|
小澤征爾が新日本フィル定期演奏会の指揮台を離れてから久しい。定期の代わりに毎シーズン 必ず特別演奏会という形で共演を重ねているがチケットが取りにくく、今回かなり久々に 小澤征爾のコンサートを鑑賞することができた。 曲はまず上原彩子を迎えてベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番。このピアニストが素晴らしい テクニックの持ち主であることはよく判っているが、その凄みを押し出してこない柔らかく可愛げ のある演奏だったように思う。どのくらいのリハーサルを重ねたのだろうか、小澤の率いる オーケストラとの息もよく合っていた。 後半にはブルックナーの交響曲第3番。聴き慣れたこのオーケストラの澄んだ透明感ある音色 とは違った重厚でどっしりとした響きを小澤征爾は引き出した。「巨匠」だとかなんだとかそう いうことではなく、小澤は長年付合っているこのオーケストラから久々の共演にしてここまで の響きを引き出すのかと、改めて感服した。 燕尾服ではなく独特のスタンドカラーのジャケットに身を包んだ小澤征爾はほとんどの時間 指揮台の手摺りに腰掛けていた。何年か前から神経痛やヘルニアに悩まされ、あるインタビュー では腕も肩より上に上がらないとも話していた。肉体的にかなり辛いものがあるのだろう。 何年ぶりかに小澤の指揮する姿をこの目で見て「もう昔のような指揮姿は見られないんだ」と 思うと一抹の淋しさを覚えもしたが、それでもなお静かに湧き出てくるエネルギーを感じる 演奏だった。 新日本フィルハーモニー交響楽団特別演奏会 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番 ハ長調 Op.15 ブルックナー:交響曲第3番 ニ短調 「ワーグナー」 (第3稿ノヴァーク版) ピアノ:上原彩子 管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団 指揮:小澤征爾 2009年12月6日 すみだトリフォニーホール |

- >
- エンターテインメント
- >
- 音楽
- >
- 音楽レビュー



