La vita e bella

前のことを、たらり・たらりと書いています。ニューイヤー・コンサートのことすら書いていなかったこの怠慢さ…。

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新国立劇場、新シーズンの開幕はリヒャルト・シュトラウスの「アラベッラ」新演出上演。一般的
には地味な印象も否めないけれど、とても美しいオペラ、開幕にこれが聴けるというのは嬉しい
ものだ。





フィリップ・アルロー演出による舞台は第一幕が開くとホテルはいかにも現代ヨーロッパの小洒落た
ブティックホテルのようなデザイン。青が基調で白い柱やソファが映える。奥の壁に掛けられた
数枚のクリムトがまたウィーン風か。第二幕の舞踏会もこれもまた青で調度品が白という色使い。
ここで気になったのは背景の人物の動かし方で、ぞろぞろ後ろのほうにいてその動きが妙に素人
っぽく感じられたのは僕だけだろうか。背景の人物の動かし方は第三幕も同様だった。そして
二人の世界を作りたいのかもしれないが、アラベッラとマンドリカの二重唱がカーテンで隔離され
た空間になったのは、ちょっとベタ?第三幕、ホテルのロビー、もちろん、青。ここではそれぞれの
登場人物の心理描写が巧みだったように思う。それぞれの動きや仕草、立ち位置が良かった。
幾分濃いめの青が基調になった舞台に対して、それに近いけれど少しずつ違った色の衣装(森英恵)
というのがまたグラデーションのようで良かったと思う。





歌手はなんと言ってもタイトルロールのミヒャエラ・カウネが秀逸。声の美しさもさることながら
丁寧でしみじみとした歌唱、音の跳躍や強弱の美しさ、期待通りの素晴らしい出来だった。相手役
マンドリカはトーマス・ヨハネス・マイヤー。端整な歌唱でいい声はあるけれど、この役には硬く、
歌い方も力み過ぎた感があったのは残念。ただ、もっと合う役でまた聴いてみたいと思える歌手
ではあった。妹ズデンカは姉アラベッラの存在感が大きかったのが気の毒だが、実は結果的に物語
を大きく動かしてしまったという役回りをしっかり演じていたように思う。妻屋秀和と竹本節子が
演じた両親は堂々として頼もしい。妻屋秀和は艶やかで張りのあるしっかりとした声で存在感大。





残念だったのはマッテオを歌ったオリヴァー・リンゲルハーン。これは毒を吐いて申し訳ないが
イッタイ誰が連れて来たのか?実際に聴いたことがあったのか?と思ってしまうほど残念な歌手
だった。見事にこもって抜けてこない声、声量不足、そもそも存在感なし。せっかく本領発揮の
ような高音の聴かせどころもあるし、役どころとして良し悪しは別として音楽的にはおいしい役
なのに。物語的にも重要なこの役がこれでは…。





指揮は3度目の登板だというウルフ・シルマー。ドラマティックな音楽づくりでしっかりと
東京フィルを引っ張っていたのではないだろうか。細かな疵は置いておいて全体として甘美な
音楽の流れを上手く作っていたように思う。





総合点を何点か付けろと言われると難しいけれど、これだけの「アラベッラ」を体験できれば
ひとまず満足だったように思う。来年の同じくリヒャルト・シュトラウス「ばらの騎士」も
楽しみだ。







<新国立劇場 R.シュトラウス「アラベッラ」>


ヴァルトナー伯爵:妻屋秀和
アデライデ:竹本節子
アラベッラ:ミヒャエラ・カウネ
ズデンカ:アグネーテ・ムンク・ラスムッセン
マンドリカ:トーマス・ヨハネス・マイヤー
マッテオ:オリヴァー・リンゲルハーン
エレメル伯爵:望月哲也
ドミニク伯爵:萩原 潤
ラモラル伯爵:初鹿野 剛
フィアッカミッリ:天羽明惠
カルタ占い:与田朝子



合唱:新国立劇場合唱団


管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団



指揮:ウルフ・シルマー



演出:フィリップ・アルロー






2010年10月2日 新国立劇場

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