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真打昇進後、初の「夏丸谷中慕情」でした。20人、ほぼ満席のCafe。ワンドリンク付二千円の会です。今回は、ネタ出しネタ卸しが『鰍沢』でした。
・鰍沢 お仲入り ・置手紙 1.鰍沢 マクラの冒頭は、なぜか稀勢の里が一人横綱で初日から四連敗して休場となった話題へ。稀勢の里は、漸く八場所休場した後、先場所、10勝5敗でどうにか首の皮一枚繋がった横綱です。 今場所前、出稽古でやたら調子が良いと報道されて、本人も万全の状態で臨めると思っていたら、他の先輩横綱が突然、相次いで休場。すると、俄に稀勢の里には、一人横綱の重圧が掛かり始める。 従来、他の二人のモンゴル人横綱とは異なり、ナイーブで気が小さく、考えてしまう稀勢の里なだけに、そんな性格がマイナスに出ないで欲しいと思っていたら、ヤッパリ悪い方に作用して、初日からの四連敗!!休場となりました。 これを踏まえて、今日のネタ卸しは、稀勢の里シンドロームにならないように、客なんて糞食らえ!!ってな調子で『鰍沢』をお届けします!と、言う夏丸師匠。 稀勢の里は、鳴戸部屋に入門した時から、相撲一筋過ぎるのが、精神面の弱さに繋がっていると言う夏丸師匠。他に趣味も無く奥さん子供も居ないのが弱さに繋がっていると分析します。 また、中卒で青春を相撲に捧げて来た稀勢の里は、夏丸師匠自身にも通じると言う。女性というものに、良い思い出が無いと言う夏丸師匠。 ここから、少し自身の女性観を話して、落語家は、真打二つ目の節目を過ぎて、いきなり廃業してしまう人があり、歌丸一門/米丸一門の中にも廃業した人があります。 そして、廃業した先輩たちは、なぜか?宗教にのめり込み、そっちで一角の人物へと大成していると言う。そんな宗教から、日蓮上人と法華経のお話へ。 日蓮の母親は、ある日、お天道様を飲み込む夢を見て、日蓮を産んだと言われている。そして、日蓮が没した池上本門寺へ、関東の法華信者はお参りに行くが、 信心の強い信者は、池上だけに留まらず、身延山へとお詣りに行く。この身延山詣でにはルールと言うか、ルーティーンがあり、いきなり、身延へは行かないのだ。 そんな振りから、身延へ行くにも現在は、鉄道が発達しているから、簡単に行けると言うと、「鉄」な夏丸師匠なので、鉄道の話題へ少し脱線しました。つい最近、千葉モノレールの中でやる落語会に出た話題へ。 夏丸師匠は、車両の中での落語は、2回目。初回の江ノ電がトラウマになっていると言う。それは、実にガタンゴトンと五月蝿い(うるさい)走行音に悩まされつつも、何とか慣れて来た、その時だった! 車窓に広がる江ノ島の海に、客席は落語どころではなく喰い付いて、簡単の言葉を発しながら、殆どのお客さんは写メを撮り始める。落語なんて、放ったらかしで、江ノ島の海に興じる客たちのおかげで、夏丸さんの落語は散々な結果に終わるのでした。 そんな経験があるから、千葉モノレールでは、まず、車窓に注意を惹かれて落語が疎かにならない諸注意をキッチリ事前にして、始めたので、この二回目は、モノレールなだけに走行音も静かで、思い通りに演じられて満足したそうです。 そして特に、千葉モノレールの車内で聞く「JR東日本高崎線の車内アナウンス」が一番受けたと言って披露しました。ただ、「グリーン券を、車内でお買い求めになりますと、ホームにてあらかじめお買いの場合とは料金が異なりますので、ご注意下さい!」が抜けておりました。 江戸時代の身延詣では、基本的に二本の足で歩く以外に方法はない。ただ一つ身延からの帰り道、鰍沢から出る船に乗ると、東海道の岩渕まで川伝いに移動ができた。 しかし、この船は濁流を底を平らにした船で、川の流れに任せて下り途中岩や崖に出くわすと、竿で岩や崖を突いて目的地へと進んだ。 だからこの船は、乗るもバカ、乗らぬもバカと呼ばれ命の保証はないが、兎に角、早く着く事ダケがとりえの命賭けの交通手段だった。 また先に申した通り、身延詣でにはお詣りする手順がある。まず、あおやぎ宿の昌福寺にお参り、次に小室山妙法寺の毒消しの護符を頂き、最後に法論石から鰍沢へ出て身延山へと向かい願掛け参りをすると言う、そんな長い行程経て辿り着く道のりでした。 この振りをマクラで丁寧にしてから、雪の中を彷徨い歩く旅人が登場し、人家の灯りを見付けて九死に一生!と、その家に一夜の宿を願いでる。 その家には、女が一人で居る設定だが、夏丸師匠の演出は、意外とあっさり女は、旅人を泊めてしまう。最初「鰍沢への道は?」と、尋ねて来た旅人だったのに、いきなり、泊めて欲しい!と、言い出す展開なんだから、私としてはもう少し擦った揉んだして欲しい。 旅人は、家に通され焚き火に当たりながら女の顔を見てハッとします。抜ける様に白い肌で、やや険のある眼差しだが、美人で年も25,6才の年増である。 しかし、この女、玉に瑕と言うのか、顎に大きな突きキズがあり、これが何とも女に影を大きく落としていて、過去が偲ばれる。そんな事を考えながら、旅人が女の様子をぼんやり見続けていると、再び、ハッ!とする。 この女、見覚えがある!!熊蔵丸屋の月乃兎花魁だ!! 女に、恐る恐る確認する旅人、今度は月乃兎花魁が、心中の仕損ない、お熊となって心中の片割れとくらすお熊の方が、驚き後すざりしながら「お前さんは、何者だい!」と聞き返す。 そして、旅人が、実は熊蔵丸家には、三年前に一度行った事があって、その日の出来事を話すとお熊もそれをよく覚えていた。一気に二人の距離が近くなる。 この一宿の恩義にと、旅人が懐の胴巻から、二十五両の切餅を出して封を切り、中から二両抜いて半紙に包みお熊に渡す。お熊はこの時、旅人が胴巻ん中に百両持っいるのを見てしまう。 夏丸さんのこの部分の演出は、かなりわざとらしい。お熊の目撃した後の行動も、わざとっぽく臭い。自然に見付けられるようにして欲しい。 お熊は、旅人に体が暖まるからと、卵酒をあたえるが、旅人は殆ど下戸で2/3も残して次ぎの間で寝てしまう。亭主の寝酒を買いにでる、月乃兎花魁のお熊。 ここで、手違いが起きる。お熊は卵酒にシビレ薬を仕込み旅人に飲ませて百両奪う算段だったが、旅人が下戸で、即死する程、毒入り卵酒を飲まずに残してしまう。 また、お熊が、旅人が残した毒入り卵酒を、捨してしまっておけば、こんな事故には成らずに済んだのに、囲炉裏の脇に鍋ごと置きっぱなしで、旦那が飲む寝酒を補充しに外へ出てしまう。 お熊と入れ違いで家に帰って来た亭主は、何も知らず、お熊の飲み残しだとばかり思って鍋の温くなった毒入り卵酒を全部飲んでしまう。 間も無く、お熊が帰り、カンジキの紐が緩いから足を濡らさぬように玄関の戸を開けろと、亭主におねだりするが、亭主は囲炉裏の火から離れたくないと断る。 開けろ!いやだ!の押し問答をしているうちに、亭主が突然、苦しみ始めるのだが、夏丸さんの旦那は、毒が回るのが早過ぎ!言葉が完全に出なくなる程、のたうち回って苦しみ始めます。 私は、顔や手が既に青くなり、徐々に土気色へと変わりつつある亭主を見て、完全に諦めを付けて、旅人への逆恨みの復讐鬼と化したお熊なら、苦しむ旦那を「楽にしてやるよ!あんた」と、出刃庖丁で突き殺すと思うんです。 そして、まずは、その庖丁を使って旅人を、刺し殺しにかかるに違いないと思います。その後、逃げられて、初めて火縄銃を持ち出すなら分かる気がします。 あと、夏丸さんの『鰍沢』は、最後の筏で旅人が逃げる描写は、もう少しディテールが欲しいです。直ぐにバラけて、お材木になるの早過ぎ!早くサゲたいのは、分かるけど、もう一つ丁寧に押して欲しかったです。 それでも、70%はできておりました。 2.置手紙 新作落語なんで、ネタバレに注意して書くと、サラリーマン二人の先輩後輩が、偶には飲みに行こうって事になるのだが、後輩の方が新婚さんで、仕事が妻とすれ違いの時間になるので、 一旦、帰宅して、妻の置手紙を読んで、その手紙に返事を書いてから、飲みに行きたいと言い出します。 喬太郎師匠の新作にありそうな設定と骨格だが、シュールでカオス漂うよな展開ではなく、不思議な香りのするノスタルジーが夏丸さんらしい。途中、主人公が美川憲一の「柳ヶ瀬ブルース」歌う場面があったりもします。 さて、次回の夏丸谷中慕情は、三月に開催が予定されていて、また、何かネタ卸しをやってくれそうです。 |
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2018年11月18日
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