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ミラノでも初演されたばかりの新制作「ドン・カルロ」が日本公演で上演された。 シュテファン・ブラウンシュヴァイク演出による舞台は白と黒、そして箱のような枠を基調 としたシャープな舞台。第一幕のカルロとロドリーゴの二重唱など随所で彼らの幼少時代の 子供が登場するのだが、観ていてあまり意味のあるものとは思えなかった。 歌手陣にはミラノで歌った歌手も含めビッグネームが並ぶものの、聴き終わってみるとどこか 消化不良の感がある。このオペラはどの役も非常に大きな見せ場があるけれど、やはりドン・ カルロが締まらないとどうにもならないのかなというのが正直なところ。ラモン・ヴァルガス にそもそも期待もしていなかったけれど、歌にドラマがないし演技も出来ない、これでは やはりどうにもなるまい。期待が大き過ぎたのか、ルネ・パーペのフィリッポ2世も、大きな 喝采を浴びていたけれど、いまひとつ迫力に欠けるし、アナトリー・コチェルガの 宗教裁判長も凄みがない。 男声ではロドリーゴを歌ったダリボール・イェニスが良かった。線の細い声ではあるが端整で クールな演技と歌唱がこの演出にしっくりきていたように思う。一方で女性陣は満足度が高く まずバルバラ・フリットリのエリザベッタ、このひとの声の美しさは改めて言うまでもないが しみじみとした丁寧な中に自らの運命の覚悟を感じる芯の強い歌唱。素晴らしい出来だった。 エボリ公女のドローザ・ザジックは相変わらず物凄い声量。深く豊かな響きに圧倒された。 ダニエレ・ガッティは過度に鳴らすことなく非常に冷静かつクールな音楽づくり。しかし フィリッポ2世とロドリーゴ、宗教裁判長とのそれぞれの場面など随所で不気味に低弦を かき鳴らすなどめりはりをしっかりとつけてみせた。この演出とは効果的に溶け合っていた ように思う。 ミラノ・スカラ座 ヴェルディ「ドン・カルロ」 フィリッポ二世:ルネ・パーペ ドン・カルロ:ラモン・ヴァルガス ロドリーゴ:ダリボール・イェニス 宗教裁判長:アナトーリ・コチェルガ 修道士:ガボール・ブレッツ エリザベッタ:バルバラ・フリットリ エボリ公女:ドローラ・ザージック テバルト:カルラ・ディ・チェンソ レルマ伯爵:クリスティアーノ・クレモニーニ 国王の布告者:カルロ・ボージ 天の声:イレーナ・ベスパロヴァイテ フランドルの使者:フィリッポ・ベットスキ アレッサンドロ・パリャーガ エルネスト・パナリエッロ ステファノ・リナルディ・ミリアーニ アレッサンドロ・スピーナ ルチアーノ・バティニッチ 合唱:ミラノ・スカラ座合唱団 管弦楽:ミラノ・スカラ座管弦楽 指揮:ダニエレ・ガッティ 演出:シュテファン・ブラウンシュヴァイク 2009年9月8日 東京文化会館 |

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バルバラ・フリットリのエリザベッタは如何でしたか?
パーぺの王様、エボリ公女は同じでしたがなかなかよかったと
思います(TB失礼します)。
2009/10/12(月) 午前 8:39
irigomiさん、ご無沙汰しております。フリットリはしみじみとした丁寧な歌唱、声も良く抜け素晴らしいエリザベッタでした。
ザジックは驚くべき声量と張りのある声、流石の貫禄でした。
2009/10/12(月) 午後 11:27 [ mar*in*bba*o ]