|
ウィーン国立歌劇場には平土間後方(Stehparterre)に180、ガレリー(Garelie、 一番上の階)とバルコン(Balkon、その一つ下の階)に約390、合わせて約570人分 の立見スペースがあります。入場料は平土間が3.5ユーロ(約560円)、ガレリー とバルコンが2ユーロ(約320円)という、考えられないほど手頃な入場料です※。 この立見券を入手するにはちょっとした時間と手間を掛けなければなりません。今回は 立見券を入手するための完全ガイドをお届けします。最初に並び始めるところから立見 の場所を確保するところまで、完全ガイドをお届けします。 立見券売場は劇場正面向かって左側、Operngasseに面した回廊に入り口があります。 まずはここに並ぶことから始まります。チケットの実際の発販売開始は開演の80分前、 建物の中に入って待てるのはそのさらに1時間半前ですが、ほとんどの場合はそれより 前から外の回廊に並ぶことになります。 Oprengasseに面した回廊にある、立見券売場への入り口 劇場正面向かって左側、Operngasseに面した回廊に、「STEHPLATZ-KASSE/STANDING AREA」 と看板が出ているドアがあります。まずはここに並びます。通常の公演でも早い人たちは 開演の4時間ほど前から並び始めます。僕が「連隊の娘」を聴いた時は16時開演でしたが、 朝の9時から並びました。 1994年3月の、かの伝説的なクライバー指揮「ばらの騎士」の上演の時には数週間前 から寝袋が行列を作っていたそうです。 この日は「連隊の娘」が16時の開演でした。11時でこの人数です。 同じく、13時にはこの人数に増えていました。 ここで注意しなければならないのは、荷物を置いて離れてはいけないということです。 朝一番で荷物を置いて観光に行って戻ってきても、その荷物は容赦なくどかされ、一番後ろに 並びなおすことになります。ただし、ちょっとトイレに行くとか、食事を買いに行くとかいう 場合には前後の人に言って少しの時間離れることはできます。地元の人や用意がいい観光客は 折りたたみイス持参で来ます。 音楽学生がイスに座りスコアの勉強をしたりして待っています。流石ウィーン。 ここで立見に並んでいる人たちは、基本的には同じ時間と手間を掛けてオペラを観たいという、 言わば同士です。ちょっと大袈裟ですかね(笑)。地元のオペラ通がいたりする ので、近くの人と話したりしていると色んな話を聞くことができてとても楽しいです。 チケットの販売開始は開演の80分前ですが、さらにその1時間半前になると、最初に 紹介した立見券販売所入り口の扉が開き、建物内で待つことになります。風通しが悪いので ちょっと暑苦しいです。 この奥が先頭で、販売窓口があります。 さらに廊下が続き、座って待ちます。本を読んだり iPod で音楽を聴いたりして待ちます。 地元の人たちは完全にピクニック感覚です。イスはもちろん、酒だつまみだと色んなもの を持参して、宴会が始まります(笑)。 酒やつまみ持参で宴会を始める現地のオペラファン。 一度建物の中に入ったら監禁状態、外に出ることは許されません。外に出て戻ってくると 係りのおじさんに「ちょっとちょっと、ダメダメ。一番後ろに並びなおしてください」 と怒られます。時々、観光客が「そんなこと知らなかった」と抗議していますが、 そんなものは認められません。ここまで数時間の努力が全て水の泡です。気をつけましょう、 開演80分前になるとチケットの販売が始まります。平土間後方、ガレリー、バルコン いずれかを指定して選びチケットを買い、それぞれのロビーに進みます。 おめでとうとございます!いよいよチケット購入です! 窓口には「ひとり一枚」と注意書きが。 チケットを購入し、係の指示に従って順に並び、開場を待ちます。あと少し、みなそわそわ しています。 最後のひと並び。奥のガラス戸を入ったところが立見の場所です。 開演60分前になるとようやく客席内に入ることができます。あせらずゆっくり 入りましょう。 順に詰めてなんとなく左右の感覚を確かめて横一列のお客さんが落ち着いたら、立見用の手摺り の2番目のバーにスカーフなどを結んで場所を確保します。このとき、一番上の 手摺りに結んだりしてしまうと「そこじゃないわよ、その下よ」と細かい文句を 言ってくる人がいたりするので気をつけましょう。また、後からやってきて前の列に割って入り 「ここはもっと入れるのよ。詰めてちょうだい」などと言ってくる人もいます。 こういうのは無視です。 また、日本人女性にとっては前が大きな西洋人男性だったりすると全く見えなくなるので、 「私があなたの前になっても絶対に邪魔にはならないと思うんです」などと交渉しましょう。 親切に交代してくれる場合もあります。 黄色い○が付いたほうのバーにスカーフ等を巻きつけて場所を確保します。 赤い○が付いたほうに巻くと周りの人に文句を言われることがあるので要注意です。 ちなみに、立見にもちゃんと字幕システムが設置されています。 スカーフで場所を確保したらその場で係の人の注意事項を聞き、一時解散です。短時間ですが 軽く食事をするなりその場で座って足を休めるなり。かなり密集しているので、前のほうの 列を取った人は開演ぎりぎりにもどると自分の場所にたどり着くのが大変です。場合によっては 今来た人かと思い「もう場所ないよ」などとおせっかいなことを言ってくる人もいます。 平土間後方にある立見スペースは特等席です。自分のすぐ下には100ユーロを払った人が、 後方の上には180ユーロを払った人がいるのです。一番前の列が取れれば上階の天井も 被らず音もよく聴こえます。 密集度が高い平土間の立見スペース。黄色の○の位置が最高の場所です。 運良く「連隊の娘」「蝶々夫人」はどちらもここで観ることができました。 ウィーンと言えばオペラ、オペラと言えばウィーン。ニューヨークに行く観光客が ブロードウェイでミュージカルを観るのと同じで「ウィーンに来たらとりあえずオペラだろう」 と、リーズナブルな立見にはジーパンにTシャツの観光客もたくさんいます。 観光客の中には一幕だけ観て帰る人も多いので、休憩後になると少し空いて、より良い場所に 移ることもできます。 「エレクトラ」の日も観光客がたくさんいましたが案の定、みなさん飽きてしまって いたようです。しかしそういう時に限って運悪く一幕もので休憩がなかったりするのです(笑)。 演奏途中で人を掻き分けて帰る人が20人近くいて、地元のオペラ通は迷惑そうでした。こういう 点では良くも悪くも…、ですが色々な人が集まる立見鑑賞、なかなか面白いものです。 何度も時計を見ながら並んでチケットを手に入れるのも、立見の楽しみです。時間がある方 には、ぜひオススメしたいと思います。 ※追記:この料金は2007年4月現在のものです。その後、料金改定があり2011年1月1日現在、
平土間は4ユーロ、バルコンとガレリーは3ユーロです。 |
全体表示
[ リスト ]





martinさん、これまでに読んだ中では最高のガイドです!列から離れることに対しては、とても厳しくなっているのですね。この記事は永久保存しておきます。
2007/5/27(日) 午前 0:53
JinKさん>コメントありがとうございます。次回ウィーンに行かれる際のご参考にして頂ければと思います。列からの離脱にはとてもとても厳しいです。日本人はあまり他人に干渉しませんが、劇場の係の人間でもないのに客があれこれ指図してきたりするのでこれも注意が必要です(笑)。
2007/5/27(日) 午前 10:40 [ mar*in*bba*o ]
いや〜素晴らしい記事です。この記事が手元にあれば迷うことがないでしょう。文句なしの「傑作」!「立ち見席」が最高席というのは何とも不思議な感じですね。体力があるうちにと思ったりもしましたが、年配の方も並んでいますね。
2007/5/28(月) 午後 9:46
記事の素晴らしさに気をとられて、「傑作ボタン」を忘れていました。
2007/5/28(月) 午後 11:30
白髪ばっはさん、JinKさん>「傑作」ありがとうございます。僕にとっては楽しい「立見」ですので、思い出ということもあって細かくガイドにしてみました。新国立劇場にも立見がほしいですね…。
2007/5/29(火) 午後 5:57 [ mar*in*bba*o ]
すっすごい!・・いろいろ書いたけれど、もうヤボかも(上のゲストさまが既に^^;)・・傑作!
2007/5/29(火) 午後 7:39
martinさん、素晴らしいアイデアですね。パレスに500円の立見を500席!
2007/5/30(水) 午前 1:05
らぷさん>コメントありがとうございます!マニアックなガイドでしょ??(笑) らぷさんもウィーンに行かれるときご参考にしてください!
2007/5/30(水) 午前 7:59 [ mar*in*bba*o ]
JinKさん>歌舞伎座にも「一幕見」とか「立見」がありますから、新国立にもあっていいですよね。/そういえば「オペラパレス」と命名されたんでしたね。「E電」の二の舞になりそうですが…(笑)。
2007/5/30(水) 午前 8:01 [ mar*in*bba*o ]
「オペラパレス」という名称は考えてしまいますね。市民のオペラからはほど遠い存在に思えます。
2007/5/30(水) 午後 11:09
そもそもそんな愛称募集なんて不要ですよね。既に「シンコク」(深刻とも言う…苦笑)ってみんな呼んでますしね(笑)。
2007/5/31(木) 午後 11:10 [ mar*in*bba*o ]
本当に「深刻」な状況かもしれませんね。誰のための劇場なのでしょうか?
2007/6/2(土) 午後 11:31
先日も某紙に現監督の4年間を総括する論評記事が出ていましたが、それよりも時期監督の任期にどうなるかが心配です。W杉監督になり、「世界に誇れるオペラハウス」を謳う一方で「カタカナ名の歌手にこだわるべきではなく、日本人で実力のある歌手を起用する」としていますが、N期会やF原など日本の団体への配慮が先行しているとしか思えないのですが…。
2007/6/3(日) 午後 1:42 [ mar*in*bba*o ]
歌手の育成が目的ならはっきりと育成すればよいのですが、優れた公演も実現して、現在存在する団体や所属する歌手にも配慮するのでは運営は難しく厳しそうですね。ゲルギエフとキーロフのように世界で売れる演奏を目指してほしいですね。日本でのオペラのライブやセッション録音のCDやDVDを買いたくなるようにしてほしいです。
2007/6/3(日) 午後 9:18
育成という点では新国立には「研修所」という制度がありますね。若い歌手で良い歌手が出てきて舞台にも立っていますし、ノヴォ監督の時代には多くの演目に脇役で出演している、ウィーンでいうアンサンブル歌手のような日本人歌手(例えば晴雅彦、大野光彦、加茂下稔、大澤健など)が多く活躍していましたね。これはなかなかいいシステムだと思うのですが、どうやらその辺も変わってしまうようで。
2007/6/3(日) 午後 10:18 [ mar*in*bba*o ]
martinさん、来月にヨーロッパに行く会社の女性がいたので、この記事を紹介したら感激していましたよ。
2007/6/16(土) 午前 0:16
職場にヨーロッパに行かれる方が!ウィーンに行かれるのですね。記事をご紹介くださってありがとうございます。役立てて頂ければ嬉しい限りです。同僚の方が楽しんでこられるよう願っています。
2007/6/16(土) 午後 8:28 [ mar*in*bba*o ]
古い記事へのコメントで失礼します。「オデュッセウスのワグネリアン日記」のオデュッセウスと申します。dom06wagnerさん(リエンツィさん)の記事から参りました。
転勤がありそうなので躊躇しているのですが、ティーレマン『パルジファル』目当てに3月末のウィーン行きを計画しています。もし実現すれば、その時の参考にさせていただきます。
2007/12/21(金) 午後 11:56 [ オデュッセウス ]
オデュッセウスさん、こんにちは。とんでもありません、コメント頂ありがとうございます。wagnerさんのところで、コメントは何度か拝見しています。
年明けから4月にかけてのウィーンは毎シーズンいい演目が揃っていますね。ティーレマンの「パルジファル」はオペラファンとしてはぜひ聴きたい公演ですね。実現できることを願っています。
今後とも、宜しくお願い致します。
2007/12/22(土) 午前 9:32 [ mar*in*bba*o ]