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朝練の後、喫茶店で時間つぶしして、夜はこの美舟さんで毎週第一土曜日に開催される「つばなれ特選会」へ。
この会は先月丸十年を経過。今月は十一年目に突入しております。継続は力!この会に出ていた頃は二つ目で、
この日の一凛先生のように、真打の昇進してからも節目・節目に特別参加して下さる方もあります。
木戸銭は前座の会も真打の会も一律千五百円、そして希望すれば二千円の打上げに参加できます。
美舟さんの美味しいお料理と、お酒は飲み放題で二千円は格安です。
基本的には、二つ目目前の前座さんから二つ目さんの為の会。しかも二人会が基本です。
現在でこそ、二つ目さんの勉強の場が飛躍的に増えてはおりますが、当時、この会が始まった10年前は、
実に貴重な研鑽の場を提供されておりました。脈々と受け継がれている「つばなれ特選会」、こんな内容でした。
・志賀席亭作/池田治政「吉原創見」 … 一凛
・ねずみ … 喬の字
お仲入り
・紺屋高尾 … 一凛
1.池田治政「吉原創見」/一凛
一凛先生を聴くのは、本当に7〜8年ぶりだと思います。東京都内在住ですが、昭和島で旦那様、息子さんと暮らされているので、
どちらかと言うと中央線沿線でも、新宿より西側での活動が主体になるようで、息子さんも10歳になられて、そろそろ、
活動範囲が広がるのか?と思ったりしております。まず、マクラでは、今日の高座は久しぶりに緊張すると仰っての登場。
理由は、ココ「つばなれ特選会」のお席亭・志賀さん作の講談を本人の前で読むという事で、実に緊張すると仰っておりました。
また、一凛さんは先の師匠が田辺一鶴先生、現在の師匠が宝井琴梅先生。まぁ、琴梅先生は宝井に移る前は田辺南鶴先生が師匠。
今日5月7日は国立演芸場での「講談まつり」に出演されております。今年からやり方が変わってますよね?「講談まつり」。
去年までは、大喜利みたいな喜劇?コント?みたいな余興を挟んで、重鎮の先生が4人くらい高座を勤める。そんな会でしたが…
今年は、NHK大河「西郷どん」に絢かって、6人精鋭・貞水/琴星/鶴凌/織音/一凛/琴甘が高座をたっぷり勤めるようです。
「伝承の会」もそうなんですが、近年、講談のビックイベントは平日の昼の開催が多いと思います。
私は、講談ファンの殆どが曜日に関係ない層=年金生活者なので、このような日程になっているの?と、思ったらさにあらず!!
どうやら、人気者のスケジュールが土日だと調整できないので、脇の仕事に支障のない平日のお昼を選んで開催しているそうです。
さてさて、一凛さん、息子さんと外国人の落語家(カナダ人)が、師匠の家で通い前座として働く様子を撮影したVTRを、
母国の両親に見せて、その感想を放送するという番組を見ていたら、息子さんからの素朴な疑問。「母さんも同じ様にやってたの?」
「勿論、母さんもわってたわよ!」と返すと、「師匠ん家、綺麗にならなかったでしょう」と言って、現室内を見廻す息子さん。
そこからの一凛さんの反論が、自身がかたずけ上手ではないという核心には触れず、如何に一鶴先生が「捨てられない人」だったか?
これについて、説明をされました。確かに、映画だったか?一鶴先生の自宅兼古本屋さんを、ドキュメント映像で観た事があります。
確かに何でも床や畳に置かれていて、足の踏み場もないお部屋でした。一凛さん曰く「文献や書籍の間に食べ物を置いて忘れる」。
そんな一鶴先生の思い出から、一鶴先生と新作講談に振れて、志賀さん作の「吉原創見」へ。
この物語、田沼時代が終わり、白河公の寛政の改革、その真っ最中が舞台です。吉原は改革がこれ以上続くと廃止となるのか?!
そんな憶測が内外に飛び交うぐらい疲弊してしまっておりました。そんな吉原の実情を観た池田治政が、これはまずいと察して、
松平定信のこの改革に「異議を唱えて吉原創見を幕府に進言します」、そんな、江戸幕府が官僚として働く武士の時代になった。
そんな様子がよく分かる、歴史好きなみなさんにはお薦めの作品でした。結構長講の大作です。
2.ねずみ/喬の字
前々回、私が参加した三月の「つばなれ特選会」で、扇ちゃんがやった演目も『ねずみ』でした。なのに気にせず掛ける喬の字さん。
これには、2つ理由があり、まず、この日根多帳を付けたのは、二つ目の喬の字さんではなく、真打の一凛先生だったのです。
席亭さんが打上で呆れてました、「二つ目が真打に『僕、字が汚いから姉さん書いて下さい』って、根多帳書かせるなんて!?」と。
そして、もう一つの理由が、自身の同期とやっている勉強会で、この『ねずみ』を根多卸しで根多出ししているので、その予習。
既に1回は中野だったかな?余所の勉強会でも一度高座に掛けているそうで、この日が二回目でした。
一方、マクラでは、旅の噺『ねずみ』に掛けて、自身の地方に呼ばれて行った仕事のお話。しかも協会に来た仕事。
身延の山奥にあるお寺さんから11月の終わりに呼ばれた時。本来は当日移動で、真昼の落語会をやって打上げ泊り翌朝帰宅。
そんなスケジュールで協会の事務局からチケットを貰っていたら、前々日から雪が降り出して、前日前乗りに変更になった。
既に前日到着してみると十センチくらいの積雪で、最寄駅でタクシーを拾うのも大変な状態。タクシー乗り場に1台のタクシー発見!
前に、老婆がヨロヨロ歩いているのを、横目にダッシュで先にタクシーに辿り着いて「○○寺」と告げてダクシーを出す喬の字さん!
悪魔のような所業だと思いますが、この人ならやりそうです。そんな思いで前乗りしたのに、翌日は更に大雪になり、
1メートル近い積雪の為、落語会は中止になる。主催者が協会にはやった事にしますから、この寺で仕出し取って打上げしましょう。
そう言うもんだから、昼三時から宴会に。夕方5時、居酒屋が開いたからと二次会へ。更にまだ終電あるからとスナックで三次会。
結局、その日も宿坊に泊って翌日帰宅。これが協会にバレて2年くらい仕事を廻してもらえなくなったらしい。婆さんの祟りか?!
とにかく酒が大好きな喬の字さん、隅田川の屋形船の仕事でも、お客さんが呑み足りないと云って「電気ブラン」を求め、
ふらっか、ふらっか、浅草の街を彷徨っているのを見て、「店まで送ります」と云って神谷バーへ案内した。
「じゃぁ気を付けて」と云って喬の字さんがきびつを返すと、「あんちゃん、一緒に呑むか?」と言われ喜んで従う喬の字さん。
この次の日も、協会事務局に「まっすく帰って下さいと、言いましたよねぇ〜」と叱られて、屋形船の仕事からも干される。
さて『ねずみ』。細かい言い間違いがまだありました。例えば、卯兵衛さんが甚五郎に鼠が動かなくなり手紙を書く場面。
「私の腰が立ちました、鼠の腰は抜けました」だと思うけど「鼠の腰は立ちません」と云いました。
あと、二代政五郎。この青年大工のキャラが変でした。若年寄?な二代目なんです。
3.紺屋高尾/一凛
丁寧な展開で聴かせる一凛さん。久蔵が兄貴分金太と三次に連れられて向島桜見物、吉原夜桜見物と桜のハシゴをする所から描きます。
そして、まず女将さんが恋患いだと聞き出し、親方が会うだけなら三十両貯めろ!と、発破を掛けるのです。
久蔵が駒ネズミのように働く描写、周囲の応援で流山のお大尽に仕立てられる描写、高尾太夫との夢のような時間、
どれもが同じ様な語りなので、どうなんだろう?! あと、この噺の途中、噺を止めて「TOKIOの山口メンバー」の話題を入れました。
昔、談志師匠がやっていた手法ですね。噺がシリアスで固くなり過ぎると、柔らかい根多をブチ込んで、緊張を緩和する手法。
一凛さんは、「何で素人の女子高生を誘うの?」「それなりにお金を払えば、バレないようにできるのに」と云う。
ただ、山口さんは素人のロリな子に欲情したわけで、銀座のホステスとかではダメだんですよね、絶対に。
そうでないと、何百人、いや千数百人の山口さんの携帯に登録されている女性から、当該のJKを選んだりしないもん。
あと、昔みたいに全部モミ消してくれるフィクサーのような人が、政治家/財界人/ヤクザの中に居なくなった事の証明ですよね。
『ゴッドファーザー』のドン・コルレオーネみたいな人が居たら、示談金二千万円払えば、全部無かった事にしてくれますよ。
私が見知っているそれに相当する人は、許永中:ホ・ヨンジュンですかねぇ。1980年代なら表に出ない事件だったと思います。
まぁ、少女もお母さんも「Do you like a sea or a mountain?」って訊ねられ、魔法で消されてしまいますけどね。
【打上げの一凛先生】
さて、次回は6月2日(土) 一龍斎貞弥さんと立川談修師匠の二人会です。私はもう予約しました。
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