La vita e bella

前のことを、たらり・たらりと書いています。ニューイヤー・コンサートのことすら書いていなかったこの怠慢さ…。

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楽しみにしていた公演が終わりました。終わってしまいました。飯守泰次郎先生の指揮による
東京シティ・フィル創立35周年特別演奏会「ワーグナー管弦楽・合唱名曲コンサート」。
4月にモーツアルトの「レクイエム」公演が終わった直後から練習がはじまり、半年弱の期間で
短いけれど難しい5曲の合唱曲に取り組んできました。





難しいけれど飯守先生の指揮でワーグナーを歌えるなんて、こんな幸せなことはありません。
一生に一度の素晴らしいチャンスです。飯守先生がこれだけのワーグナーの名曲を一挙に指揮
するコンサートなんて、こんな豪華な公演は他にありません。





しかし正直、始めは不安でした。特に「タンホイザー」の「巡礼の合唱」、何度となく繰り返される
あの難しい転調、しかも4部。他の声部ではなく序曲で脳にインプットされている音が邪魔を
してしまって、脳につられてしまう感じ。しかし次第にそれぞれの拍のハーモニーが解ってきて
すんなり歌えるようになってくると練習が楽しくて楽しくて、しかたなくなってきました。





「巡礼の合唱」が音の難しさならば言葉の難しさが「ローエングリン」でした。「結婚行進曲」
は同じ旋律が何度か繰り返されますが歌詞が変わり、これが微妙に似ているために覚えにくく
苦労しました。まだ「水夫の合唱」のようにテンポが早ければ勢いで体に入ってくるのですが、
これは最後まで苦労しました。





合唱指導の藤丸先生は細かいハーモニー練習も繰り返し行ない、美しい響きを出すことを再重要視
してレッスンしてくれました。上手くいかないところの修正に使う「例え」が物凄く的確です。
同じ音形の曲が「森永です」とか「瀬戸は〜」とすぐ引き合いに出てくるところも凄いのです。
「水夫の合唱」でバリトンが途中で高い音から「Tabak」という歌詞で入るところでは発声が
浅く開いてしまうのが問題であり、これは「10年ぐらい前のレオ・ヌッチのように鼻の下を
伸ばして被せるようにして下さい」。これが自分の中で大ヒット、練習から帰ったあと思い出して
は一人で怪しく大笑いしたこともありました。





飯守先生は今回も3ヶ月ほど前から合唱指導に来て下さいました。毎回、思い切り汗をかいての
熱血の指導、自らピアノを弾いて色々な調性の解説をされることもしばしば。どんどん上のものを
求める姿にはワーグナーの音楽に対する並々ならぬ愛情を感じました。それは直前のオーケストラ
合わせになって益々強くなり、初日から本当に幸せなオーケストラ合わせでした。3日間で終わって
しまうのがもったいない、もっとオーケストラ合わせがしたいと思うほどでした。





今回、コンサートの最後に演奏した「ニュルンベルクのマイスタージンガー」は中学生の時に僕が
初めて観たオペラ、偶然に出会って僕の人生を変えてしまった(「狂わせた」とも言う)、僕に
とってとても大きな意味のある作品です。そのオペラのフィナーレをその17年後の、まさにあの時
と同じ9月18日に自分が歌っているということ、しかも敬愛する飯守先生指揮の豪華なワーグナー
・ガラで歌えるということ、これは実に感慨深いものでした。こんな貴重な経験が出来たことに、
心から感謝です。





本当に本当に幸せな半年間を経て素晴らしい本番を経験し、その喜びと、ワーグナーが終わって
しまう少しの淋しさを胸に残しながら、すぐに「第九」の練習が始まります。今回のワーグナー
で得たことを宝に、もっと上の「第九」にしたいと思います。







<東京シティ・フィル35周年特別演奏会 ワーグナー管弦楽・合唱名曲コンサート>


ワーグナー:歌劇「さまよえるオランダ人」から
      「序曲」
      「糸紡ぎの合唱」
      「水夫の合唱」
      歌劇「タンホイザー」から
      「序曲」
      「巡礼の合唱」
      「歌の殿堂をたたえよう」
      楽劇「トリスタンとイゾルデ」から
      「前奏曲と愛の死」
      楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」から
      「前奏曲」
      「目覚めよ、朝は近づいた 〜 終曲」

(アンコール)

ワーグナー:歌劇「ローエングリン」から
      「結婚行進曲」
      「第3幕への前奏曲」




合唱:東京シティ・フィル・コーア
(合唱指揮:藤丸崇浩)


管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団




指揮:飯守泰次郎





2010年9月18日 ティアラこうとう

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YNと申します。
2010年9月18日に観賞させていただきました。

主要部分をアカペラで歌われる「巡礼の合唱」は、
微妙な音程を相当練習されたことを感じました。

「アレールヤー!」が一瞬、溜めを伴って
鋭く二回発せられたところは、特に強く心に響きました。

全員の皆さんの心も一つになっていた様に感じました。
「アレールヤー!」練習のエピソードがお有りでしたら
ご紹介いただければ幸いです。

私は「オランダ人」の「水夫の合唱」も特に好きです。

なお、わたくしがワーグナーに引き込まれた切っ掛けも、
高校生の時、渡邉 暁雄(わたなべ あけお)氏指揮、
日本フィルで「ニュルンベルクの名歌手」前奏曲を、
始めて生で聞き、ワーグナーシャワーを浴びた時
からです。

約50年余り経過し、今年は、とうとう初めてバイロイトの
地を踏み「指環」の千秋楽を体験してきました。
もっぱら観賞のみですが、人生のかなりの部分に狂い
「Wahn Wahn」が入り込んでいるのかも知れません。

今回の飯守先生のワーグナー演奏会は新鮮でした。

2010/9/25(土) 午後 4:52 [ YN ]

YN様、ご来聴くださり、また、ご丁寧なコメントを下さり、ありがとうございます。熱心に聴いて下さったのだなと、嬉しく思っています。

「巡礼の合唱」の音程は、藤丸先生が和音をしっかりと響かせることを非常に熱心に指導して下さいます。途中で棒を止めたところで和音を確認するということを何十回、何百回と行ないます。しかも、和音ごとに基礎になるパートと、それに対し他パートが和音を取るという指導、調性によって同じ音でも全く同じ音ではなくセント(1/100音)単位で取り直すという指導。難しいですがこうした高度な指導は本当に幸せです。

「アレールヤー」の部分はやはり小節の中で「タタタタタタ、タタタタタタ、タタタタタタタ」と拍を取り練習をしました。また飯守先生の棒をよく見て、同時に周りの息を感じて心を一つにしタイミングを合わせます。非常に難しかったのですが、「心も一つになっていた」と感じて頂け感激しています。

ついにバイロイトでの千秋楽のご経験、至高のひと時だったのではないでしょうか。僕もいつか、バイロイトのワーグナーを体験したいと思っています。稚拙なブログですがまたお越し頂ければ幸いです

2010/9/26(日) 午後 7:47 [ mar*in*bba*o ]

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mar​*in​*bba*o​様

YNです。
アカペラの合唱を磨く、具体的なプロの技術をご紹介いただき
感激いたしました。「アレールヤー」の練習についても具体的で
目に浮かぶような解説ありがとうございました。

学生時代に聞きかじった、純正律、平均律の問題や、
リズム(間)の問題等が合唱の場で、技術的にどう解決され、
実現されているかという貴重な例と推察します。
昔の門外不出の秘伝を伺えた様でありがたいです。

学生時代の音楽(音響学)の時間に、田中正平博士の
演奏する純正調オルガンによる透き通った音のバッハ等を
SPレコードで、聞かせてもらった経験があります。

悪乗り気味ですが、インターネット時代に、合唱等を巡る
これらの課題が話題になっているか、本日9月27日に調べました。
つづく

2010/9/27(月) 午後 0:37 [ YN ]

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mar​*in​*bba*o​様 YNです。
インターネットの話題(その1)をご紹介します。
http://blogs.yahoo.co.jp/chorus_love0007/8932894.html
「純正律?それとも平均律?(合唱編)」
転調のあるアカペラ(無伴奏合唱)曲でいつも悩まされるのが、
固定ド唱法で歌うか(平均律で合理的に歌うか)、それとも
移動ド唱法で歌うか(純正律の響きを重視するか)、という
ことです。
★回答の一端として、作曲家の木下牧子先生のホームページの
純正律のことが引用されています。
http://www.asahi-net.or.jp/~az4m-knst/qa_bucknumber/jyunseiritu.html
「Q.木下さんのアカペラ曲は純正律で?それとも平均率で?」
★A.木下牧子先生の曲の中で純正律と平均律を使い分けについて、
素晴らしい解説がありました。本文ご参照。
多分mar​*in​*bb​a*oさんのご経験と共通性があるのでは。​
つづく

2010/9/27(月) 午後 0:53 [ YN ]

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YNです。インターネットの話題(その2)をご紹介します。
http://junhime080520.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-a1eb.html
★純正調オルガンを探して
http://www.bs-j.co.jp/ongakunotabi/
「ヨーロッパ音楽の旅 『ドイツ皇帝が愛した幻の楽器と日本人』
BSジャパン)
作曲家でピアニストの西村由紀江さんが「純正調オルガン」
(エンハーモニウム)を探して、欧州を旅するという番組です。
---------------------
<ウィキペディアより>
田中 正平(たなか しょうへい、1862年6月12日(文久2年5月15日)
- 1945年(昭和20年)10月16日)は純正調オルガン有無を発明した
日本の音響学・物理学者、鉄道技師。
1889年(明治22年)に純正調のリード・オルガンを製作し、
翌年にはドイツ皇帝ヴィルヘルム2世の前でも演奏を行った。
この純正調オルガンはハンス・フォン・ビューローにより
「エンハルモニウム」と命名される。

2010/9/27(月) 午後 4:09 [ YN ]

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mar?*in?*bba*o?様 YNです。
★追伸
<バイロイト祝祭劇場体験のメリット>
今回、バイロイト祝祭劇場の楽器としての音響体験を
得て、バイロイト・モデルとして頭に記憶されたことから、

バイロイト祝祭劇場録音のCD「指環」(ティーレマン指揮)が、
記憶の魔術で、自宅でも、眼前にバイロイト劇場を再現して
くれる様になりました。

これまでバイロイト発の録音CDや年末FMを何回聴いても、
明確に祝祭劇場の音像が結ぶことはなかったので、
あの硬い座席に座り、最高のワーグナーシャワー
を浴びる効果は、自分への土産(宝物)として、
それなりに残るものと認識できました。

以上、大変お邪魔してしまい、ごめんなさい。

2010/9/27(月) 午後 4:27 [ YN ]

YN様、とんでもありません、熱心にコメントを下さり感激しています。
ご紹介下さった木下先生の解説は簡潔で解り易く書いて頂いていますね。12平均律は便宜上そうなっているだけで、調性によって自然倍音で美しく響く取り方をするというもので、僕たちはまさにこのような指導を受けていました。非常に難しかったのですが、実際にきちんとできていたかどうかは別にして、体で意味を解らされたように思います。
次にご紹介くださったエンハルモニウムの番組は僕も拝見しました。この番組は感動的でした。一途にこれを追い求める西村さんの姿にも心を打たれました。この番組での解説も非常に解り易く、藤丸先生の指導を受けて(僕はまだ今の合唱団では新しい人間なのです)なるほど、こういうことか、とあの番組で見ていたことを体験し感激したものです。

2010/9/27(月) 午後 11:16 [ mar*in*bba*o ]

バイロイトの音響体験についても興味深く読ませて頂きました。なるほど、オーディオで聴いていたものが実際の劇場ではどう聴こえているのか。その劇場で実際に聴いた耳で録音を聴くとどうなるのか。その時の印象がしっかりと残っていて頭の中に蘇ってくるのですね。これは非常に興味深い体験です。やはり、実際に劇場で聴くということは、その時だけの体験ではなく、それ以上に大きなものを得ることができるのですね。

2010/9/27(月) 午後 11:26 [ mar*in*bba*o ]

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各テーマに的確なご感想を頂き感激です。
「巡礼の合唱」のメロディーとハーモニーの
関係のお尋ねです。

純正律で透明なハーモニーを優先的に追求する場合には、
メロディー・ラインとして、微妙に調子が外れて聞こえる
現象などあるのでしょうか。

以下の記事が気になります。
http://www.mc-taichi.com/music/theory/scale.html
「平均律と純正律・音階の周波数比」
○「同上の数値比較」 -前半略-
また、音階で聴くと純正律のAが異様に低いと感じるでしょう。
メロディックな観点からは、等間隔の平均律の方が
美しいような気がします。

★MIDIによる純正律演奏
http://just-int.com/zitsuen_2.html
メロディのための音律
http://just-int.com/zitsuen_3.html
ハーモニーのための音律

<ご参考まで>旧、木下牧子「Q&A」
http://www.asahi-net.or.jp/~az4m-knst/QA.html
質問44「思いをこめるVs伝える

2010/9/30(木) 午後 5:42 [ YN ]

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YN様、コメントが遅くなりましてすみません。旋律の調子が外れて聴こえるという現象はそう起きないのではないかと思います。

なぜなら、すべての拍、すべての音に対してそれを追及すると起きる可能性はあるかもしれませんが、最も重要視されるのは転調が起こる拍だったり、特定の拍でしっかりとハーモニーを作ろうということだからです。あくまで旋律は旋律、ということなのではないかと思います。

専門の勉強が不足しているのであまり正確な良いお答えではないかもしれませんが、

2010/10/16(土) 午後 5:55 [ mar*in*bba*o ]


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