、初代です。初代木村重松譲りの芸で十八番根多だった、
『慶安太平記』を、以前、長編作品の時にも紹介した通り、この松太郎先生から談志師匠を四席習って、自身の芸落語に直して演じておりました。
面白いのは、講釈は傳達ですが、浪曲は善達です。だから、談志師匠のは善達。芝居もやりますね『慶安太平記』、“樟紀流花見幕張”ですが。
本は読んだ事あるのですが、芝居で見た事はありません。掛かるのかな?記憶では、左團次丈の当たり役だったような???

さて、談志師匠は、もう一人、六代目神田伯龍先生の講釈から移植した作品もあり、『妲己のお百』『小猿七之助』などが講釈からの移植です。
ただ、『小猿七之助』は松太郎さんの端物の十八番だから、どちらの演出に近いか?伯龍先生のは聴いた事あるけど、松太郎さんのはありません。
そして、伯龍先生の語りと、談志師匠のそれは全くと言っていいぐらい似てませんよねぇ。地の入り方とかは似てるかな?その程度です。
伯龍先生は、張扇を本当に使わない講釈師で、最初と最後に2回しか叩かないなんて事もあった。上方落語の師匠だって、小拍子をもっと叩くのに。

そんな談志師匠に次いで、釈ネタを落語に移植して、自身の芸と掛け合わせて演じたのは、入船亭扇橋師匠ではないでしょうか?!
特に甚五郎の噺ですよね。正確には、根多を移植したのは、三代目の三木助です。『ねずみ』は特に有名で、二代目広沢菊春先生の十八番を、
三木助が自身の持ち根多『加賀の千代』と交換したと言われております。ただ、浪曲師が『加賀の千代』をどんな風に演じていたのか?
こちらの方にも興味が湧きますよね。一方、浪曲の『ねずみ』は、鼠屋の由来を卯兵衛が甚五郎に語るところが聞かせ処なんだけど、
扇橋さんのは、そこが如何にも浪曲だった作品を落語にしましたと、云わんばかりの名調子でね。三木助師匠のより私は好きです。
扇遊師匠、扇辰師匠もやるけど、あの師匠、扇橋さんの域には、まだまだと思います。今、あんな風に『ねずみ』をやる人が居ない。
NHKだったか?国立だったか?忘れたけど、アーカイブスに映像があるはずなので、是非、興味がある人は見て欲しいです。
もう私が寄席で見ていた扇橋師匠は、和田誠が作った『どうして』と、『湖畔の宿』の替え歌のタコの子ばかり聴いていましたが、
一席終わって、突然謡う扇橋師匠にも、浪曲や講釈から移植して演じていた頃の、匂いを感じる事ができたようにも思います。


最後に、講釈師で移植する人。落語を取り入れている講釈と言えば、古典は圓朝作品ぐらいですね。
『牡丹灯籠』の「お札はがし」「お峰殺し(栗橋宿)」「関口屋」は、講釈師でも演じる人が居ます。松鯉先生、愛山先生がやりますね。
また、『真景累ヶ淵』も「宗悦殺し」「豊志賀の死」の二話は、比較的やられます。この『牡丹灯籠』と『真景累ヶ淵』は、
講談の怪談をやる場合の演出が、全て使えるのが、講釈師が演じる上で、非常に有利に働いていると思います。
そして、何より「これからが面白くなるのですが!続きは、またの機会に」と云って切れ場を作るのにも便利な噺だったりします。

更に近年、圓朝作品の中でもメジャーな『芝濱』『文七元結』『鰍沢』を、講釈師、浪曲師が、端物として演じるケースが目立ちます。
三月に若手講釈師が、沢山集まる「伝承の会」というのがあるんですが、ここで端物を発表する際に、落語家に習いに行って、
『芝濱』『文七元結』『鰍沢』をやるというケースを見掛けます。私は最近行ってないのですが、演目を見ると時々圓朝作品を見掛けます。


そうそう、『中村仲蔵』という噺も、元は講釈なんだろうと思います。三代目の仲蔵が明治に書いた初代の一代記というかエピソード集、
これを講釈師が上手く味付けをして、今の『中村仲蔵』の原型を作ったんだと思います。それを元々講釈師だった志ん生がやり、
六代目圓生、八代目正蔵といった、芝居噺を得意にしていた咄家が、華やかな演出、渋い心理戦で演じるようになり世間に知られたのでしょう。
近年、誰でもやるようになり、演じ手が増えましたよね。志の輔らくごで、この噺はとどめを刺されたかと思っていたら、
松之丞さんがやるように成って、また、一味違う見せ方を工夫されて来ました。というのは、志の輔が落語なのに俯瞰を上手く使うのに対して、
松之丞さんのは、逆に、講釈なのに仲蔵目線が強い!一人称を大切に、グイグイ心理戦を展開する講釈です。もはや講釈ではないのかも?



つづく



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