Marsのブログ

小さな会を精力的に聴く努力をしてまいります!!

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知らなかった。夏に、ひっそりと八代春風亭柳橋師匠に入門して、前座名・かけ橋を頂き、芸協の前座として、元こかじくんが再スタートしていた。
しん乃さんの場合は、さもありなんと少し思ったが、こかじくんの場合は、何か複雑な気持ちになります。辞めた理由も、色々囁かれていましたが、本人にしか分からないのだろう。
三三師匠と同じ高座に上がるチャンスが、また、訪れたりするのか?!自身が楽しそうに落語できているかな?
機会を作って、一度、高座を観に行きたいと思います。とりあえず、ガンバレとエールを送り〆たいと思います。
今年最後の貞鏡独演会。相変わらず男性比率が凄く高い会です。
3枚在った当日券も売り切れて、50人満員御礼のらくごカフェでした。
七ヶ月の坊やの育児に奮闘しながらの勉強会、こいう内容でした。


・沢庵禅師「虎拝領」 … いちか
・赤穂義士銘々傳「高田馬場、安兵衛駆け付け」 … 貞鏡
・は組小町 … 貞鏡

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1.虎拝領/いちか
貞鏡ファンの心を読みながら、極力短い開口一番でした。この噺もそうですが、
徳川三代将軍家光の無茶振りをテーマにした噺っていくつかある中の一つで、
一番有名なのは代々宝井馬琴先生の十八番・寛永三馬術の『出世の春駒』。
これとほぼ同じような『隅田川乗っ切り』というのもありますね。

さて、この噺は家光が虎を清国から贈られて、まずこの虎の、猛々しい獣らしい姿を、
「予は見たい!!」と、我儘を云う家光公。この命令に幇間の如く反応するのが大久保彦左衛門!
木剣で虎を怒らせる役を、公儀の剣術指南番である柳生但馬守宗矩が引き受けざるをえなくなる。
何とか但馬守が虎を怒らせたかと思うと、今度は、大人しくさせろ!と理不尽な事を言い出す。

再び、彦左衛門!が集まった一同に、「誰か、買って出るものはおらんか?!」と激を飛ばすが…
一同頭を垂れて、目を合わせないようにしていると、後ろの方から名乗り出る声がする。
そう!それこそが、沢庵禅師。ここまでで、毎回終わるいちかさんの「虎拝領」です。



2.高田馬場、安兵衛駆け付け/貞鏡
マクラでは、子育ての苦労、特に夜泣きに悩まされているという話をする母・貞鏡さん。
最近の芸人さんは、家族、特に子供の話をしますね。昔の芸人は、「夢を売る商売だから所帯じみた話題はしない」
そう言って寄席やホールに家族を近付けない芸人が主流でした。特に、先代馬生師匠は厳しかったと、
娘の志乃さんが仰っておりました。父上が存命の頃は、寄席には二回しか行った事が無かったらしい。

続けて、師匠であり父上である貞山先生から叱られた話へ。この話は何度か聞いているエピソードでした。
クリスマスとホワイトデーに叱られた話は、本当に何度も聞いていおります。
それにしても、父・貞山先生のものまねが日々上手くなる貞鏡さんです。そんなマクラから季節根多義士傳へ。
前回が神埼与五郎で、今回が中山(堀部)安兵衛でした。今年はよく「安兵衛駆け付け」をよく聴きます。
松之丞さん、貞橘先生に続き、この貞鏡さんが3回目ですね。貞鏡さんのは二回目になります。

貞鏡さんの「安兵衛駆け付け」は、喧嘩の仲裁の前に、安兵衛が葬式のお清めの酒目当てに弔い探しする場面があります。
このパターンは、私はもしかすると、貞鏡さんだけかもしれません。それ以外は殆ど、同門一龍斎の貞橘先生と一緒の型でした。
長屋のある八丁堀から、高田馬場までの道中付けがあり、安兵衛が村上兄弟一味と決闘する場面は修羅場で読みました。
以前より、一層修羅場を読む速度が速くなったように思います、貞鏡さん。押し出しのないサラリとした修羅場ですけどね。
あと、講談師なので、薙刀・刀を使ったアクションを張り扇で演じますが、もう少しちゃんと稽古した方がいいと思います。
立川こはるさんがそうですが、実際に、本身の刀は持ってみて振ってみるのは、女流芸人として必要かな?と思います。
尚、今日11/22(木)NHKで『高田馬場、安兵衛駆け付け』を13分で貞鏡さんやるみたいですよ、この日は40分だったのを。


3.は組小町/貞鏡
貞心先生の十八番で、弟子の貞寿さんでもよく聴く演目です。あとは貞弥さんもやりますね。貞鏡さんは根多卸しでした。
世話モノの代表のような講釈根多です『は組小町』。先の安兵衛が喧嘩なら、この噺は火事(火消し)です。
つまり、江戸の名物が二席続き、そしてどちらも「仇討」のお噺です。落語ならツクから躊躇う師匠もあるかと思います。

貞寿さん、貞弥さんとはかなり趣が異なり、凛とした雰囲気が強く、張りつめた緊張感に包まれた高座でした。
「世話」というより「人情」という雰囲気で、圓朝ものを聴いているような空気が流れて、彼女らしい演出でした。
Twitterでも書いたけど、お初の父親、は組の頭が「権次」でした。貞心・貞寿のお二人は「権右衛門」です。
「権次」と聞くと、青龍刀を連想してしまうので、何か妙な感じがしてしまいました。

他にも微妙に演出が違っていて、三五郎の親方である松衛門、この松衛門が、お初を三五郎の嫁にと権次に申し込む場面。
貞心先生の型だと、既に松衛門と三五郎は“親子”になっているが、貞鏡さんのでは、ゆくゆくは養子にという段階で、
お初には源次という許婿が居るのに、横恋募する三五郎の悪い料簡を見て、松衛門は『あんな野郎を跡目にはできない』と思います。
また、お初が源次を殺したのが三五郎だと知る場面も、やや違っていて、貞鏡さんの方は、は組の小僧にカマを掛けて聞き出します。
何度か掛けると、場面転換もスムーズになり、更によくなるはずです。他の一龍斎の女流にない、彼女らしい『は組小町』。
是非、皆さんにも聴いて欲しい。そしてできれば貞寿先生のと比べて欲しいです。どちらも甲乙つけがたい良い『は組小町』です。



貞鏡さんは、来月15日にはる乃さんとの二扇会を聴きます。

落語、講談、浪曲、どの話芸においても、その口調には伝統芸能だからこその“決式”があります。
落語の場合、所謂“古典”をやるのであれば、江戸落語では江戸言葉、上方落語ですら落語用の上方言葉を用います。
結構、意外なのは上方の入門者が師匠から、徹底的にこの落語用を叩きこまれて、ここで挫折を味わう咄家が少なくないそうです。
一方、江戸落語は、志らく師匠が登場した頃は、原理主義的に「江戸弁である事」が強烈に求められていて、
志らく師匠の落語は、「土手組のやる落研落語だ!」と原理主義者からは全く評価されませんでした。ただし、家元談志は評価していて、
上手い!面白い!センスがある!と、褒めておりました。やっぱり、先見があるんです天才には。そこから15年も経つと、
白酒、一之輔という同じような言葉を操る落語が、一般にもてはやされ人気が出ると、評価は一変するのです。

自分の言葉で喋る

タイトルにも書いた事ですが、意外とできているようで多くの咄家はできていません。フィルターが掛かった様な話芸を見せられる。
「自分の言葉で喋る」方が、間違いなく客には伝わるし、面白い話芸になります。ただし、そのデメリットとしては、
伝統芸能としての情緒が失われる。家元風に云うと「江戸の風」が吹きません。(あるいは、弱くなる)
つまり、芸としての価値を問うならば、この“面白さ”と“江戸の風”のバランスなのです。
互いにトレードオフの関係にあるから、場面・場面で、どっちらを強く出すか?なのです。

一之輔師匠のお弟子さんを見ていて、ハッ!としたのは、とにかく前座のうちは、「自分の言葉で喋る」を実践させられています。
師匠の一之輔さんが、どこまで意識しているかは分からないのですが、とにかくMAX自分の言葉で喋って、面白くない落語なら、
それは今の自分に足りないものをストレートに自覚して、改善する努力が無駄なく回る環境だと言えます。
一方で、まずは古典芸能の言葉と喋り方を覚えなさいと、教える師匠もあります。と云うかそれが普通/王道です。

この「自分の言葉で喋る」と「古典芸能の言葉で喋る」は、鶏と卵の関係と同じで、どっちが先が良いかは難しいと思います。
しかし、これだけは言える事は、「古典芸能の言葉で喋る」を先に仕込んで、二つ目になると、よほど適応能力が高くないと、
自分の言葉で喋る事が上手く実践できず、“江戸の風”も“面白さ”も共倒れの芸になるケースを多々目にします。
二つ目になり、受けようとするのですが、自分の言葉/喋りができず、“江戸の風”も損なわれてしまいます。

ただ、逆に「自分の言葉で喋る」からだと、江戸の風は吹かせたい、だが、吹かすと笑いが減るジレンマに陥ります。
古典をやっているけど、古典に聞こえない。これも悩みの種だと思います。一之輔師匠の弟子たちが、
この後、どんな二つ目に成り、どう克服して行くのか?見守りたいと思います。

さて、もう一つ。「自分の言葉で喋る」を実践するとぶつかる問題が、「各演目の常套句」をどうするか?思い切って斬れるか?!
例えば、『子ほめ』の「蛇は寸にしてその気をあらわす ⇒ ジャワスマトラは南方だ」みたいなヤツとか、
『宿屋の仇討/宿屋仇』の「♪源ちゃんは色事師、色事師の源兵衛」、『牛ほめ』の「佐兵衛のカカぁはひきずりだ!」などなど、
どこまでは、採用しどこからを自分の言葉に変えるか?この取捨選択こそが、その咄家のセンスというか、個性であり才能です。


最後に、この「自分の言葉で喋る」を実践し、売れっ子の二人の咄家について私なりの感想を書いて〆にします。

◇立川志らく
その存在を知ったのは、CXの「落語のピン」。志の輔と小朝が観たくて談志の「落語のピン」を見ていたら、
何か変な落語をやる若いのが開口一番で出て来た。話芸は粗削りだが、「シャボン玉ホリデー」のクレージーの様な、
あの匂いがするコントのような落語をやっていた。また、ギャグのセンスがピカイチでふざけ方をしっていた。
具体的には、「毎度、馬鹿馬鹿しいお笑いをと、先人は申しますが、馬鹿馬鹿しくなんかありません!!」とか言う。

その後、内幸町ホール時代の「志らくのピン」に後半の5年と、横浜にぎわい座の初回の「志らく百席」に通った。
二ヶ月に3回くらいのペースで独演会に通ったのだが、最も彼らしいと感じ私が好きなのは、主人公が同一の古典落語を、
3つ以上繋いで一代記にするという試み。与太郎一代記、『牛ほめ』で叔父さんにやや気入られ『道具屋』を世話されるが、
ピストルでズドン!とやって仲間から出入禁止に。『金明竹』仕方なく叔父さんの家で奉公するのだが…
あるいは、若旦那一代記。『明烏』で吉原デビュー。しかし勘当されて『船徳』に挑戦、結局船宿は務まらず『居残り佐平次』になる。
志らくさんの古典で好きなのは、『小言幸兵衛』『柳田格之進』そして『おせつ徳三郎』。次点に『鰍沢』です。


◇桃月庵白酒
存在を知ったのは、喜助の最後の頃でした。雲助師匠の弟子が面白いと聞いて観に行った。『替り目』だった。爆笑した。
その後、真打になって白酒・甚語楼の会をほぼ毎回観た。更に白鳥師匠とのWホワイト、成城ホールの独演会と追い掛けた。
なんせこの師匠は、『松曳き』『浮世床』に登場する、少し頭のネジの緩んだおバカなキャラをやらせると、
本人のフラと相まって最高に面白い。『松曳き』の殿様と三太夫、『浮世床』の本を読む源ちゃんは、爆笑してしまう。

また、言葉遊びも巧みです。『粗忽長屋』の粋なオーレッ!(行き倒れ)、『禁酒番屋』のドイツの将校(ドッコイショ)。
『妾馬』で殿様が「ざっくばらんに」というと八五郎が「ザックジャパン!?」と返したりするのも、白酒師匠らしい。
あと、彼の『風呂敷』も最高に面白いと思います。

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