Marsのブログ

小さな会を精力的に聴く努力をしてまいります!!

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神田鯉栄先生が新しく立ち上げた会です。松之丞さんとの姉弟二人会の中で、この会を立ち上げる告知がなされまして、
参加するか?迷っていたのですが、たまたま、ポイントが15点満了したポイントカードが在ったので、これに参加しました。
通常木戸銭は予約二千円なんですが、ポイントを使って無料で参加できました。尚、当日は2千3百円です。
また、この会は来年5月まで既に開催日程が決まっていて、奇数月の第二土曜日、18時半開場、19時開演です。
そんな記念すべき第一回「神田鯉栄新作一年生」、こんな内容でした。
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1.ビニール傘誕生
鯉栄先生が、師匠である松鯉先生に入門するキッカケから、新作講談をやるようになったキッカケまでを30分以上語りました。
古典の師匠は松鯉先生ですが、新作の師匠は白鳥師匠だと云う鯉栄先生。マシュマロの腐ったような顔と白鳥師匠を表現します。
また、白鳥作品の魅力を勧善懲悪で、『流れの豚次傳』に見る講談の任侠モノに通じるスピリッツに惚れたと云うのです。
あと、白鳥さんの豚次には、悪い奴を殺すだけじゃなく、時に敵を包み込んで許すような広い心があるのも魅力だと思います。
そうそう、寄席のお客さんがプログラムの出演者に、○や×を付けて評価しているのが、意外と高座の上から見えるので、
自分の評価が気になるもんだと言っておられました。特に、池袋の高座はよく見えるから気になるそうです。
また、入門して十数年、殆ど稽古は松鯉先生からしか付けてもらっていないので、そのやり方が稽古だと思っていた鯉栄先生。
それが、にぎわい座の布目さんに二つ目時代「きらりさん、貴方、意外と新作も合うよ」と言われ、白鳥師匠を紹介される。
そして、数ある白鳥作品の中から、女相撲のネタ『鉄砲のお熊』を薦められたそうです。そして…
松鯉先生の稽古とは、まず、師匠自身が作った台本を貸して頂く。それを中1日以内に全部コピーするんだそうです。
例えば『寛永宮本武蔵傳』なら全十七話:十七冊の台本、『水戸黄門記』なら全二十四話:二十四冊の台本があるそうです。
そして、松鯉先生はやって見せるという事はせず、そのコピーした台本から弟子が自分の台本を起して、
それを覚えて来たやつを聞いて、直したりアドバイスを加えたりして、上げの稽古を付けて下さるんだそうです。
一方、白鳥師匠は基本通信教育です。やりたい演目をお願いすると、白鳥師匠が演じた録音がCDで送られて来る。
これをベースに習う側は自身の台本を起して稽古し、これを覚えます。そして、白鳥師匠はまず、これを自分の会で、
客前で高座に掛けて録音して、それを白鳥師匠に送れと要求します。その上で、その録音にダメ出しして、
白鳥師匠が見ている前で、例えば、ウーマンズ落語会などで掛けたのを聞いて、最終の上げのアドバイスをくれます。
そんな白鳥師匠の稽古を、鯉栄先生も最初はとまどったけど、本当に優しく分かる言葉でアドバイスをくれると言うし、
鯉栄先生のように、白鳥師匠自身、昔は何度も高座に掛けないと、ネタが削ぎ落とされて寄席サイズにはできなかった。
だから、悩める女流の気持ちがよく分かるようです。
また、白鳥師匠と喬太郎師匠の新作を鯉栄先生は比べて、喬太郎師匠の作品は講釈にならないと言っておられましたが、
『諜報員メアリー』のような作品を、地を入れて講釈にするのは、普通の概念では難しいと思います。
松之丞さんの『トメ』のように、これが講釈なの?!と、思うような斬新な演出でないとできない噺だと思います。
講釈だから、地を使って説明/解説したくなる気持ちは分かるけど、あえてそれを必要最小限にし感覚的に行わないと、
『諜報員メアリー』という噺を殺してしまいます。
そんな新作への思いを語った鯉栄先生、この会の運営について説明されました。
まず、この会では、日常の些事、何の変哲もない事を一つとり上げて、これについて講談らしい深堀解説をする。
記念すべき第一回目は、「ビニール傘」でした。そして二席目は演じた事のある新作講談か、古典を改作した新作。
特に、古典のままやってはみたが、鯉栄先生が蔵に仕舞っている噺を、蔵出しして新作に直してみたりするそうです。
そして、最後に三席目は、『流れの豚次傳』を第一話から第十話まで毎月一話の連続読みするそうです。
さて、『ビニール傘誕生』の秘話。鯉栄先生自身が忘れっぽくて、万度、傘を電車や出先に置き忘れするそうです。
そんな傘に対して色々と鯉栄先生が調べた結果、突然の雨の時など、よくお世話になるビニール傘の意外な誕生秘話を、
この記念すべき一回目に披露されました。
まず、傘といえば雨という事で、いろんな雨について解説する鯉栄先生。蘇我兄弟が討たれた5月28日。
旧暦5月28日に降る雨を虎が雨いう。この日は曾我兄弟の仇討ち決行の日で,曾我十郎祐成に愛された大磯遊女虎御前が、
十郎の死を悲しんで流す涙が雨となって降るというもの。もともと5月 28日の前後は,
田の神を送るさなぶりの祝いのためにも雨が待たれ,たとえ数滴であれ,この日には雨が降ると伝えられた。
しかし,この雨が虎御前と結びつけられたいわれは明らかでない。おそらく仇討ちの日が大雨であったとされること,
また曾我狂言における虎御前の貞女ぶりが涙雨のイメージを呼んだことなどによると思われます。
浅草に武田の末裔「武田長五郎」が起した傘店!!この物語でした。現在は「ホワイトローズ」という店の物語。
傘業界には、真田の末裔も店を持っていて、武田と真田、仲良しらしいです。by 鯉栄情報です。

2.鉄砲のお熊
鯉栄先生が最初にやった新作が、この作品。私は、たまたまこのネタ卸しを聴いております。
慣れてないのと、生真面目な性格が災いして、1時間以上、この噺を横浜にぎわい座でやりました。
薦めた布目さんもピックリしたと思います。白鳥師匠には後から上がった高座で弄られておりました。
それが、数年すると、もう白鳥作品と言うよりも、鯉栄先生の代表作になってしまっています。
鯉栄先生の押し出しのいい啖呵と、巻き舌ですよね。更に一方では、世話モノとしての女心を独特の「チャクラ」で表現。
30分でできるサイズになっているし、真打昇進の披露興行でも、皆様おなじみのネタになりました。
是非、この噺は続編を作って欲しいと思います。その後の夢之丞とお熊についての物語!楽しみです。

3.流れの豚次傳「豚次誕生」
近年、白鳥師匠は「秩父でブー」というタイトルにしていて、最新の今年三月にやった時には、養豚場の夫婦は登場しません。
この物語、十席のうち、唯一人間が登場する物語になっていて、白鳥師匠がこの噺を一話目に作っていない事が起因します。
この『流れの豚次傳』全十話は、まず、第三話「任侠、流山動物園」から原作が完成します。元々連続にするつもりでは、
作られていなかったのです。それをSWAの宿題・お題に困って、白鳥師匠は設定が思い浮かばないと、この豚次を利用する。
そんな訳で後から第二話の「上野、掛取り動物園」が誕生します。そして、第四話の「雨のベルサイユ」も。
この時点で三部作となり横浜にぎわい座で初めて『流れの豚次傳』と題して、三部作を連続で掛ける興行が始まります。
そして、「任侠、流山動物園」は喬太郎師匠をはじめ多くの演者に、掛けられるようになり豚次の認知度は上がります。
更に、第二話「上野、掛取り動物園」を柳亭市馬師匠が、浪曲で演じるにいたり、落語の垣根を越えて浪曲・講談へも広がります。
そんな中、白鳥師匠は寄席で『流れの豚次傳』でトリを取る野望に燃えて、一度、大阪で掛けた第五話「天王寺、代官斬り」。
そして、これは作るべきだと思っていたエピソード1としての「豚次誕生(秩父でブー)」。を立て続けに完成させます。
しかし、ここまでは白鳥師匠も想定内でしたが、この後、金比羅様に政五郎の象牙を納める。この道中の物語は大変でした。
さて、鯉栄先生の「豚次誕生」。つい最近、白鳥、三三の両師匠で聴いたばかりなのですが、鯉栄先生なりの工夫がありました。
まず、豚次が誕生する場面で、番犬のチロに舐められるスキンシップの描写はありません。二番目に生まれたから豚次だけ。
夜鳴き豚シャブ屋だの、脱ポーク社だのの、白鳥ワールド前回ギャグもありません。
唯一、鯉栄先生オリジナルは、番犬チロが祖先狼のプライドに目覚め、飼い主の養豚場経営の夫婦に反逆した後、
豚次は、養豚場に居たお母さんや仲間を解放して、秩父の山に逃がすというくだりがありました。
母親から貰った真珠(養豚場の奥さんから盗んだモノ)を耳に仕込まれて、豚次は長い旅へと出発します。

次回は、七月十四日(土)です。

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