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結構、にぎわい座の名物企画の一つに成っている会です。“雲助”と題されて行われる興行は、この一門会と独演会の2つで、
それぞれ、半年に1回、つまり雲助師匠のネーミング企画がにぎわい座は、3ヶ月に1回開催されております。 前回の一門会は、残念ながら4人勢揃いできず、白酒師匠一人がお休みの回で、雲助師匠は2席やってトリを取りました。 「雲助師匠がトリを取る」そんなの珍しくないでしょうと言う人もあるかと思いますが、さに在らずなのです。 この一門会は、誰がトリを取るか?で毎回大揉めに揉める会で有名。と言うのも雲助(師匠)・白酒(総領弟子)の二人が、
早く家に帰りたい!!と、いうだけの理由で、浅い出番を強く希望するからです。ちなみに、龍玉師匠は家に帰りたくない派です。 そんな中で、まじめな馬石師匠が、落語会というものはと言って、師匠と総領弟子がトリを交互に取るべきで、、 仲入り前もトリじゃない方が勤めるのが普通で、お客様も、そう思ってチケットを買っていますと主張するけど… 雲助師匠と白酒師匠は、それぞれ、この一門会の合間に独演会もやっているから、一門会のトリぐらいはお前達2人で廻せ!!
と、言う主張になるようですね。また、仲入り前については、早く帰れるから、喰い付きよりは良いと言い出す始末です。 そんな、今回も出番で揉めた「五街道雲助一門会」、こんな豪華な四席になりました。 1.出来心/ひしもち 何度も聴いているひしもちさんの『出来心』。サイゴ兵衛さんの家に下駄を忘れてしくじった場面までの15分できっちり終わりました。 たまに居ますよね?! 花色木綿の本来のサゲまでタップリ25分オーバーにする前座さんが。某師匠みたいに「20分以上やってこい!」 と、命令する人のお弟子さんは仕方ないけど、朝左久時代の一之輔師匠でも、25分とか聴くと客席から物をぶつけたくなりました。 ひしもちさんは、万一、そんな事を命令されても、15分で降りてくれそうな本格派の前座さんです。 2.お菊の皿/雲助 前座さんが着席待ちを"めくり"の横で正座していると、出囃子の「箱根八里」が繰り返し、やや長めで流れていた。 『えっ!師匠の雲さんが前座の後?!』と、思ったら、雲助師匠自身が高座に登場して初めて、客席笑いが大きく起こりました。 五街道一門会、「箱根八里」を聴いても雲助師匠が出ると分からないのか?と、少し驚きました。恐ろしく個性的な出囃子ですよね? 何よりあんなに太鼓が特徴的に鳴る曲はないと思います。ついでに云うと、女性ファンって多数が出囃子に興味がないのに気づきます。 本当に予断ですが、談志師匠が「木賊刈り」と「中の舞」、談春師匠も「鞍馬」と「中の舞」のパターンで1席目、2席目を使い分けています。
このように「中の舞」はオールマイティー、誰でもトリの真打なら使える出囃子です。六代目三遊亭圓生も「正札付」の後に使っていました。 この「中の舞」を木賊刈りや鞍馬と勘違いして、変な事を言っている落語ファン結構います。無礼者と思われたり、刺されるのが恐いから指摘しません。 興味が無いというのは結構恐ろしくて、小三治の「二上り鞨鼓」でも、口三味線できない落語ファンが少なくない現実があるようです。 この辺りが、文菊師匠の言っていた「お客様にも基本的な素養を求める」 この部分なんでしょうね。出囃子がタイを表している師匠居ますよね。 私が、感じる範囲で現役であげると。 ・吾妻八景:柳亭市馬
・お兼晒し:柳家花緑 ※これを時々違う師匠が使うけど、これは花緑師匠のイメージです。 ・ぎっちょんちょん:柳家小ゑん ・鞍馬獅子:柳家さん喬 ・鯉:瀧川鯉昇 ・白鳥の湖:三遊亭白鳥 ・箱根八里:五街道雲助 ※夏丸さんも「箱根八里」を使っているけど、違和感を感じる(協会が違うけどね) ・ボタンとリボン:三遊亭小遊三 ・デイビー・クロケット:春風亭昇太 ※宮治さんとかたまに使うけど、止めて欲しい!! ・二上がり鞨鼓:小三治 ・まかしょ:柳家喬太郎 ・我は海の子:三遊亭歌之介 さて、古希70だからと弟子が出番を浅くしてくれたと雲助師匠は言いますが、弟子の証言を聞くと、馬石さんが雲助フェイントにしてやられたようです。
また、そんな師匠の意見に乗って、前回欠席の白酒師匠が、トリを押し付けられては困るというので、雲助師匠の見方に付いて強引にトリに仕立てたみたいです。 そんな雲助師匠、「はて恐ろしき、執念じゃなぁ〜」に代表される、怪談噺の定番マクラを振ってから、幽霊の服装と仕草、更には言葉・訛りの説明を入れて『お菊の皿』へ。 雲助師匠のお菊さんは、何ともお茶目でねぇ。武家奉公していた様子のなごりが最初はあるのに、段々無くなるし、最後は酒を飲んで化けて出る始末でした。 3.鰻の幇間/白酒
マクラでは、師匠がいきなり「オレがサラ口だから」と言って出番を決めたと暴露して、トリの弟子が如何にごねて不平・不満を語ったか?について語りました。 「詳細は、この後に上がる二人から聞いてください。」と、云ってどちらが、この時点ではトリが馬石師匠だとは説明せずに、人間の上下関係に関するマクラへ。 客と芸人の関係について、つまりは贔屓の旦那と芸人の関係を、寄席を例に語る白酒師匠。意外と寄席は紙切りの正楽師匠だったりするお客様が居ると云うのだ。 そういうお客様は、結構残酷で、膝に上がった正楽師匠から切って貰うと、トリの師匠を観ずに帰ったりしてしまうと云うのです。確かにタマに居ます。 この後、幇間の定番マクラ、贔屓を見つけておごってもらう事を「釣り」に例える話を振って、本編の『鰻の幇間』へ。
いきなり登場した幇間の一八が昼飯をタカる相手を、本所なんで「若林さん」の家へと言って、留守だと分かると二軒目は本郷の「稲葉さん」の家へと云う。 横浜のお客さんでも、流石に若林さん=雲助師匠、稲葉さん=さん喬師匠というのが、20%くらいは理解して笑いが起きておりました。 本郷の藤村の羊羹が贔屓に昼飯をおごらせるダシなのが、何とも手が込んでいると思いました。横浜で、どのくらい「藤村の羊羹」が伝わったかな? 何度か聴いている白酒師匠の『鰻の幇間』ですが、細かい部分が変わっていました。いきなり、ボロボロで傾いた鰻屋の二階、一八が上がると非常に暑い!!
「なんて暑い二階なんだ!窓くらい開けろよ」と不満を云って、窓を開けようとすると、「絵か?!」と驚く一八。『だくだく』みたいで爆笑しました。 更に、壁には「鬼畜米英」と子供の書いたお習字が貼ってある。これは定番であると思いました。更に、この鰻屋、場面、場面で元中華料理屋だったなごりが在る。 いきなり、お新香が「ザーサイ」だったりするのです。このあたりのクスグリの放り込み方が、実に白酒師匠らしいと思いました。 「騙された!!」と気付く前の一八の妄想、これも白酒師匠らしく、まずは贔屓は奥様に好かれてこそと云って、騙されているとは微塵も気付く事無く展開する。
そして、トイレに一緒に鰻屋へ入った客が居ない、既に帰ったと知ってからの展開は、オーソドックスに進み、女性従業員とのやり取りへとなる。 祝儀も無く、勘定も済んでいないと分かった一八の不満が爆発します。ここで、笑ったのがこの鰻屋の鰻が、国産・輸入、天然・養殖などという甘い問題ではなく、 鰻のようなもの
鰻ですらないと分かって驚愕する一八。この展開は結構斬新です。普通は、硬いけど一応鰻。繰り返し一八は従業員に「怒っていませんよ」と云う。
で、またこの女性従業員が、一八の指摘にことごとく的外れに反論します。笑った言い訳が2つありました。まず、箸置き!手習いしている子供の消しゴム。 「コクヨ」と書いてある!というくすぐりが爆発していましたが、個人的には「MONO」だと思いました。 そして、もう一つは以前から掛軸が「いいじゃないか人間だもの」という相田みつを作品を指摘していたと思いますが、今回はこれが「まつを」の偽物でした。 あと、酒が廃校の小学校の理科室からの盗品というのは、何か私は笑えませんでした。あと、鰻じゃないだろうと女性従業員を一八が問い詰めると、 「でも、国産です」と返すのも笑った。最後は一八が根負けして「いいよもう、そんな事聞いてないよ!!」と、折れてしまうのが笑えました。 破壊力がかなりUpしている白酒師匠の『鰻の幇間』。是非、この夏、一度聴いてください。 4.駒長/龍玉 開口一番、私が上がったということは、あの兄さんがトリです。と、云って「美人局」の定番マクラから本編の『駒長』へと入る龍玉師匠。 古今亭の十八番、お家芸的なネタです。同じ「美人局」で結末が同じすが、『包丁』とは、やや趣が異なる噺で、いかにも借金で首が回らない。 そんな夫婦ならやりそうな展開がこの『駒長』。それにしても、龍玉さんのは雲助師匠のを、恐ろしく完全コピーしております。 例えば、一文無しの様子を「懐具合は祭の太鼓」、「何だい?その祭の太鼓って?」、「一文無しのスッテンテン!!」と表現します。 美人局を企む夫婦がお駒と長兵衛だから『駒長』というのも、志ん生がマクラで云っているように「あまりやり手のない噺」なんだと思います。 この噺は、美人局の稽古を夫婦で繰り返しているうちに、あまりに真剣に自分を殴る亭主を、女房が愛想を尽かして行く様子を演じるのが、 雲助師匠も龍玉さんも、本当に上手い。これを見せる事で、後半の展開の「さもありなん」が決まるように思いました。 5.井戸の茶碗/馬石 勿論、マクラでは出番決めの顛末を語る馬石師匠でした。実はこのにぎわい座の一門会の週は、雲助師匠も馬石師匠も浅草の夜に顔付けされていました。 馬石師匠も雲さんも夜の部の出番。前々日に馬石師匠は師匠の雲さんに、「明後日よろしくおねがいします、にぎわい座の一門会」と仁義を切って、 「師匠は出番どうするんですか?休むんですか?」と訊ねると、雲助師匠曰く「早めの出番と代わってもらった」と云うのだ。同じく馬石師匠も交代を頼んで、 馬石師匠は仲入り後喰い付だったので、夜のサラ口にしてもらって、17時ちょい過ぎに浅草を出て18時45分くらいの横浜の楽屋入りだった。 一方、雲助師匠は、昼の部のサラ口になっていて、15時前には横浜へ。適当に時間を潰し、楽屋入りはイの一番。白酒&龍玉と下打ち合わせも入念に、 「馬石、お前が一番楽屋入りが遅れたからトリだ!!」と云う。理由は、ツク・ツかないみたいで、ネタ摺り合わせは三人は済んでいる!!と云うのだ。 あまりの理不尽と汚い作戦に、馬石師匠は、にぎわい座の一門会の過去5年のネタ帳を観ましょう、私がどんだけトリにさせられているか?!
と、訴えたそうですが、「何を昔を蒸し返すんだ!!」と、「お前は『カサブランカ』のハンフリー・ボガードか!!」と、突っ込みたくなるぐらい、 芝居口調で、トリを師匠から指名されたと悔やみながらも、人間正直じゃないとと、正直ではない師匠、兄弟子の恨み節を込めて『井戸の茶碗』でした。 “高木”が作左衛門ではない名前で、実に元の講釈っぽい地が多い『井戸の茶碗』でしたね。馬石師匠らしくたっぷり40分オーバーでした。 それにしても、演目とそれぞれの演技のクウォリティーの高さは、今年の3本の指に入る会に成ったと思います。もう少しで満員御礼の350人くらいの入りで、 それぞれが、自分の良さを出す一門なので、五街道雲助一門会!!来年も必ず行くぞ!!と決意しました。 雲助師匠に、芸の質が似た馬石・龍玉が、それぞれ芸の重さで差別化し、白酒師匠は芸の本質だけを受け継いで、その表現方法が異なる。実に面白い一門だと思います。 次回は「雲助独演会」で、10月の開催になります。そして、一門会は来年、1月か?2月だと思います。
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横浜にぎわい座で、新しい新作落語の会が立ち上がりました。白鳥・彦いちの両師匠が人選して若手真打・二つ目を、
協会・団体の垣根を越えて集めて、競わせるという趣旨の横浜発の落語会です。白鳥師匠のホームページでは、
この会について、一方的に白鳥師匠が、こんな会を彦いち師匠と立ち上げるぞ!!と、宣言されておりました。
しかし、白鳥師匠らしいのは、この日の出演者/そしてプロデューサーの布目さんには一言も伝えたり同意をえたりせずに、
ぶっつけ本番での開催!!オープニングのトークでこの爆弾発言を出演者三人は聞かされて、しかも、この日の会が、
「新作ハイカラ通り」新作落語新人トーナメントの、Aブロック予選会である事を知るのでした。
そして基本審査は白鳥&彦いち両師匠が行い、参考として当日客席に派遣された四人の覆面審査員の意見も聞くという。
何やらミシュランの審査みたいな、そんなシステムを取り入れて開催された、「第一回新作ハイカラ通り」Aブロック予選、
それはこのような内容でした。
0.オープニングトーク/白鳥&彦いち
いきなり、今日はAブロックの予選審査です!!と、この会の趣旨を説明する白鳥&彦いち両師匠。250人くらいの客席がお祭のように湧く。
そして、あまりに思い付きなので、Bブロックの出演者の交渉が難しく、第二回の開催は来年です!と、布目さんに云われたそうです。
白鳥師匠曰く、東京五輪開催イヤーの2020年に決勝戦ができて、初代チャンピオンを作りたい!!おそらく、2019にBとCブロックの予選をやり、
まず、A・B・Cの二位を集めて敗者復活戦を開催、そして各ブロックの優勝者と敗者復活戦の勝者を加えた4人での決勝戦を行って欲しい。
そして、これも個人的な願望ですが、Bブロックは「駒次・太福・粋歌」、Cブロックは「今輔・わん丈・ぴっかり☆」あたりが選ばれて欲しい。
で、優勝するとどんな特典が頂けるのか?と、思ったら、白鳥師匠が洒落で「横浜にぎわい座の館長になれます!!」と云ったのです。
これは、冗談ですが、なかなかいい特典だと思います。是非、2年任期で館長をやってもらいたいです。
あと、このトークで伝説の二つ目ポンコツ時代の三遊亭新潟だった頃の白鳥師匠の浅草演芸ホール出入禁止となった、
「川島紀子さん」、現・文仁親王妃紀子様を高座でいじり、座布団から立ちあがって高座を「川島紀子さん!!」と叫びながらウロウロした事件。
この思いでを彦いち師匠が語りました。その後、鈴本の社長に打上の席で、「社長!誰が嫌いなんですか?」と酔った白鳥師匠が質問し、
立腹の社長が、「お前と、そしてお前だ!!」と、白鳥師匠と彦いち師匠を指した一件も紹介されました。
その伏線が在った後に、白鳥師匠はパンダのお面で鈴本の高座に上がり、それを見た社長が激怒!!また、あいつかぁ!?となり出入止めになります。
まぁ、でもそんな白鳥師匠が今では、年に1度の「落語の仮面祭」で鈴本のトリを取っていますからねぇ。時代は流れます。
そんなトークの後、20分縛りで予選がスタートしました。
1.新ランゴランゴ/白鳥師匠
この日は、お気に入りの助六風の着物の着流しで登場の白鳥師匠です。赤と黒のツートン、ACミランを連想させる色使いです。
マクラでは、先の小ゑん師匠の会でも話したというTBSの「ブラックペアン」に出演するかも?(撮影は済んでいるらしい)という話題からでした。
TBSの日曜劇場ですね。嵐の二宮くんが主演で猿之助さんや竹内涼真くんなど豪華キャストのドラマです。ただ、公式HPのゲストには、
三遊亭白鳥とは書かれていないので、まだ後半の回に登場するのか?! 日曜劇場のプロデューサーが、「下町ロケット」の談春、
そして「陸王」の雀々に続いて、験を担ぎ?なのか、咄家繋がりで三遊亭白鳥師匠に白羽の矢が立ったそうです。
しかし、白鳥師匠は、15年くらい前の戦争ドラマでの鬼軍曹役がトラウマで、撮影の本番に物凄く緊張してカミカミになるそうなんです。
だから、今回もちょい役のゲストではなく、本来は現在志垣太郎さんが演じている、70代の大教授の役を演じるはずだったのに…
事前のプロデューサー面接と寄席に2月/3月のスケジュールを押さえられていたのもあり、一旦は出演見送りとなったそうです。
ところが4月に入り科白の少ない役でと再度オファーが来た。どっこい、またしても稽古だけで、スケジュールが合わずに撮影はキャンセルに。
もう流石に来ないだろうと思ったら、「2言だけですから?!」と再々オファー、緑山スタジオに呼ばれいきなり本番、なんとか撮影できたそうです。
白鳥師匠曰く「高座で十人の小三治に囲まれて落語を語るくらい緊張した!!」
そんなマクラから『新ランゴランゴ』へ。ついに落語界にもアフリカ出身の咄家が登場するという白鳥師匠らしい作品です。
20分縛りと言いながら、ややマクラが伸びで25分でした。
2.トイレの死神/志ん五
粋歌さんがピッコロさんで言っていた通り、志ん五師匠の自作の新作落語って、本当に短い。目の付け処が独特で面白いけど、
このネタも10分くらいの寄席サイズです。マクラを8分たっぷりやったので18分。予選の時間通りでした。
マクラでは、まだ地方に呼ばれると、真打披露の会をやってもらっているという志ん五さん。そろそろ1年になり、
二代志ん五として名前に本人がだいぶん慣れて来たように思います。おとぼけた感じでシュールな笑いを提供してくれます。
この日も、前日福岡での披露目があり、彦いち師匠、天どん師匠、そして浅田二世先生という豪華ゲストで、
寄席形式の披露目をやり、羽田から横浜にぎわい座へと直行したと云っておられました。
さて、『トイレの死神』。「トイレの神様」とは一切関係ない作品。居酒屋やレストランを出て、トイレに行っておけばよかったあるあるの噺ですが、
その展開でなぜか?古典落語の名作・圓朝作の『死神』みたいな展開になり、蝋燭が沢山並んだ地下に引き摺り込まれてしまう噺です。
3.そば〜ん/志ら乃
かなり久しぶりだと思ったら、真打披露を池袋芸術劇場で聴いて以来でした。その時は、勿論古典でした。
マクラでは、表参道の教会から頂いた、ちょっと珍しい仕事について話されました。ホームレスの皆さんを集めての炊き出し、
この炊き出しの前に一席落語をやるという企画で、2ステージ。『真田小僧』と『子ほめ』をやったそうですが、
「御アシくれよぉ〜」や「ただの酒」は、ホームレスにどうなんだ?“さわり”にならないのか?と気に成ったそうです。
そんな事よりも、お客さんとの別れ際に「真っ直ぐ家に帰ります」と云った事の方が“さわったか?”と反省する志ら乃師匠でした。
さて、志ら乃師匠の新作、勿論、自作の『そば〜ん』。何か不思議な勢いとノリ、そしてセンスの固まりのような作品でした。
火の見櫓から江戸市中を遠メガネで眺める主人公、こいつが蕎麦を櫓の上で食っています。そして、下へと掛け降りて蕎麦やを呼びとめて、
「お代わり」と云うのですが、どんぶりは手に持っていなくて、天高く放うり投げておいてから櫓を下りていたんですね。
それを時間差で、蕎麦やに「ナイスキャッチしなさい!!」と、どんでもないリクエストをするのだが… てな始まりの噺なんです。
高齢の落語ファンや、従来の立川流が好きと言うファンには、なかなか受入られない作品だと思いました。
こちらも25分、五分オーバーでした。
4.流れの豚次傳「任侠流山動物園」/鯉栄
マクラでは簡単な自己紹介と、今日楽屋入りして、白鳥&彦いち師匠に「都こんぶの指し入れ」をしたと報告し『任侠流山動物園』へ。
通常、鯉栄先生版はハシビロコウが活躍するのですが、この日は持ち時間が20分だったので、全てカットになっていました。
そして、豚次が虎男に尻の肉を喰われる場面だでで、講談師らしく、「ここからがいい場面ですが… お時間が一杯」と、23分で終わりにしました。
5.つばさ/彦いち
マクラでは、この日の楽屋が3階楽屋に若手真打3人、そして4階の楽屋に白鳥師匠と彦いち師匠の布陣だった。
楽屋のモニタで鯉栄さんの高座を白鳥&彦いちの両師匠が見ていると、鯉栄先生が白鳥作『流山動物園』を始める。
そこへ志ら乃さんが飛び込んで来て、「白鳥師匠!これは明らかな忖度です!!」と、クレームを付けたそうです。
その時、彦いち師匠も白鳥師匠も、鯉栄先生提供の「都こんぶ」を食べている最中だったそうです。
そんなマクラから、実に新作のタブーと言われるSF新作に挑戦の彦いち作品『つばさ』が始まりました。
この世の中とは別の、全く同じ世の中がもう一つ存在し、全く同じ社会に、全く同じ人間が暮らしている。
ただ、もう一つのこの夜の中の人間達は、なぜか?「つばさ(翼)」を持っていた。
そんなSF新作落語なのです。翼があると、『文七元結』の文七は吾妻橋から飛び込んでも、無意識に翼が羽ばたいて助かってしまいます。
あんまり喋ると根多バレするので書きませんが、彦いち師匠らしい良い作品です。
さて、この第一回「新作ハイカラ通り」の成績は、どこで告知されるのか?今度、白鳥師匠に聞いてみよう。
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梅雨の晴れ間の土曜日。自由が丘の古民家風喫茶「古桑庵」で開催される文菊さんの会です。
50人が定員で、毎回45人を目処に予約を取る会です。この日はキャンセルが5組ほど出たけど、
事前に申し出てくれたので、キャンセル待ちの方で穴埋めがスムーズだったので42名様ご来場でした。
お客様の9割が女性という、文菊師匠らしい地元の会、今回はこんな感じでした。
・たらちね
お仲入
・宿屋の仇討
1.たらちね
この新緑の季節、梅雨のじめじめはあるけど、初夏らしい爽やかな日は大好きだと云う文菊さん。
紫陽花が咲いて、庭なども緑に色づき、暑い本格的な夏が来る前の様子が好きだといいます。
そんな他愛ない季節の話題から、人間の縁についての定番マクラを振って、『たらちね』へ。
“千代”さんの口調が、さほど速くなく武家の娘というより公家の娘の感じがします。
はんなりした京都の女性というイメージで演じておりました。
2.宿屋の仇討
『落語』というのは、聴く方にも素養・基本が必要だという文菊さん。所謂、仕込みをして後から落とすやり方ですね。
どうしても、幼い子供には、この仕込みを理解して、後から落とす笑いについてこれない子が居たりする。
子供さんは、いきなり仕込みの単語に反応して、端から笑ってしまう。『何がそんなに可笑しいの?』ってやつです。
大人にも偶に居ます。箸がころがっても笑う人。16〜7の娘ならねぇ、結構年配の方で居たりします。性別関係なく。
有名な長崎のお寺での落語会に、談志師匠が呼ばれて、談志師匠が何を云っても笑う女性が居て、その異常なゲラ加減に、
談志師匠が不機嫌になってしまって、「奥さん、そんなに面白いかい?」との科白を残して、二度とその寺には行かなかったそうです。
そんなマクラから旅の恥はかき捨て。そんなのはもう今は昔。ネットでSNSに見張られて、
文春砲に売られる時代だと云ってから『宿屋の仇討』へ。今年はこの根多よく聴きます。
吉坊さん、正太郎さんで二回、そして甚語楼師匠、更には文菊師匠で聴いて今年5回目でした。
大変上品な『宿屋の仇討』。武蔵屋、ムジナ屋、石坂段右衛門でした。
次回、古桑庵での文菊独演会は、9月15日(土)です。
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◇日高屋/神田店
・バクダン炒め定食
日高屋の名物“バクダン”。このタレの味が好きです。ご飯が物凄く進みます。
・黒酢の冷やし中華(大盛)+餃子&ビール
日高屋の瓶ビールは松屋より40円安い。日高屋がキリン、松屋はアサヒです。
◆松屋/桜木町店
・回鍋肉定食(ライス大)+ビール
添え物を温泉卵にするか?キムチにするか?選択できてライス大盛無料でした。
テンメンジャンの味はやや甘め。期待したより豚肉が毎度の事ながら固い!!
豚肉の質は、日高屋の方が上です。
◇紅とん/四谷三丁目店
・冷奴/ガツポン/あっさりスープ
・鶏のから揚げ
・豚レバー&タン(タレ味)
このから揚げを頂いたので、美舟さんの手羽唐揚げがもういいか?になりました。
これに、黒ホッピーを3杯呑んで2千円。コスパは本当に良いと思います。
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仕事が終わったのが17時50分。海老名18:09の横浜行の相鉄線にギリギリ間に合う。にぎわい座に開演7分前に着いて、
3階芸能ホールの桟敷席に座ったのが3分前くらで、間髪入れず、布目さんの諸注意が始まる。
①場内は禁煙!
②携帯電話は電源を切れ!
③録音/録画/撮影禁止!
④レジ袋のガチャガヤ音が煩い!
⑤餃子など臭いの強い食べ物は注意して欲しい!
ついに、この日は第六番目の新注意事項が。。。 それは「不特定多数に聞こえる声で、噺の落ちを云わない!!」
布目さんのこの注意事項を聞いていて、何かに似ていると思ったら「8時だよ、全員集合!!」の加藤茶のエンディング。
あの「歯磨けよ!」も回を重ねる毎に、「宿題しろ!」「トイレに行け!」あげくに「親孝行しろよ!」と何様だ?
みたいな感じにバリエーションが増えて行きました。この展開になんとなく似てきていて、布目さんの諸注意が日々増えて長くなっています。
さて、景品無しスタンプラリーが2回目になり、その宣材写真を三三師匠で撮影した「三三づくし」、こんな内容でした。
1.短命
マクラの冒頭、布目さんを今回もいじる三三師匠。この分で布目さんの注意事項が増えると、開口一番高座で布目さん注意の一席!!
そんな場面もありうるぞと云う三三師匠。続いて、この日の出囃子:あめふりを選んだ時は、一週間前の天気予報を信じ、完全に6/4は梅雨入りしているつもりだった。
ところが、入梅は中国地方までで、天気は微妙だが予想なんてものは当たらないと云う三三師匠。まるでベイスターズの戦績みたいだと、
好調カープファンで小田原生れの三三師匠らしく、横浜DeNAベイスターズと横浜にも少し皮肉を云ってから寄席の話題へ。
亡くなった平井の圓蔵師匠の話をしました。布目さんの「落ちを云わないで下さい」に掛けて、圓蔵師匠は噺に入る前に落ちを云っていた事へ。
三三師匠は、『寝床』に入る前に“そこは私の寝床です”が落ちだからね、と云って噺に入っていたと紹介していましたが、
私は、飛行機の中の落語で、圓蔵師匠が落ちを云ってから噺に入るのを体験しています。根多は『大山詣り』、“毛(怪我)が無くて良かった”
そんなつまらない駄洒落の地口落ちなんだこの根多と云って、俺は変えますからねぇ、と意気込んで落ちを変えました。
「先達さん!また来年も行きましょうね、大山」「いやぁ、あまぁ(尼)たくさん(もう結構という意味)」にしておりました。
更に、楽屋と高座が近い寄席・新宿末廣亭で、楽屋の声が高座や客席に聞こえないようにしているのに、わざと圓蔵師匠は、
大きな声で高座批判だったり、高座の噺に合いの手や突っ込みを入れたそうです。これも聞いた事がありました、白酒師匠から。
白酒師匠が『不精床』やっていて、本のくだりに掛かったら、明らかに圓蔵師匠の声で「そんな奴は居ねぇ〜よ」って聞こえたらしい。
そうそう、旧池袋の圓蔵師匠の色紙の話もしました、三三師匠。昔、古いビルの三階に池袋の寄席が在った時代、
階段の壁に咄家の色紙が貼ってありました。先の柳朝師匠は、二階から三階に掛けての踊り場に色紙が貼られていて、
「七合目、もう少し!がんばれ」
と、書いていたし、目白の小さん師匠のは「芸は人なり」でした。そして、その真横に貼られていた平井の圓蔵師匠の色紙は、指の矢印付きで、
「芸は、お隣」
平井の師匠は、こんないいセンスの洒落を云う人でした。なんせ瞬発力のある絶妙の洒落を飛ばす方で、大喜利には欠かせない飛び道具です。
私が大好きな逸話は、談志師匠とやっていたラジオ「歌謡合戦」の中で、談志師匠から「五輪イヤーですね、インドは人口多いのに、
五輪じゃメダル全然取れないよね、そんな訳で、インド人が確実にメダルを狙える新競技、さてそれは何?」って振られて、
圓蔵師匠、間髪いれずに返した答えが「福神漬けのよりっこ!!」です。いいセンスしていますよね、談志師匠が相方に選ぶわけです。
そんなマクラから『短命』。当然、落ちは「俺は長命だ!」です!と、言ってから本編に入るだろうと思ったら言わずに、スーッと始まりました。
実に6年ぶりの三三師匠の『短命』でしたから、どんな風にやっていたか?殆ど覚えていない。 しかも、6年前2012年に聴いたのは、南足柄の独演会!! そんな三三師匠の『短命』は、八五郎の鈍い感じがイライラする程ではありません。
おそらく、ハキハキと早目に隠居の説明に反応するのが影響していると思います。もう少し鈍間な感じがすると役に嵌る感じです。
一方、ご隠居の方は、粘り強く丁寧に嫌がらず手を変え品を変えての説明が的確です。これで理解しない八公はアホに違いない。
そんな八五郎、家に帰ると女将さんに完全に尻に敷かれているのが一目で分かります。そして、いいテンポでサゲに向かいます。
2.赤穂義士外傳「安兵衛の道場やぶり」
マクラでは、歌舞伎がどうも好きになれないと云う三三師匠。理由はあの大間の科白廻しが性分に合わないからだと云う。
勉強だと思ってと諸先輩や同世代の咄家にも薦められるけど、勉強が嫌いで咄家になっているのに、勉強、と言われても…
そんな三三師匠ですが、幼い頃嫌いだったのに、シイタケだけは現在は好物になったと云う。小学生の頃、どんだけシイタケが嫌いだったか?!
これを丁寧に説明する三三師匠。コの字形の校舎で、一番端の給食室で、シイタケが給食に投入された瞬間、その臭いで分かったと云う三三さん。
三時間目の授業の最中とかに、一番給食室から遠いロケーションの教室だったにも関わらず、それが臭って来て、給食をブルーにさせたらしい。
三三師匠の母上は、非常に優しい人で無理に三三さんにシイタケを食べさせたりしない人だったようです。でも…
そのくらい嫌いだったシイタケを今は好んで食べていると云います。
そう言われて自分に置き換えて考えると、私も幼い頃、大嫌いだったものを今は好んで喰っています。一番はおでんの大根ですね。
二番手は水炊の白菜。酒を飲む前は、ご飯のおかずなのに、『エッ!今日はおでんかよ!、水炊かよ!』って思いませんでしたか?
大根や白菜は、お酒の肴にはなりますが、決して、あれで白いおまんまを頂いても、美味しくはない食材だと思います。
さて、『安兵衛の道場やぶり』ですが、去年、2月の昇太プロデュース・本多劇場での会で聴いて以来でした。
その際は講釈根多らしい感じが随所に残っていたのですが、今回は、完全に落語になっておりました。
滑稽な部分が増えて、宿屋の主人がマネージメントに目覚めて、本業の宿屋を放ったらかして道場破りに専念するのが笑えます。
いいんです宿屋なんて、朝と夕方だけ仕事すれば、と云っていたのが、早朝、安兵衛を叩き起こして1軒でも道場を多く廻ろうとし出します。
しかし、皮肉な事に、徐々に1軒当たりの「草鞋銭」は減額されて、薄利多売になって行きます。
そうそう、安兵衛の道場破りを談春師匠に重ねていじるのは、三三師匠ならではだと思います。
3.不動坊
毎年2回は誰かしらで聴く『不動坊』。三三師匠のは2016年、同じくこの「三三づくし」で聴いて以来。そんなに大きな変化はありません。
ただ、吉公がお滝さんにのぼせて完全に惚れ狂い状態になったのを、大家が「人間が静かに狂うのはおそろしい」とコメントするのは初めてか?
白酒師匠の「お滝さんが来るぅ〜」に匹敵する独自フレーズだと思いました。風呂屋でののぼせ方も、三三師匠にしては結構ハデに演じます。
そして、後半の三人ヤモメの鉄さん、万さん、徳さんの三バカトリオにも、それぞれキャラができていて掛合いが面白い。
更に、幽霊役で呼ばれる前座もいい味ですね。『不動坊』といえば、昇太師匠と白酒師匠のイメージで、三番手が一之輔師匠か?
という印象でしたが、これからは三三師匠です。独自の世界観で、面白かったです。
次回、三三づくしは8月6日です。また、12日には地元小田原での独演会もあります。
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