|
「与話情浮名横櫛」を掛けるというので、「志らく百席」に久しぶりの参加です。中村屋がコクーン歌舞伎でやると決まって、
色んな演者が、『お富與三郎』を今年は蔵出しして掛けていますね。芸協の披露目では紅先生も掛けたらしい。
そんな1年ぶりくらいになる「新・志らく百席」、こんな内容でした。
1.子ほめ/志ら門
前座仕事をサボって草野球に入って、芸協の某煩い師匠のところをしくじり破門。(野球中に骨折してバレたとか)
その後、志らく師匠に入門が許され「破門された戒めを忘れないように」と、“志ら門”に成ったとか?
落語を聴くのは二回目だと思いますが、ちゃんとした喋りなのですが、上手く語ろう感が強過ぎて、前座らしさがない。
先の入門から考えると二つ目になっていても不思議じゃないので分からなくもないけど…
この日の『子ほめ』も、元気よさや、勢いみたいな部分が乏しいのです。
2.幇間腹/志らく
久しぶりの志らく節さく裂でした。いきなり、元はテレビに出ないけど、それなりに有名な咄家だったんです、私は。
と、言う志らくさん。テレビなんぞに魂は売らないつもりが、“ミイラ取りが木乃伊”に成ってしまった感じです。
なぜ、テレビに出ないの?って奥様の身内から訊ねられると、「私は談志から暖簾分けしてもらった、格式高い料亭」
「だから、笑点メンバーみたいにファミレスには成れないんだ!」と、啖呵切っていたのに…
志らく師曰く「志の輔兄さんは昔からファミレスだったけど、高級感のある“藍屋”だった」そして、
「談春兄さんは、私と一緒の料亭だったのにミシュランの星なんてと寿司屋になり、最後は“華屋与兵衛”になった」
「談志の味を本寸法で受け継ぐのは俺だけかぁ?!と思っていたのに、自分も“とんでん”になってしまったとさぁ。」
そんなマクラから、幇間=たいこもちについてのマクラへ。定番の一八と若旦那の会話で、一八の風見鶏ぶりをアピール。
ただし、定番の天気や着物の色ではなく、蕎麦とうどんだったり、志らくオリジナルな風見鶏です。談志師匠みたい。
そして、談四楼師匠が、お座敷に呼ばれ芸者&幇間とお旦を必至に盛り上げていると、芸者はそれなりに働くが、
その日に呼ばれた幇間が、全く喋らず合いの手すらろくにいれない。旦那がトイレに立ったので、
「お前さん、いい加減にしなよぉ。少しは会話に加わりなさい」と云うと「すいません、無口なたちで」と返されたそうです。
心ん中で、談四楼師匠、『無口なら、たいこもちなんかになるなぁ!!』と叫んだそうです。
本編、若旦那が冷酷に上から一八を真綿で締める感じで少しずつ追いこんで行きます。
一方の一八は、茶屋に現れた時から物凄くお調子者で、女中のお清さんにも強烈にヨイショしました。
そうそう、最近、志らく師匠は、やたら歌いますね。この日は変なじゃんけんぽんの歌を披露しました。
3.二階ぞめき/志らく
マクラでは、山口くんの話題に振れて、TOKIOの番組に事件発覚2日前のオンエアーでシークレットゲストで出演した志らく師。
この話を楽屋ですると、「何か変わったところは?」「誘われなかった?」と質問攻めにあったと云う。
そんな時、志らくさんがふと思うのは、談志だったら?という事。そう振って談志師匠のモノマネを交えて、
「酔ってガキ呼んで、振られて、事件になって、あげくに頸になってりゃ、ざまぁ〜ないよなぁ」と言う志らくさん。
完全に師匠談志の口を借りて思いの丈を吐露したように思えます。ご本人は「談志だったらですよぉ」とは言うけど。
また、談志師匠は本当にコロッと考えや態度を180°変えてしまう。逸見さんが胃癌で闘病会見した時も、
談志師匠、「腐った料簡の野郎だぜぇ、ガンを売り物にお涙頂戴するなんて!!」と吐き捨てたのに、
自身が喉頭癌に掛かると、負けないような会見をやって、タバコを吸って強がったりしておりました。
更に昨今の「不倫だ、セクハラだ」の問題でも、基本、芸人なんて道徳の概念が欠如した野獣なのである。
それが1点に光る才能を持っているから、世間は大目に見てくれるのであって、するなといっても不倫する。
だから、文枝しかり、圓楽しかり…泣いて会見なんてしていたら、談志なら「泣くなぁ!泣くなぁ!、女々しいゴミがぁ」だ。
そんな話題から昔は吉原という遊び場があったと振って『二階ぞめき』へ。
この噺は、談志師匠も時々やっていましたし、談春さんもやりますね。志らく師匠のとは趣が違いますが。
吉原の遊郭の名前を上げて、大門、見返り柳から順に若旦那が自宅二階の完成度に酔っていくのですが、
せめて、昔の吉原の地図を見て最初に見る大店は「大文字楼」「彦多楼」、もしくは「稲本楼」「品川楼」。
角海老は、仲之町通りをかなり進まないと、確かに時計が目印ではあるけど。。。
4.与話情浮名横櫛/志らく
今年は、中村屋がコクーン歌舞伎で「お富與三郎」を掛けるので、流行っております『与話情浮名横櫛』。
冒頭、昔志らくのピンで、黒澤映画の俳優を「お富與三郎」の登場人物に重ねて演じた事があるそうで、
今度は、山田洋次監督の「家族はつらいよ!」に出演したのを記念し、「男はつらいよ!」の俳優で、
この『与話情浮名横櫛』をやろうという趣向でした。
そうそう、CXの「ボクらの時代」に、この山田洋次作品の公開記念で志らく師匠も呼ばれていて、
花緑師匠、そして今話題の正蔵師匠と三人で鼎談するそうです。ちなみに、談志師匠が亡くなった時以来なんだとか。
その時は、高田先生と毒蝮さんが一緒だったそうです。志らくさん「何がボクらの時代だ!!」と云っておりました。
確かに、同世代で集まらないと…
さて、本編。志らく師匠の『与話情浮名横櫛』は、「木更津」「稲荷堀」「島抜け」「與三郎の死」の構成。
つまり十代目馬生師匠の筋を踏襲しています。だから、下田屋の茂吉を死なせて、船頭に強請られるくだりはナシ。
木更津でお富と與三郎が祭の日に出逢うんですが、江戸金が髪結ではないのです。寿司屋という設定です。
見久井松蔵と、赤間源左衛門に間男をつきとめられて、ナマス斬りにされる場面は、雲さん馬石さんの方が迫力あります。
でもね、松蔵が威張り散らす仕草や啖呵は、志らくさんの方がチンピラらしいと思いました。
志らく師匠のは、割とあっさり二人は玄冶店で再開しますが、ここも雲助師匠と馬石師匠とは異なります。
まず、玄冶店のお富の家、粋な黒塀、見越しの松の在る家。蝙蝠安と目玉の富八も偶然出会うのが雲助・馬石パターンだが、
既にお富と出会う前に、志らく版では二人とつるんで悪さをしている設定で、お富も井筒屋の番頭に囲われているのではなく、
この再開の段階で、お富の旦那は富八の父親の面倒をみている藤八です。構成の詰め方が大胆で、面白いと思いました。
この後、「稲荷堀」になり、お富のリードで與三郎が富八を殺します。それを蝙蝠安に観られ強請られる。
このひつこさに我慢できず、二人は蝙蝠安も殺してしまいます。雲助・馬石パターンは「茣蓙松」を挟みますが、
志らく版は、十代目馬生のパターンで、無宿人狩で與三郎は奉行所に捕まり、2件の殺しは露見していないので、
佐渡へと島流しになってしまいます。実家の番頭が、役人に鼻薬を嗅がせておいてくれたので、モッコ担ぎになる與三郎。
島での生活は、地獄より厳しい佐渡。この時代は“砂土”と書いたそうです。雨の番に島抜けを決行する與三郎。
雲助・馬石の方は、後家鉄・坊主松と與三郎の三人ですが、馬生の型を踏襲する志らく版は、與三郎の後を追って、
スリの男が與三郎に直訴して一緒に島抜け。港の桟橋から落ちた材木が集まる湾に飛び込みます。
何とか本土・越後に着いた二人は、スリは大坂へ、與三郎はお富逢いたさに江戸へと逃げます。
志らく師匠は西へ、東へと別れてと云いましたが、確かに大坂に逃げるスリは西でしょうが、
與三郎は南だと思いました。富山や石川に着いたんなら東だけどね。
そして、江戸へ向かう道中で、見久井松蔵と赤間源左衛門に出くわし、その寝込みを襲って恨みを晴らします。
ここは馬生師匠・雲助師匠のにはない展開で、馬石師匠はやりますが、真っ向勝負を挑み、
仇討の助っ人まで登場する展開です。これは、志らくさんの方がいい。自然でスッキリです。
最後は、父親の葬式、お富と品川での再開、寝ている與三郎をお富が、與三郎が赤間源左衛門から奪った刀で殺します。
ここは、馬生師匠の型そのまんまで、最後に「男はつらいよ」風に「終」が出ます。
まぁ、見久井松蔵は源ちゃん・佐藤蛾次郎でもいいけど、赤間源左衛門はタコ社長ではありませんよね。
「男はつらいよ」と「お富與三郎」では、キャストがマッチしません。
次回新・志らく百席は7月10日で、「転失気」「お化け長屋」「たちきり」の三席です。
|
過去の投稿日別表示
[ リスト | 詳細 ]
2018年05月10日
全1ページ
[1]
全1ページ
[1]




