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この会の前日、9日金曜日に突然!「らくごカフェ十周年記念イベント」のプレス発表されました。
武道館を使っての二部構成、一部はらくごカフェ火曜夜席のメンバーとOBによる落語会、
そして二部は、志の輔・談春・さだまさしを加えたトーク&ライブという企画が発表されました。
だから、この日は、この話題で持ち切りだった。
「木戸銭に1万円は払えない!(S席9,720円/A席7,560円)」「らくごカフェでやらないのか?」
「泰葉プロデュースの小朝独演会以来の武道館!!」「さだまさしは要らない!!」などなど、
何人入れるつもりなのか?サンライズプロモーションが仕切るみたいなので、通常のコンサート並みに、
1万2千人とか収容する勢いで座席を作ると、ジュリーならドタキャンになるような入りですよね?
武道館の大きさなら、15個くらい「らくごカフェ」が作れると思いました。
さて、そんな話題の中、らくごカフェとは関係ない西新宿ミュージックテイトで開催された、
鯉栄先生の「新作一年生」、こんな内容でした。
1.カッターナイフ誕生秘話
冒頭、テイトさんで3年くらい続いている松之丞さんとの二人会が場所を“江戸川資料館”に移して開催される。
このチケットの先行発売を、この「新作一年生」にして上げるよ!!と、テイトさんに云われたそうです。
テイトさんは、本当に若手の会に凄く協力的なのには感謝しつつ、「新作一年生」への集客にまで弟弟子の人気を、
利用しないといけないのか?と、自身にもっと集客力が欲しいと言っておられました。
実際に、寄席の顔付なんかもトリの師匠の人選と席亭の思惑で決められており、第一には客を持っている咄家が優先。
こればっかりは、プロなんで平等という訳にはいかない。ちょっとずつでも芸の力と集客力を、
両輪で引き上げていかないとと、しみじみ語る鯉栄先生でした。
そんな掴みから、学校寄席の話へ。
学校寄席に行くと必ず、「質問コーナー」があるそうで、その「質問コーナー」が曲者だと言う、鯉栄先生。
“やらせ”“仕込み”とまでは云わないけど、事前に先生が、「質問を考えておきなさい!!」と、
なかば宿題のように質問を生徒に事前に用意させているフシがある、と言うのだ。結構、歯の浮くような質問や、
お決まりの質問が半数以上飛び出すそうだ。「なぜ、講釈師に成ったんですか?」みたいなぁやつ。
そんな中、鯉栄先生がハッとした質問が出た。それは、「なぜ、勉強しないといけないんですか?」と言うもの。
鯉栄先生の答えは、ちょっと小学生には難しい比喩でした。それは…
人は、皆んな必ずリュックを背負って生きている。その大きさや丈夫さは、個人差がある。
そして、人は、生れてから物ごころつくと、「お勉強」して、そのリュックの中に「知識」という道具を貯めて行く。
なぜ、溜めるのか?それは、大きくなって生きて行く上で、必ず必要になるとまでは言えないが、もしかすると、
リュックから出して使わなければいけないかもしれないからだ。だから、みんな大切に、できるだけ沢山、リュックに詰める。
やがて皆んなが大きくなって、その時が来ても、リュックに仕舞ってあったはずの「知識」がなかなか出て来ない事や、
ズバリ道具として使えない「知識」だったりする。それでも、皆んなは、リュックに詰まった「知識」を応用して、
つまり、「知識」を2つ3つと組み合わせる事で、使える道具に変える努力をしながら生きていくようになります。
その為に、皆んなは今、しっかり勉強して、「知識」をリュックに1つでも多く詰めなければならないのです。
なんとなく鯉栄先生らしい答だなぁ〜と、思いました。決して天才気質の芸人ではない自分をよく知った上の意見であると。
そんなマクラから、今回の日常身の周りにある物にスポットライトを当てて、その歴史を講談で語る品物は、カッターナイフ。
カッターナイフは、大阪の会社で誕生したそうです。岡田ヨシオさんという人がカッターナイフの考案者だそうです。
実家が印刷業を営んでいて、自身も印刷工場に就職する。印刷物を製本する工程に配属された岡田さん、ある疑問を抱く。
それは、製本前に印刷物を裁断するカッター、この刃は、剃刀が使われている片刃だと刃側の角、2箇所だけしか使わない。
この角の切れ味が落ちると、刃の辺はまだまだ切れ味があるのに捨てられてしまうのだ。実に勿体ない。
その様な思いがありながら、岡田さんは勿体ないとは思うけど、製本裁断用剃刀は他に使えそうにもなく悶々と過ごしていた。
そんなある日、靴の修理をする職人が靴底にアテを付ける作業を目にした。彼らは刃物を使わずに皮革をカットしていた。
なんと!瓶を割ってガラスを尖らせ、それを刃物の代用にしているのだ。しかも、ガラスは切れ味が落ちると、
その刃先を再度割って、新しい割り口を出して切れ味を再生して使っているのだ。これにヒントを受けた岡田さん、
剃刀も、刃先を割って使えるようにすれば、切れ味を再生できると考えたのだ。
しかし、実際に剃刀の刃先を折ってみると、これがなかなか折れない。そりゃそうです。使っている時に折れるような刃は使えない。
だから、剃刀の刃なんてもんは、元から折れないように作られている。色んな工具を試したが、簡単に折れないという結論になる。
振り出しに戻った岡田さん。今度は、子供が「Give Me!!」と云って米兵から貰うチョコレートを見て閃いてしまう。
『そうだ!剃刀に、板チョコみたいな割り溝を付ければ良いんだ!!』この発想は実に的を得ておりました。
苦労して、苦労しての末に、割って折りながら新刃が出て来る剃刀の試作品を作る事に成功します。
早速、これを他人にも試して貰うのですが、「折れる刃物なんて縁起でもない!!」と、刃物を使う業界からは先入観での反発を喰らいます。
それでも、岡田さんは粘り強く良さをアピールして、刃を折る角度や、折る治具を用意して、徐々に現場での評判が良化して行きます。
業界に「岡田の変な剃刀、便利でええでぇ」と、口コミで評判になり、遂には生産が追い付かない状態まで、人気は高まります。
そこで、岡田さん。四人兄弟の長男だったので、三人の弟と力を合わせて会社組織にします。これで生産力も営業力も、資材調達力も、
そして、これが最も大きかったようですが、宣伝力も飛躍的に伸びて、岡田式の剃刀は爆発的に普及するのです。
ちなみに、この時の社名は“OLHA(折る刃)”。岡田さんの弟に商社の営業マンが居て、外国には“ハ”の発音が苦手な国がある。
という事で、社名も数年後には、OLHAからOLFAに変えて、現在に至ります。
◆オルファ株式会社
2.決闘!牛込土橋
山口則彦作品です、「決闘!牛込土橋」。山口さんは神楽坂の案内達人として知られている作家さんです。
神楽坂の歴史を講談の台本に落としたりもされていて、織音先生の『百姓誉仇討』の作者としても知られている。
その山口則彦さんが、神楽坂の“浄瑠璃坂”での仇討事件が、赤穂事件の三十年前に起こっていて、この二つが実に類似している。
はっきりは鯉栄先生は云われませんでしたが、茨城県の奥平家で十一万石というのですから、おそらく古河藩の奥平です。
この奥平家で、従兄同士で対立する重臣が二人ありました。名前は忘れた!!(苗字が全部奥平なんでややこしい)
片方が所謂文官肌の武士で、法師さん風に言うとテクノクラートで、もう一人は武闘派のゴリゴリの武士でした。
藩内の人望は、云うまでも無く前者:テクノクラートの方が厚く、武闘派は鼻つまみなのですが、殿様は逆の評価!!
つまり、非の打ち処の無い口煩い部下より、豪放磊落でちょっと愛嬌のある武闘派を好むのでした。
この二人が事あるごとに藩政で衝突していたのですが、ある日、病に掛かったテクノクラートの方が遅刻の届をして、
ある法事の席に遅れて来た。これに武闘派がチャチャを入れて、日頃は辛抱していた文官肌が切れて刀を抜く。
武闘派は軽傷でしたが、テクノクラートは裁きが息子や家臣に及ばないように切腹し自害を遂げます。
しかし、殿様の裁定は喧嘩両成敗ではなく、武闘派の方は切腹にもならず生き残り、家督は子に譲り江戸藩邸の知合いの元へ逃げてしまう。
なのに、主人が全責任を取り切腹した方は家はお取り潰し、家臣は浪々の身となってしまいます。
かくして、この家臣が切腹した主人の息子を大将にして、総勢四十二名で、仇討を計画します。
これが実に赤穂浪士の討入の三十年も前に起こり、浪人の身と成った家臣が江戸市中に潜み、主君の仇を探しだす。
探した後は、警戒する相手に対して、巧みに化けて近付きながら情報収集するのです。そして襲撃の機会を模索します。
更に、この四十二人の中に、軍師とも言うべき兵法家が居て、こいつが節目、節目にアイデアを出し仇討を成功させるのです。
合言葉/火消し装束/ハシゴを使った夜襲/襲撃後の御上への自首などなど、赤穂事件との類似点が多々あるのです。
そして、何と言っても、この四十二人の大将に祭り上げられた息子と大石内蔵助は遠い親戚だったのです。
この牛込土橋が起きた時、内蔵助はまだ十三歳の少年だったそうです。
さて、鯉栄先生の講談。まだまだ、本読みの段階で、赤穂事件との類似点紹介が中心の読みでした。
殆どのキーマンが「奥平」なので固有名詞を覚えるのが結構大変です。重臣同士の諍い、主人の切腹、仇討の団結、
そして最後は討入と、4つの節目でそれぞれ短い修羅場があるといいですね。頑張って脚色して下さい。
3.雨のベルサイユ
私は二回目の鯉栄先生の『雨のベルサイユ』。凄く良くなっていました。場面転換がスムーズにできていて、
また、押し出しのいい科白で聞かせる、兎吉親分と豚次のやりとりが、如何にも任侠ものらしくて素晴らしいと思います。
あとは、マリーが矢を放ち、それにオスカルが撃たれてしまう場面!あそこを修羅場で読んでもらえたら申し分ありません。
鯉栄さん版の『雨のベルサイユ』は、プロレスラー:アンドレ・ザ・ジャイアントからのアンドレ!オスカル!ではなく、
井上陽水の前の芸名;アンドレカンドレからアンドレ!を強引に持って来ます。
豚次が、闘う前に、必ずアンドレカンドレ時代の陽水の歌を口ずさむのが、鯉栄流なんですが、今後も歌い続けるのか?
次回、第五回は、来年1月12日(土)です。豚次傳は前半最大の山場「天王寺、代官斬り」です。
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2018年11月12日
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