Marsのブログ

小さな会を精力的に聴く努力をしてまいります!!

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『百年目』に続いて、やはり春の噺を紹介しようと思いました。しかも、『長屋の花見』『花見の仇討』以外を。
そして、春に掛かる噺を探っていると、『おせつ徳三郎』に巡り逢いました。ちょっと、マイナーな噺ですけどね。
私は好きな噺です。じゃぁ、どのくらい聴いているのか?調べてびっくりしました。年に1回平均なんです。
10年で11回ですよ。しかも、演者の数は7人。わん丈さんがやるのは知っていますが、若い二つ目があんまりやらない根多。



2009 2人3回
柳家喬太郎
立川志らく×2

2010 2人2回
立川志の輔(花見小僧のみ)
柳家喬太郎(刀屋のみ)

2011
なし
2012
なし

2013 1人1回
柳家小満ん(花見小僧のみ) 

2014 1人1回
柳家喬太郎

2015 1人1回
立川志らく

2016 1人1回
柳家三三(花見小僧のみ)

2017 1人1回
五街道雲助

2018 1人1回
隅田川馬石



この噺は、幕末に売れた初代春風亭柳枝の作で、人情噺として仲間に広まります。
明治の速記が非常に多く残っている作品で、それからも、柳枝の活躍、そしてこの噺の人気が伺える。
構成として前半は、定吉(or長松)に、主人が娘(おせつ)と徳三郎の関係を聞き出そうとする『花見小僧』。
そして、二人の関係を親旦那が知って、徳三郎には暇が出され、叔父の家に居候となった徳三郎。
そんな徳三郎の耳に、おせつが婿を取るという話が飛び込み、怒りに任せた徳三郎が、思慮を喪い刀屋へと掛け込む。

おせつと婿を殺して、自分も死んでやる!!そんな思いの徳三郎だが、刀屋のおやじに諭されて、斬り殺すのはお思い留まる。
そんな刀屋に、若衆を連れた香具師の親分がやって来る。そして、婚礼の当日、おせつが突然逃げ出したと聞く。
いてもたっても居られない徳三郎は、おせつを求めてお店の方へと、刀屋を走り去る。偶然、二人は再会するのだが…
サゲは、『鰍沢』と同じで、手に手を取った二人は、この世で添われずば、あの世でと、材木問屋に近い橋から、
川へと二人して飛び込むのだが、お材木の筏が下に在って助かるのでした。この後半が所謂、『刀屋』。


この『おせつ徳三郎』は、『花見小僧』の部分を、あの「鼻の円遊」が『墨田の馴初め』に改作して、
くすぐりをふんだんに入れて、楽屋オチも含めた爆笑ネタにしたのだが、この円遊の流れの皆さんは、
この噺をあまりやっていると、聴いた事が私はありません。
私が聴いた中だと、間違いなく、その「鼻の円遊」テイストで『花見小僧』をやるのは志らくさんです。
志らく師匠の『花見小僧』は、実に傑作です。定吉を攻める親旦那の、灸を持っての「足だせ!」の科白がマゾヒスティック!!
定吉のノラリくらりと誤魔化す語りも、志らく師匠ならでわで、ふんだんにクスグリも入ります。

親旦那に「なぜ、お前は見てなかったんだ?徳とおせつを!!」と、怒鳴られての言い訳がいちいち、楽屋オチのくすぐり。
定吉が、「婆やが、言うんです。“庭に毛氈敷いて、こん平師匠が『芝濱』やってるよ!!”」とか、
「船着場の小川で、川柳川柳師匠と鈴々舎馬風師匠がシンクロナイズドスイミングしてるよ!!」とか、言います。
また、灸で脅して訊く側だった親旦那が、徐々に定吉に主導権を奪われて、長命寺の桜餅のくだりあたりで完全に逆転する。
この本来の古典的な笑いのパターンは生かしつつ、志らく師匠独自の笑いを絶妙にブッ込んでくれます。

この『花見小僧』の部分は、親旦那が娘を思う親心がポイントで、その娘を思うあまりに行き過ぎて定吉を問い詰める。
ここが如何に落語的に表現できるか?なんだと思います。親バカちゃんりんの部分を、定吉が逆手に取って、
先に申したような、長命寺の桜餅の部分になるのだと思います。
だから、やっぱり娘を持つ咄家で、娘愛の強い咄家さんは、上手い気がします。先代馬生、志らくはまさにそうです。


一方、後半の『刀屋』。柏木の圓生は、この『刀屋』だけやっていた。たぶん志ん生もですね。また、目白の師匠も通しでもやるが、殆どの場合『刀屋』だけだった。
その流れで馬面の圓楽さんも、志ん朝師匠も、同じく『刀屋』だけをやっていました。
ところが、最近は、『花見小僧』だけって咄家と、上下に分けて演じるが通しで聞かせる咄家が増えていると思います。

さて『おせつ徳三郎』の後半の『刀屋』。ポイントは、刀屋のオヤジのキャラクターです。
徳三郎に対して、主従の一線を超えたお前が悪い!と、かなり凛とした態度で意見するキャラクターと、
老獪な好々爺で、徳三郎の気持ちを懐柔するような会話で、心を開かせて思い留まらせるキャラクターがあると思います。
どちらが正しいはないとおもいますが、どちらを選ぶか?は演者の個性だと思います。

凛とした方が刀屋という職業にもしっくりは来るし、昔の演者はこのタイプが多かったように思いますが、
最近の刀屋は、好々爺も半分くらい居るようにも思いますね。
尚、志らく師匠は『刀屋』のラストを、映画「卒業」のように変えて演じます。
ラストシーンは花嫁衣装のおせつの手を取って、徳三郎が渡し船に乗せるシーンで終わり、
二人に笑顔はなく、キャサリン・ロスとダスティン・ホフマンのように、海原の夕日に向かって船は進んで行く。
「お材木で助かる」よりは、ドラマっチックな最後が用意されております。
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寿限無     粗忽長屋

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化物使い   目黒のさんま

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井戸の茶碗  饅頭こわい

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芝濱           らくだ

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