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日曜日の27日は、今年初めての阿久鯉先生の会でした。土曜日よりはやや風が穏やか。
らくごカフェがある古書センタービルに行くと、ボンディが相変わらず行列に。
日曜日は、他のカレー屋さんが休みなのもあるけど、それにしても大行列です。
噂では、外国人向けの旅行雑誌に載ったのも影響しているようで、外国人も列にちらほら。
そんな日曜日に開催された、「神田阿久鯉の会」、こんな内容でした。
・三方ヶ原軍記「湯水の行水」 … いちか
・柳沢昇進録「淀屋辰五郎、光圀公に逢う」 … 阿久鯉
お仲入り
・柳沢昇進録「藤井紋太夫手討」 … 阿久鯉
・赤穂義士 銘々傳「スキスキ金右衛門様」 … 阿久鯉
1.湯水の行水/いちか
この噺をいちかさんで聴くのは二回目ですね。三方ヶ原軍記にも、こんな物語がありますよ!的な噺である。
ただ、そんなに面白い物語ではなく、かっこい修羅場も無い。今後彼女が二つ目に成ってからも続ける根多か?
冒頭の我慢比べ、真冬の行水の場面が、少し面白いけど、あとは結構つまらない噺です。
せめて、最後の戦場・三方ヶ原軍記での戦闘シーンに見せ場があればと、おもったりもします。
2.淀屋辰五郎、光圀公に逢う/阿久鯉
登場音楽は、山口百恵特集。黒紋付で凛とした感じで登場の阿久鯉先生でした。
本当に、弟弟子の松麿さんが可愛いんですね。
松之丞さんが入門したばかりの頃と比較しながら、『麿は、目がキラキラと輝いているが、松之丞は…』
具体的には書きませんがご想像下さい。
会話したのも、松之丞さんとは3年くらい前からだと言う阿久鯉先生。
冗談まじりに、真打を目前にして、松之丞スキャンダルが出ないものか?!と言う先生。
確かに、今マスコミが狙っていても不思議じゃない。DVとか不倫は、今の時代ご法度ですからね。
そんな年末年始の雑談を10分ぐらい語り、連続で読まれている『柳沢昇進録』へ。
今回は、落語でもお馴染み「雁風呂」の噺です。
水戸黄門記に「雁風呂の由来」があると知っていましたが、柳沢昇進録にも、
全く同じ噺が有るんですね。初めて柳沢で聴きました。
柳沢が、妻・オサメを五代将軍綱吉に差し出して、寝取られて設けた子ども綱千代を次期将軍にと画策します。
綱千代を大阪城の城主に据えて、参覲交代を、西の大名は大阪城へ参勤させ、
東の大名は従来通り江戸城へ参覲交代します。
この企みの覚書を、綱吉から柳沢は取り付けて、西の大名を調略する為に、金が必要になる。
そこで、大阪の豪商・淀屋辰五郎から、その晋代を奪います。このくだりは、落語には出てこない所ですね。柳沢のヤの字も出ないから。
その財産を奪われた辰五郎と、柳沢の陰謀に対して忸怩たる思いの光圀公が、
東海道は三州岡崎の宿で、雁風呂の衝立を介して出会う展開になるのは、落語の『雁風呂』と同じ。
その後、光圀公が辰五郎の為に、借金の取り立てを容易にさせるお墨付きを書いて助けると言う展開も、
落語と一緒と言うか、元が講釈だから当然です。
さて、阿久鯉先生の「辰五郎と光圀」は、岡崎の一膳飯屋で、その主人と光圀のメニューに対するやり取りが、
落語には無くて、実に楽しいやり取りです。
超武ばった喋りの光圀公に対して、一膳飯屋の大将は、相手が黄門様とも知らず、
たかだか50文の飯に、注文の多い客だと煙たがる。その対比を上手く笑いに変えて始まり、
一層、後半の雁風呂の薀蓄が際立って締まる噺になりました。そうそう、
小満ん師匠の『雁風呂』は函館の浜の松が舞台ですが、松鯉先生から引き継いだ阿久鯉先生は津軽の浜の松が舞台でした。
3.藤井紋太夫手討/阿久鯉
仲入り中に、ボンディにまだ行列ができていると話していたら、楽屋の阿久鯉の耳にも入り、
このボンディの賑わいをらくごカフェの集客に利用したいと言い出す先生。
らくごカフェの青木さんが許すなら、阿久鯉の会はボンディのカレーの出前アリにすると言い出す。
つまり、並ぶのが嫌やな人は、木戸銭払ってらくごカフェから、ボンディに出前を取ると言うのだが、
はたして、千円のカレーを食べるのに、二千五百円の木戸銭を払ってでも並ぶのは嫌だと言う人が現れるのか?
さて、この「藤井紋太夫手討」も水戸黄門記にもある噺なんだそうで、舞台は“生類憐みの令”が発布された頃に遡ります。
隆光と柳沢が綱吉の嫡男が病死したのを受けて、“生類憐みの令”を提案し、天下にこれを号令します。
その事に水戸光圀公が反発し、犬の毛皮を綱吉に送ります。中を毛皮と知らず開けた綱吉は激怒しますが、
光圀公を罰することはできないので、その場はそれで収まります。この事件は史実ですよね?歴史番組で見た記憶が…
ここからが講談らしい展開になり、この事件を柳沢が利用して、その陰謀に水戸家の重臣・藤井紋太夫が手を貸すのです。
柳沢の陰謀は、現・水戸藩当主・綱枝公の後に、柳沢の実子を養子に据えるというもの。
毛皮の件に尾鰭を付けて、光圀公ご乱心と江戸城内に流布します。しかし、光圀公の方が一枚上手で、
綱枝公との代替わりと、これが最後の江戸になりますと言って、お別れの能会を開き、自身も能をひと舞いします。
徳川家に限らず、この当時、代替わりする際に能会を開くというのは一般的だったらしいです。私は初めて知りました。
この能会で、楽屋にある鏡の部屋に藤井紋太夫を呼びだし、そして、光圀公自らの手討ちにします。
この藤井紋太夫を成敗する描写が、実に阿久鯉先生らしくて迫力満点です。同じ松鯉先生の弟子でも鯉栄先生とは、
殺人の描写が違いますよね。より生々しいというのか、時代劇に近い迫力を感じます。
この後、藤井紋太夫の妻と息子は、光圀公の計らいでおとがめなしとなるのですが、単なる偶然なのか?
後の八代将軍吉宗の時代に起きる、徳川天一坊事件、この一味に藤井紋太夫の息子が加わっています。
勿論、講釈の世界の噺で、史実ではありませんからね。
4.スキスキ金右衛門様/阿久鯉
陰惨な噺で新春一発目の会を終わるのは、ちょっと申し訳ないと仰って、最後に義士傳「岡野金右衛門」の改作、
神田茜先生の「スキスキ金右衛門様」で、陽気に〆た阿久鯉先生でした。なかなか、茜先生らしい笑いの多い作品。
金右衛門様は美男子で、吉良邸の絵図面を盗み出す相手、大工の娘も美少女小町というのが原作の設定ですが、
茜版では、大工の娘はブスという事に。根多バレになるので、これ以上は書きませんが、
阿久鯉先生の意外な可愛い一面が見られて、貴重な一席となりました。
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2019年01月30日
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