Marsのブログ

小さな会を精力的に聴く努力をしてまいります!!

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この会の前日、9日金曜日に突然!「らくごカフェ十周年記念イベント」のプレス発表されました。
武道館を使っての二部構成、一部はらくごカフェ火曜夜席のメンバーとOBによる落語会、
そして二部は、志の輔・談春・さだまさしを加えたトーク&ライブという企画が発表されました。
だから、この日は、この話題で持ち切りだった。

「木戸銭に1万円は払えない!(S席9,720円/A席7,560円)」「らくごカフェでやらないのか?」
「泰葉プロデュースの小朝独演会以来の武道館!!」「さだまさしは要らない!!」などなど、
何人入れるつもりなのか?サンライズプロモーションが仕切るみたいなので、通常のコンサート並みに、
1万2千人とか収容する勢いで座席を作ると、ジュリーならドタキャンになるような入りですよね?
武道館の大きさなら、15個くらい「らくごカフェ」が作れると思いました。
さて、そんな話題の中、らくごカフェとは関係ない西新宿ミュージックテイトで開催された、
鯉栄先生の「新作一年生」、こんな内容でした。
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1.カッターナイフ誕生秘話
冒頭、テイトさんで3年くらい続いている松之丞さんとの二人会が場所を“江戸川資料館”に移して開催される。
このチケットの先行発売を、この「新作一年生」にして上げるよ!!と、テイトさんに云われたそうです。
テイトさんは、本当に若手の会に凄く協力的なのには感謝しつつ、「新作一年生」への集客にまで弟弟子の人気を、
利用しないといけないのか?と、自身にもっと集客力が欲しいと言っておられました。

実際に、寄席の顔付なんかもトリの師匠の人選と席亭の思惑で決められており、第一には客を持っている咄家が優先。
こればっかりは、プロなんで平等という訳にはいかない。ちょっとずつでも芸の力と集客力を、
両輪で引き上げていかないとと、しみじみ語る鯉栄先生でした。

そんな掴みから、学校寄席の話へ。

学校寄席に行くと必ず、「質問コーナー」があるそうで、その「質問コーナー」が曲者だと言う、鯉栄先生。
“やらせ”“仕込み”とまでは云わないけど、事前に先生が、「質問を考えておきなさい!!」と、
なかば宿題のように質問を生徒に事前に用意させているフシがある、と言うのだ。結構、歯の浮くような質問や、
お決まりの質問が半数以上飛び出すそうだ。「なぜ、講釈師に成ったんですか?」みたいなぁやつ。
そんな中、鯉栄先生がハッとした質問が出た。それは、「なぜ、勉強しないといけないんですか?」と言うもの。

鯉栄先生の答えは、ちょっと小学生には難しい比喩でした。それは…

人は、皆んな必ずリュックを背負って生きている。その大きさや丈夫さは、個人差がある。
そして、人は、生れてから物ごころつくと、「お勉強」して、そのリュックの中に「知識」という道具を貯めて行く。
なぜ、溜めるのか?それは、大きくなって生きて行く上で、必ず必要になるとまでは言えないが、もしかすると、
リュックから出して使わなければいけないかもしれないからだ。だから、みんな大切に、できるだけ沢山、リュックに詰める。

やがて皆んなが大きくなって、その時が来ても、リュックに仕舞ってあったはずの「知識」がなかなか出て来ない事や、
ズバリ道具として使えない「知識」だったりする。それでも、皆んなは、リュックに詰まった「知識」を応用して、
つまり、「知識」を2つ3つと組み合わせる事で、使える道具に変える努力をしながら生きていくようになります。
その為に、皆んなは今、しっかり勉強して、「知識」をリュックに1つでも多く詰めなければならないのです。
なんとなく鯉栄先生らしい答だなぁ〜と、思いました。決して天才気質の芸人ではない自分をよく知った上の意見であると。

そんなマクラから、今回の日常身の周りにある物にスポットライトを当てて、その歴史を講談で語る品物は、カッターナイフ。
カッターナイフは、大阪の会社で誕生したそうです。岡田ヨシオさんという人がカッターナイフの考案者だそうです。
実家が印刷業を営んでいて、自身も印刷工場に就職する。印刷物を製本する工程に配属された岡田さん、ある疑問を抱く。
それは、製本前に印刷物を裁断するカッター、この刃は、剃刀が使われている片刃だと刃側の角、2箇所だけしか使わない。
この角の切れ味が落ちると、刃の辺はまだまだ切れ味があるのに捨てられてしまうのだ。実に勿体ない。

その様な思いがありながら、岡田さんは勿体ないとは思うけど、製本裁断用剃刀は他に使えそうにもなく悶々と過ごしていた。
そんなある日、靴の修理をする職人が靴底にアテを付ける作業を目にした。彼らは刃物を使わずに皮革をカットしていた。
なんと!瓶を割ってガラスを尖らせ、それを刃物の代用にしているのだ。しかも、ガラスは切れ味が落ちると、
その刃先を再度割って、新しい割り口を出して切れ味を再生して使っているのだ。これにヒントを受けた岡田さん、
剃刀も、刃先を割って使えるようにすれば、切れ味を再生できると考えたのだ。

しかし、実際に剃刀の刃先を折ってみると、これがなかなか折れない。そりゃそうです。使っている時に折れるような刃は使えない。
だから、剃刀の刃なんてもんは、元から折れないように作られている。色んな工具を試したが、簡単に折れないという結論になる。
振り出しに戻った岡田さん。今度は、子供が「Give Me!!」と云って米兵から貰うチョコレートを見て閃いてしまう。
『そうだ!剃刀に、板チョコみたいな割り溝を付ければ良いんだ!!』この発想は実に的を得ておりました。
苦労して、苦労しての末に、割って折りながら新刃が出て来る剃刀の試作品を作る事に成功します。

早速、これを他人にも試して貰うのですが、「折れる刃物なんて縁起でもない!!」と、刃物を使う業界からは先入観での反発を喰らいます。
それでも、岡田さんは粘り強く良さをアピールして、刃を折る角度や、折る治具を用意して、徐々に現場での評判が良化して行きます。
業界に「岡田の変な剃刀、便利でええでぇ」と、口コミで評判になり、遂には生産が追い付かない状態まで、人気は高まります。
そこで、岡田さん。四人兄弟の長男だったので、三人の弟と力を合わせて会社組織にします。これで生産力も営業力も、資材調達力も、
そして、これが最も大きかったようですが、宣伝力も飛躍的に伸びて、岡田式の剃刀は爆発的に普及するのです。

ちなみに、この時の社名は“OLHA(折る刃)”。岡田さんの弟に商社の営業マンが居て、外国には“ハ”の発音が苦手な国がある。
という事で、社名も数年後には、OLHAからOLFAに変えて、現在に至ります。

◆オルファ株式会社



2.決闘!牛込土橋
山口則彦作品です、「決闘!牛込土橋」。山口さんは神楽坂の案内達人として知られている作家さんです。
神楽坂の歴史を講談の台本に落としたりもされていて、織音先生の『百姓誉仇討』の作者としても知られている。
その山口則彦さんが、神楽坂の“浄瑠璃坂”での仇討事件が、赤穂事件の三十年前に起こっていて、この二つが実に類似している。
はっきりは鯉栄先生は云われませんでしたが、茨城県の奥平家で十一万石というのですから、おそらく古河藩の奥平です。
この奥平家で、従兄同士で対立する重臣が二人ありました。名前は忘れた!!(苗字が全部奥平なんでややこしい)

片方が所謂文官肌の武士で、法師さん風に言うとテクノクラートで、もう一人は武闘派のゴリゴリの武士でした。
藩内の人望は、云うまでも無く前者:テクノクラートの方が厚く、武闘派は鼻つまみなのですが、殿様は逆の評価!!
つまり、非の打ち処の無い口煩い部下より、豪放磊落でちょっと愛嬌のある武闘派を好むのでした。
この二人が事あるごとに藩政で衝突していたのですが、ある日、病に掛かったテクノクラートの方が遅刻の届をして、
ある法事の席に遅れて来た。これに武闘派がチャチャを入れて、日頃は辛抱していた文官肌が切れて刀を抜く。

武闘派は軽傷でしたが、テクノクラートは裁きが息子や家臣に及ばないように切腹し自害を遂げます。
しかし、殿様の裁定は喧嘩両成敗ではなく、武闘派の方は切腹にもならず生き残り、家督は子に譲り江戸藩邸の知合いの元へ逃げてしまう。
なのに、主人が全責任を取り切腹した方は家はお取り潰し、家臣は浪々の身となってしまいます。
かくして、この家臣が切腹した主人の息子を大将にして、総勢四十二名で、仇討を計画します。

これが実に赤穂浪士の討入の三十年も前に起こり、浪人の身と成った家臣が江戸市中に潜み、主君の仇を探しだす。
探した後は、警戒する相手に対して、巧みに化けて近付きながら情報収集するのです。そして襲撃の機会を模索します。
更に、この四十二人の中に、軍師とも言うべき兵法家が居て、こいつが節目、節目にアイデアを出し仇討を成功させるのです。
合言葉/火消し装束/ハシゴを使った夜襲/襲撃後の御上への自首などなど、赤穂事件との類似点が多々あるのです。
そして、何と言っても、この四十二人の大将に祭り上げられた息子と大石内蔵助は遠い親戚だったのです。
この牛込土橋が起きた時、内蔵助はまだ十三歳の少年だったそうです。

さて、鯉栄先生の講談。まだまだ、本読みの段階で、赤穂事件との類似点紹介が中心の読みでした。
殆どのキーマンが「奥平」なので固有名詞を覚えるのが結構大変です。重臣同士の諍い、主人の切腹、仇討の団結、
そして最後は討入と、4つの節目でそれぞれ短い修羅場があるといいですね。頑張って脚色して下さい。



3.雨のベルサイユ
私は二回目の鯉栄先生の『雨のベルサイユ』。凄く良くなっていました。場面転換がスムーズにできていて、
また、押し出しのいい科白で聞かせる、兎吉親分と豚次のやりとりが、如何にも任侠ものらしくて素晴らしいと思います。
あとは、マリーが矢を放ち、それにオスカルが撃たれてしまう場面!あそこを修羅場で読んでもらえたら申し分ありません。
鯉栄さん版の『雨のベルサイユ』は、プロレスラー:アンドレ・ザ・ジャイアントからのアンドレ!オスカル!ではなく、
井上陽水の前の芸名;アンドレカンドレからアンドレ!を強引に持って来ます。
豚次が、闘う前に、必ずアンドレカンドレ時代の陽水の歌を口ずさむのが、鯉栄流なんですが、今後も歌い続けるのか?



次回、第五回は、来年1月12日(土)です。豚次傳は前半最大の山場「天王寺、代官斬り」です。

14時からタップリサイズの二人会が先に予定されていて、そちらが完売御礼だったので、私のような「由良助」を救済しよう!と、言う席亭ごりんやさんのご好意で、この追加公演が開催されました。
良かった!噂の西の秘密兵器、お前はホウシュウエイトかぁ!!みたいな、桂福丸さんを楽しみにらくごカフェに予約!!一席ですが、至近距離で福丸さんを堪能しました。

さて、そんな東西2017年文化庁芸術祭新人賞を受賞したお二人の二人会、こんな内容でした。


・オープニングトーク
・流れの豚次傳「任侠!流山動物園」…太福
・左甚五郎「竹の水仙」…福丸


1.オープニングトーク
第一回の二人会の前に、フライングで追加公演するなんて!例えるなら、クリスマスの生番組の前に、正月特番の収録があるみたいな、そんな上手い表現をする福丸さん。
芸歴も、年齢も似てるお二人が、芸術祭新人賞を東西で同時期に取ったから生まれた、二人会。太福さんは、元々、ごりんやさんの主催で、らくごカフェの勉強会を13回続けていて、
14回目のゲストで福丸さんと言う考えもあったのを、あえて、二人会にして、発展的に刺激を増やして行くようなんです。今、正にその二人会が行われております。

福丸さん、浪曲師と一緒になる機会はあるものの深い歴史とかは、存じておられないようで、最初は講釈と同じ座りのスタイルに、曲師が横に付いて互いに前向いて義太夫みたいに演じていた。
それを桃中軒 雲右衛門がテーブル掛けを使う現在の立つスタイルにした話などを、太福さんが解説していきました。実際は福丸さんが知らないはずはないと思いますが、謙虚で好印象を持ちました。
だって、誰が浪曲師では好きですかの質問に、二代目春野百合子先生だと言うのだから、それなりにご存知なはずです。このコーナー写真okだと後から言われたが、残念!携帯の電源切って鞄に仕舞った為、撮影できず。


2.任侠!流山動物園/太福
マクラでは、二年前に亡くなり福丸さんが大好きな浪曲師と言った、二代目春野百合子先生の話を少しされました。
私は、浪曲がやや苦手で、本寸法に唸る浪曲と、女流の浪曲は殆ど聞いておりません。百合子先生も、存在は存じてましたが、生では聴いた事がなく、近松を浪曲にされていて、えらい硬い浪曲師だなぁ〜くらいにしか思ってなくてね。寸評も有りません。

そんな話から、ココは新作でと言って、白鳥作品の「任侠!流山動物園」をチョイス。旅行けばが、歌詞は違えど唸れますし、私は何より、夜この続きの「雨のベルサイユ」を聴くので、もっけの幸いでした。
朝練で、「流山の決闘」と呼んでた時に聞いたやつよりも、現在の白鳥師匠の「流山」に近づいていますね。更にやると喬太郎版の要素も加わるのか?
喬太郎師匠のは、園長と豚次が動物園復興策を練る場面と、上野動物園でのパン太郎・虎男と豚次の駆け引き、そして、パン太郎・虎男の殴り込み、この三つのバランスが均等です。
それに対して、太福さんのは、明らかに上野動物園が短めで、全体の尺も20分とコンパクトにできています。どうしても、浪曲なんで、節を聞かせる展開です。次郎長傳と聴き比べて真価が分かる感じですよね。
この後、三十石船を次郎長傳でやったのか?その辺りが楽しみで、それを聞かせるフリとしては、素晴らしい追加公演だったと思います。
玉川流でも虎造流でも構わないので、古典の次郎長傳と、任侠流山を続けて聞けたなら、お客さんは幸せです。


3.竹の水仙/福丸
マクラでは、東京の落語ファンと関西の落語ファンの違いを、女性ファン目線で解説する福丸さん!!掴みとしては、素晴らしいと思います。
『竹の水仙』の舞台は、大津の旅籠で、女将がマクラの大阪のおばちゃんと重なり、笑いが倍増します。また、甚五郎をボロカスに言っていたのに、百二十両貰った瞬間の変貌が痛快です。
東京の『竹の水仙』だと、汚い身なりの西の職人が左甚五郎と知れた時点で、女将の態度は一段階豹変し、お金で二段階にトドメを刺す感じですが、
滋賀の近江商人の「天秤の唄」の女将さんは、甚五郎の名前ごときでは、びくともしません!!銭を見せられて、初めて変わる、変わり身の早さが痛快です。

また、あまり武士を演じる機会は多くないはずなのに、先触れの侍・大槻玄蕃と、その主人細川越中守の威厳と貫禄の差が見事でした。
だから、大名行列が来てからの展開が、ピリッと締まる感じになり、それでいて、物語の流れは加速します。だから、マクラ込みで20分ちょうどくらいで終わってビックリしました。
本当に、無駄が無くて、東京の若い咄家にも見習って欲しい『竹の水仙』でした。本公演の二席は、なんだったのか?次は、予約に遅れまいと、誓いました!!

考「蕎麦を食べる音」

蕎麦を食べるズルズル音。落語ファンなら誰もが、挑戦した事があるはずです、蕎麦を啜る音。私は、バカだから、自分が食べる蕎麦の音を録音して、
スペースアナライザーを使いその高調波成分を分析しながら、第5高調波くらいまで、仕草で出す音が同じにならないものか?と、研究した事があります。

さて、仕草で蕎麦の音をどう出すか?実際に蕎麦を食べてもいないのに、上手く出すものだと感心します。しかし、咄家の出す音を聞いていると、似ては居ますし、何パターンかには分かれますが、それぞれ個性があります。

音の高低/啜る長さ/単音・和音/カスレ方/ビブラート・ゆらぎ/音圧の大小など、スペアナを使って数値化して分析したくなる要素が多々ありますが、
数値化できても、その解析結果を見ても、同じ音は出せないと分かり、やってはみだが、意味がないと分かりました。


さてさて、蕎麦を啜る音。基本的に蕎麦無しで、蕎麦を啜る音を出します。口と舌を駆使して、あの!!蕎麦を啜るような音を出します。
昔、NHKの番組で、目白の師匠がバカな女子アナにせがまれて、蕎麦の仕草して音の出し方を説明した番組がありました。
プロフェッショナルでも小三治師が、バカなNHKの女子アナに、蕎麦食べる仕草をして下さいと言われていましたね、あれは、NHKの伝統なの?!

さて、目白の師匠は、舌をやや筒状に丸くして、舌先を口の上の方に当てながら、口を横一文字にして、息を吸うと、あの音が出ると仰っていましたが、
同じやり方で、音が出るのは、60人弟子が居ても5人と居なくて、舌の使い方と、顔の骨格と口の構造で個人差が物凄くあると、説明されておりました。
何人かの師匠に、聞きましたが、凄い個人差なんです。市馬師匠とかは、直ぐできたと言われますし、落研出身者は、それぞれ個性がある。

まぁ、白鳥師匠でもできますから、?って師匠はあるが、音の出ない師匠は居ません。ただ、蕎麦とうどんは、食べ分けている師匠が殆どですが、汁蕎麦とセイロ蕎麦は、意外と同じ師匠が多いです。
蕎麦っ食いの私が、今週は一食しか蕎麦を食べていませんでした。しかも、カップのインスタント。いかん!と思って食べたのが、半カレー蕎麦セット、竹輪天のトッピング。

何たる邪道蕎麦

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江戸っ子ならセイロだろう!!と、今は亡き、二代目いじわる婆さんの志ん馬師匠に叱られそうな蕎麦を食べてしまった。
ちなみに、志ん馬師匠は、生粋の小倉生まれの玄海育ち!なのに、前座を連れて蕎麦屋に行き、好きなモン食え!と、言いながら前座が、セイロ・カケ蕎麦以外を注文すると怒る!!

まぁ、セイロ蕎麦とカケ蕎麦は、落語の仕草の勉強にもなるからなぁ〜何て思いながら、わざと強めに蕎麦を啜る音をさせてみると、勿論ですが、落語の中で咄家が出す音とは違います。
そんな事を考えながら、落語の一番代表的な仕草。蕎麦を食べる仕草について、少し掘り下げて考えてみました。

まず、蕎麦。セイロ/ざる蕎麦と、汁の在るしっぽく/花巻蕎麦とは、自ずと仕草も、蕎麦を啜る音も違います。
先に、『時そば』に代表される汁在り蕎麦から考えてみましょう。蕎麦屋が、割り箸を器の上に乗せて渡しますよね、そしてそれを客が頂いて食べる。
たいがい、右手に扇子、左手は丼を持つ仕草でこれを頂いて箸を割る仕草になりますが、あまり、蕎麦が入った丼が熱くて、それなりの重さが在ります!って演技になる咄家は少ない。
これを熱く重い器で演じないと、発泡スチロールの蕎麦みたいに感じて、更に、まずは麺である蕎麦を食べる前にと、汁を啜っても熱さを演じて貰わないと、その蕎麦本当に美味いの?って思ってしまいます。
最近の若い咄家さんは、汁啜る音が出せたら満足しているみたいで、亡くなった昭和の名人のビデオを観ると、あぁーコレ!!これが本物!って思います。

次に、蕎麦を食べる仕草。実は、セイロのように手繰るんじゃなく食べる、丼を持った状態で箸を使う汁在り蕎麦の方が遥かに食べる仕草は高度な技術を要すると思います。
更に、『時そば』だと、まず、器を褒めておいてから、蕎麦が細い事を言葉にして、その腰の加減も食べながら食感を言葉にします。
これと間合いを綺麗に同期させて、器の素晴らしさと蕎麦の細さは目の演技を加えて補間します。
加えて蕎麦の食感は、最も大切な食べる音、噛む仕草などを加えて、観ている客がまさに、高座が跳ねたら、蕎麦屋に駆け込みたくなるような仕草が理想です。

でぇ、ねぇ。この仕草中、私は左の丼を持つ手と、箸として使う扇子を毎回凝視します。丼を持つ手は、まず、指の形。親指を丼の淵に掛け他の指は軽く開き器を支える仕草になるはず。
そして、上手い人は腕は殆ど動かず、箸の動きにシンクロして、手首を最大90°程度回す動きしかしません。
また、箸を使う扇子の方は、セイロじゃないから大きく上下させず適度に上下させて、息を吹いて啜る。この吹いて啜ると熱いんだなぁが伝わるし、より美味そうに感じます。
そして、これが最も大切かもしれませんが、扇子を箸らしく使う事。中には、実生活で箸使いが下手に違いないと思う食べ方の咄家も居ます。口に扇子を入れる角度や口の動きも大切な要素です。
蕎麦と竹輪は、口の中に入れる時、同じでは困る!!

一方、セイロ。こちらは更に箸の持ち方、角度の付け方で、美しく見えたり不細工だったりします。
そして、このセイロを食べる仕草では、手の美しさが演技の良し悪しに強く影響します。指が長く綺麗な手の咄家に有利だと思います。
また、こちらでは、左手は蕎麦猪口を持つ事になるから、当然、蕎麦を手繰る動きに合わせて、少し動かしながら食べなければなりません。
セイロ自身は、テーブルに置かれていて、それを箸で手繰りながら、江戸前に蕎麦先だけ少し、蕎麦ツユを付けて食べるんだから、箸のストロークは、汁の在る蕎麦より長いはず。
セイロを食べる仕草は、なんせリズムです。『そば清』とかでやる場合は特に、徐々に食べるペースを上げ行くから、啜る音と仕草を如何に加速させられるか!?矢来町とか今ビデオで観ても美しい!
ちなみに、セイロで蕎麦を食べる仕草では、殆ど、蕎麦を噛まずに飲み込みます。

如何でしたでしょうか?そんな見方してるのかお前は!!と、殆どの場合、落語愛好家仲間や芸人に話すと引かれて、「マニア過ぎる!」「オタク!」と罵られるのですが、
性分でして、エンジニア気質というのか、野村克也風というのか、理屈/論理を確立したり、法則を見付けたがる性分なもんで、ご容赦下さい。

勿論、ご意見と、仕草の上手い咄家を教えて下さい。私は若くて上手いのは、当代小せん師匠、そして扇辰さんかな?勿論、ベテランの名人のそれは別格です。
このシリーズも10回目。今回で暫く休みます。続きがあるのか?ですが、今回は最後に相応しく「政談モノ」をお届けします。
“政談”一番多いのは、間違いなく「大岡政談」です。まずは、落語になって定着しているものから思い付くものを上げてみます。

・大工調べ
・帯久
・三方一両損
・五貫裁き
・匙加減
・小間物屋政談

『大工調べ』お白州までやるのを殆ど私は聴いていない。生で聴いた中だと、小満ん師、市馬師、甚語楼師ぐらいかもしれない。
また、南町奉行所に与太郎が駆込み願いを出したとは言うが、「大岡越前である」みたいには名乗らなかったと思います。
市馬師匠は、テレビの時代劇でお馴染みのあのお奉行様とは言ったようにも思うけど、甚語楼師はそこまで言わなかったし、
小満ん師匠のお白州は、市馬、甚語楼とはかなり違って、お白州の部分にも笑いが結構あって面白い。

『三方一両損』は、“大岡越前”でないとサゲが付かないし、帯久も指を紙で巻いて封印する辺りが、如何にも大岡裁きです。
また、『五貫裁き』、『匙加減』、『小間物屋政談』は、如何にも講釈根多らしく大岡裁きらしい展開です。
『五貫裁き』は、六代目圓生は『一文惜しみ』で落語っぽくやりますが、談志師匠のは講釈っぽく、常廻りの役人やお裁きがかっこいい。
『匙加減』は、落語では私は扇辰師匠でしか聴いておりません。国立で根多卸しした時と、ノラやさんの二回聴いています。
また、講釈師では最近本当に聴いていない。琴調先生で、辛うじて2年前に聴いていますが、過去10年それだけでした。講釈師はあまりやらないのか?
『小間物屋政談』は、講釈の『万両婿』で、志の輔師匠と三三師匠がよくやるイメージです。
三三師匠は琴柳先生から仕入れて『万両婿』でやります。

大岡政談では、落語の尺で聴いた事はないけど、小咄程度のマクラで、本当の親を見付けるのに、名乗り出た母親二人に、
子供をまん中に置いて、綱引きみたいに引っ張りっこさせる噺がありますよね。時代劇「大岡越前」にも何度も登場したエピソード。
私は、これくらいしか思い出せませんでしたが、もっとあれば、ご指摘下さい。

次に、大岡越前以外の「政談モノ」を取り上げましょう。落語で定着しているのは、私の思い付く限りでは、こんなのが思い出されます。

・佐々木政談
・鹿政談
・唐茄子屋政談
・五人政談

『五人政談』以外は聴いた事があります。『唐茄子屋政談』は、これこそお裁きまで行かない噺の典型で、政談か?と思ってしまいます。
『鹿政談』は、本編の尺が短いので、日本中の名物を紹介するマクラで、語りの上手さが分かる噺で、意外と難しい噺だと思います。
そして、なんせ物語が面白いのは、『佐々木政談』ではないでしょうか?池田大助の幼い頃の賢さが、たまらない噺です。
あと、『白子屋政談』。これは『髪結新三』ですが、政談じゃないだろうと思って、あえて加えておりません。


最後に、講釈でしか聴かない政談モノで、大岡三政談と呼ばれている有名なお噺があります。
講釈師が言うので、全く嘘八百だと思うのですが、数多裁きを下した大岡越前守忠相は、罪を憎んで人を憎まず、だったが、
生涯に、憎いと思った罪人が、三人だけ居ると言うのです。それは、徳川天一坊、村井長庵、そして畦倉重四郎です。
この三人の悪党を主人公にした物語が、講釈、特に神田一門には、長編連続噺として、二代目山陽、当代松鯉、そして阿久里、鯉栄、松之丞と、
この大岡三政談が伝承されております。特に、江戸川乱歩も絶賛して釈場に通ったという『徳川天一坊』は素晴らしい。
魅力的な悪党が、沢山登場します。その中でも、山之内伊賀亮はカッコいい。「網代問答」を是非、芝居だけでなく講釈でも聴いて欲しい。

ちなみに、私が好きな大岡政談は、『越後伝吉』です。神田あおいさんが連続でやってらしたけど、私が好きな六代目伯龍のとは、かなりテーストが違いました。
難しいダレ場の多い噺ですが、どなたかやって欲しいです。ただ、私は伯龍先生のは、1話と4話しか聞いた事がありません。全6話全て聴きたいのだが、CDは廃盤だから中古しかないんですよね。
たまに、Amazonとかに出ると、二万円とか言う、とんでもない値段が付いています。


La Fin

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