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開館10周年を記念して昨年からスタートした新国立劇場のニューイヤー・ガラ。 楽しみにしていたのですがやはり平日の18:30開演は無理がありました。 第一部のバレエを聴き逃してしまい、第二部のオペラの直前に滑り込みました。 出演歌手は5人。ソプラノの一人は日本とイタリアで活躍中、アメリカにも進出 した木下美穂子。「イル・トロヴァトーレ」から「静かな夜」。ムラがなくとても 安定した歌唱で表情付けもドラマティックで聴き応えがありました。 ソプラノ二人目はこの劇場ではアリーチェ・フォードを歌い、来日も多いセレーナ・ ファルノッキア。透明で伸びのある声が魅力的です。非常に丁寧な歌を聴かせて くれる歌手で好感が持てます。欲を言えば「歌に生き、恋に生き」などもう少し 繊細な弱音が欲しかったですが満足です。 テノール、まずは大御所ジュゼッペ・ジャコミーニ。やはりこのひとは凄いです。 耳にビンビン響く強靭な声は健在、本当に声の厚みにムラがなく呼吸と支えが完璧 です。アンコールで歌った「誰も寝てはならぬ」では途中やや喉がからみ完全な状態 ではありませんでしたが(本人もかなり気にした様子で歌っていました)、その歌唱は そんなことは超越したものでした。余談ながら、賛否はあるかもしれませんが自分の 出来に満足していない様子をカーテンコールであからさまにそれを表に出していました。 自らに厳しいジャコミーニの一面です。 テノールはもう一人、市原多朗です。輝かしく伸びのある声は素晴らしいですが、 高音になるとポジションが浮いてしまうことがしばしばでした。そして以前にも気に なったのですが、演技がよくないのです。今回はオペラの舞台ではありませんが、 棒立ちで表情が薄く、せっかく素晴らしい声を聴かせてくれたのに残念です。 バリトンは日本のヴェテラン直野資。得意とするイヤーゴとスカルピアを歌い ましたが、こういうクセの強い役どころにはぴったりです。声に全盛期までの 力強さは感じられませんでしたが堂々とした歌唱でした。 5人の声の競演に実力派が揃った新国立劇場合唱団、そして珍しくこの劇場のピット に入った新日本フィルが充実した演奏で花を添えてくれました。久々に登場した 菊池彦典の指揮もエネルギッシュでした。ぜひとも、来年以降も継続していって もらいたいものです。 新国立劇場 「ニューイヤー・オペラパレス・ガラ(第二部)」 1.ヴェルディ:歌劇「ナブッコ」序曲 2.ヴェルディ:歌劇「イル・トロヴァトーレ」より「静かな夜」 3.ヴェルディ:歌劇「オテロ」より「喜びの炎よ」 4.同「すでに夜も更けた」 5.同「無慈悲な神の命ずるままに」 6.レオンカヴァッロ:歌劇「道化師」より「衣装をつけろ」 7.マスカーニ:歌劇「カヴァレルア・ルスティカーナ」間奏曲 8.プッチーニ:歌劇「トスカ」より「妙なる調和」 9.同「テ・デウム」 10.同「歌に生き、恋に生き」 11.同「星は光ぬ」 (アンコール) 12.チレア:歌劇「アドリアーナ・ルクヴルール」より「私は神のいやしい僕」 13.プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」 ソプラノ:木下美穂子(2) セレーナ・ファルノッキア(4、10、12) テノール:ジュゼッペ・ジャコミーニ(3、6、13) 市原多朗(8、11) バリトン:直野資(5、9) 合唱:新国立劇場合唱団 管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団 指揮:菊池彦典 2009年1月5日 新国立劇場 |

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