La vita e bella

前のことを、たらり・たらりと書いています。ニューイヤー・コンサートのことすら書いていなかったこの怠慢さ…。

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ミュンヘンに着後ホテルで慌ただしく着替えだけを済ませ劇場に直行、完売公演だったため
「チケット求む」の紙を持ってギリギリにチケットを入手。





「フィデリオ」は12月21日にプレミエを迎えたばかりの新演出上演で、しかも人気のテノール
ヨナス・カウフマンがフロレスタンを歌うとあって年明け1月の公演も含め全公演が完売になる
という人気振り。カウフマン目当ての客が多い中なんとそのカウフマンは二公演目からいきなりの
ドタキャン。この日の代役はロバート・ディーン・スミス。本人曰くこの朝ミュンヘンに着いた
とのこと。カウフマンのキャンセルは残念だけれど、いい歌手が飛んできてくれたものだ。





カリクスト・ビエイトによる演出は刑務所がスクリーンセイバーによくある絵柄のような空間に
なっていて、そこを命綱を付けた歌手たちがまるでジャングルジムを上り下りするように動き
ながら歌うというもの。歌手にとっては実に歌いにくそうな舞台装置だ。この上演の特徴は
まず冒頭に「レオノーレ」序曲第3番が演奏され、通常「レオノーレ」序曲第3番が演奏される
ところではベートーヴェンの弦楽四重奏Op.132のモルト・アダージョが演奏された。しかも
演奏者は籠に入れられ宙吊りにされた状態。



イメージ 1





歌手陣はレオノーレを歌ったアニア・カンペがしっかりと芯のあるドラマティックな歌唱で
秀逸。フロレスタンを歌ったロバート・ディーン・スミスも輝かしく伸びやかな声で、苦しみ
から這い上がる喜びを見事に歌い上げた。その他はマルツェリーネのラウラ・タトゥレスク
が好演。





ダニエレ・ガッティの指揮はいまひとつ生命力に欠け面白みのない演奏に終始した印象で、
バイエルン州立管弦楽団はいまひとつ鳴りが悪い。終演時には照明が落ちると真っ先に演出への
ブーイングが飛び、一方で歌手陣にはブラーヴォが飛ぶというお約束の形に。そんな中ガッティ
には大きなブーイングが浴びせられていた。







<バイエルン国立歌劇場 ベートーヴェン「フィデリオ」>


ドン・フェルナンド:スティーヴン・ヒュームズ
ドン・ピッツァロ:ヴォルフガング・コッホ
フロレスタン:ロバート・ディーン・スミス
レオノーレ:アニア・カンペ
ロッコ:フランツ-ヨーゼフ・ゼーヒリ
マルツェリーネ:ラウラ・タトゥレスク
ヤキーノ:ユッシ・ミリス
第一の囚人:ディーン・パワー
第二の囚人:タレク・ナツミ



合唱:バイエルン国立歌劇場合唱団


弦楽四重奏:オデオン弦楽四重奏団


管弦楽:バイエルン州立管弦楽団




指揮:ダニエレ・ガッティ



演出:カリクスト・ビエイト





2010年12月29日 ミュンヘン州立劇場

ミュンヘン

飛行機の中ではよく休みました。年末どたばた忙しく、前夜も「第九」を歌って打ち上げもあり
あまり寝ずに早起きでゼロからパッキングして出てきたので、その分、疲れてぐっすりでした。
写真は途中、白海の上空を通過した時のものです。



イメージ 1
白海の上空





ミュンヘンには定刻より約一時間、早く着きました。これはラッキーです。外の気温は摂氏で
マイナス4度。思っていたほど低くありません(それでも十分寒いけど…)。荷物もすぐに出て
きて、バスで市内へ。ミュンヘンは市内まで結構時間が掛かります。





バスで中央駅に着き、すぐ近くのホテルにチェックイン。着替えだけしてすぐに出ます。雪が
ちらついていましたが大雪にはなりませんでした。旧市街の中心まで歩いてゆくとカールス門
前の広場には屋台とスケートリンクが設営されていました。年末のイベントです。



イメージ 4
カールス門前の広場。二階層に設営された屋台



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さらにスケートリンクも





時間がないのでスケートは滑らず、そこから目抜き通りのノイハウザー通りへ。クリスマスは
過ぎていますが通りはかなりの賑わいです。セールをやっているデパートもたくさんありますが、
目もくれずノイハウザー通りを突き進みます。





通りを進むと仕掛け時計で有名な市庁舎が現れます。大きなクリスマスツリーが飾られています。
ここでまた一瞬、足を止めて写真を。



イメージ 2
大きなツリーが飾られた市庁舎





市庁舎の脇が最後の角です。市庁舎の角を曲がって真っ直ぐ歩くと、州立劇場です。



イメージ 3
ミュンヘン州立劇場





この日はつい数日前にプレミエを迎えたばかりの「フィデリオ」新演出上演3日目の公演です。
チケットは完売。「チケット求む」と書いた紙を持ってチケットを求めます。





よくよく辺りを見渡すと「チケット求む」が10人以上(!)もいます。順番に並んでいるわけでも
ないのですべてはタイミング、たまたま声を掛けられた人はラッキーです。チケットを売るという
人が誰かに声を掛けると「買います買います!売って売って!」と皆がワッと集まります。何人
かのラッキーなひとが声を掛けられ、買って嬉しそうに中に入っていきます。





そうこうしているうちにこんな言葉が耳に入りました。





「Kaufmann singt nicht(カウフマンは歌わないそうよ)」





なんと、フロレスタンのカウフマンがプレミエを迎えたばかりで早速キャンセルしたようです。





「Wer singt??(誰が歌うんですか??)」





訊くと代役はロバート・ディーン・スミスとのこと。彼なら良かったです。





しかし、チケットが…。





開演10分前になってしまい、いよいよ難しいかと思い始めたところ、ひとりの老紳士が隣に
立っていた女性に「立ち見だけどいるかい?」と声を掛けました。また別のひとが…。しかし
女性が「ん〜、立ち見ねぇ」と躊躇したのですかさず「立ち見でもいいです、買います!」
声を掛けると「じゃあ私はいいわ」ということで「よし、じゃあ売った」と即、成約。ダフ屋
ではなく普通のひとなので価格も額面通り、€12.50でした。




こうしてチケットを入手、無事に「フィデリオ」を聴けることになりました。
海外出張から戻ったら出張報告を提出するまで次の海外出張禁止ということはよくありますが、
そんな状態に。10月の旅行の記事も終わらないまま、逃亡します。





バリトンの小森輝彦先生は、ドイツから日本へ帰ってこられる際の寒波でフライトがキャンセル
になったりといったトラブルに見舞われ、25時間かけて帰ってこられたそうです。それをお聞き
し若干、怯みましたが、後に退くわけにもいきません。仕事初めまで一日余裕ももったことだし。
無事にフライトの遅れなどがないことを願うのみです。





成田は意外と混んでいません。週末から月火が、ピークだったのでしょうか。羽田に対抗してか
ターミナルはあちこち改装や、店が入れ替わったあとが見られます。





昨日の「第九」の興奮もまだ醒めないところですが、ラウンジに流れる「美しく青きドナウ」を
聴くとやはり、ニューイヤーコンサートが聴きたくなります。一昨年のように上手いことチケットが
入手できるとよいのですが。





ヨーロッパで、パスタをもって年越し蕎麦に代えるのもどうかと思うので、ちょっと早いですが
年越し蕎麦を食べてます。





それでは、行って参ります。





ところで、この寒波の中ヨーロッパに行くって、「飛んで火に入る夏の虫」の「冬版」てあるの
でしょうか…?



イメージ 1
今年の音楽活動の締めくくりは飯守泰次郎先生と東京シティ・フィルが進めているベートーヴェン
交響曲全曲演奏シリーズの第4回目にあたる「第九」の公演です。前回の記事にも紹介したように
この演奏はマルケヴィチ版という版による演奏で、飯守先生がこの特殊な楽譜をさらに研究され、
つくりあげたものです。





飯守先生による二回のレッスン、そしてオーケストラ合わせを経て、ようやくこの日にたどり着き
ました。平日なので普通に仕事でそのあとの本番、初めての経験でしたがこんなに大変なんだと
思うくらい体力が要りました。





しかしそれだけに終わったあとの充実感は大きいものがあります。しっかりとした評価は手前味噌
ではなくお客様にして頂くとしてひとつだけ、飯守先生が解説で触れられている「フレーズを大切
に、自然に美しい響きをレガートで歌う」ということを、巧く体現できたのではないでしょうか。
それも藤丸先生の指導、そして飯守マジックの力です。





今年は念願叶って東京シティ・フィル・コーアという合唱団に入ることができ、モーツアルトの
レクイエム、ワーグナーの名曲集、そして第九と、素晴らしい公演に参加することができ本当に
幸せでした。団のみなさんはとても温かく雰囲気も良く、本当に、入ることができてよかった…。





年末の平日に、出演に理解を下さった職場の皆さんにも感謝です。





お陰さまで、良い新年が迎えられそうです。







<東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第九特別演奏会>


ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125「合唱付き」(I.マルケヴィチ版による)



ソプラノ:佐々木典子
アルト:小山由美
テノール:福井敬
バリトン:小森輝彦


合唱:東京シティ・フィル・コーア(合唱指揮:藤丸崇浩)


管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団



指揮:飯守泰次郎





2010年12月28日 東京芸術劇場
今日は「第九」のオーケストラ合わせがありました。今年は既に二人の指揮者、二つの楽団で
依頼演奏で「第九」を歌う機会があり、今回が我々の「本来の」第九ということになります。





舞台上には16型の大きな編成のオーケストラが並びます。すぐ右前にはバス・トロンボーン、
正面にファゴット・セクション、やや左に総勢18名の低弦。オーケストラの中でもとりわけ
好きな楽器のすぐそばで歌えるとは、なんて幸せでしょう。





第四楽章冒頭のオーケストラの部分から始まります。今回使用されるマルケヴィチ版の楽譜は
合唱では強弱の指示がいわゆる一般的なブライトコプフ版などと違った指示となっていて音が
違う、音の長さが違うということはありませんがオーケストラは微妙に音や音の長さが違う
箇所があり、興味深く聴きました。





チェロとコントラバスによるレチタティーヴには聴き慣れた演奏ではつながっている音のタイが
取れていたり、逆に分かれている音がつながって長さが変わっていたりする箇所がありました。
また―個人的にとても好きな箇所なのですが―ヴィオラが奏でる歓喜の主題に乗ってくるファゴット
のソロは数音がオクターブになっているようで、面白い音形になっていました。きっと、スコアが
頭に入って聴いていれば他にも新しい発見があるのかもしれません。





さて、美しいオーケストラの箇所が終わると自分が歌う番です。飯守先生の指揮はいつになく
熱く情熱的です。しかしその顔の表情から求められる音楽は温かく柔らかい音楽なのです。
大編成のオーケストラとの演奏になり、飯守先生の熱い指揮を追っているとついつい力が入って
しまい冷静さを保つことが大変です。ところどころで冷静さを取り戻しつつ、先生がレッスンで
示された箇所を注意し、まさに「冷静と情熱のあいだ」です。





体力はもちろん、非常に頭も使ったオケ合わせでした。反省点も多々あり、あしたはそれらを
しっかり頭に入れて歌えるよう、肝に銘じます。

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