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2005年の初演以来5年振りの上演となった「アンドレア・シェニエ」。結論から言ってしまうと
非常に満足度は高く、客席の反応も上々だったように思う。やはり役者が揃ったということか。
タイトルロールを歌ったミハイル・アガフォノフはイタリア風のドラマティックさや抜けこそ
なく、そしてしょっぱなの「ある日、青空を眺めて」あたりは慎重で物足りなさこそ感じた
ものの徐々に調子を上げ、第二幕の二重唱あたりからはかなり乗ってきていた。音域によって
発声にむらは感じられるが、全幕ほぼ出っぱなしというくらいの役であることを考えると健闘
していたのではないだろうか。
相手役マッダレーナには新国立劇場では馴染みとなったノルマ・ファンティーニ。全幕を通じ
安定してドラマティックな歌唱、強烈な感情の露出から繊細な心まで、表現力の広さ深さを
改めて感じさせてくれた。第三幕の「亡くなった母を」の悲しみの表現などは秀逸。
ジェラールには新国立劇場初登場のアルベルト・ガザーレ。年齢的にはまだ若い歌手だが堂々と
した深い歌唱、「祖国の敵」における静かな感情の吐露なども見事なものだった。個人的には
待望の登場。ぜひ再登場を期待したい。
また今回は指揮者も素晴らしかった。フランス人で世界各地の劇場で絶賛されている
フレデリック・シャスラン。緩急の付け方にしても音の鳴り方にしても今日は今シーズン
これまでの二演目と比べても格段にドラマティックにオーケストラが響いていて、イタリア・
オペラを聴いたなという満足感のある音楽だった。
日本人が固めた脇役たちはルーシェの成田博之、密偵の高橋淳をはじめいずれも健闘、合唱は
いつもの通り安心して聴いていられる。フィリップ・アルローの演出は心理的な不安定さの投影
など意図はよく理解できるが、あのギロチンやCG画像などやはり個人的には邪魔に感じてしまう。
アンドレア・シェニエ:ミハイル・アガフォノフ
マッダレーナ:ノルマ・ファンティーニ
ジェラール:アルベルト・ガザーレ
ルーシェ:成田博之
密偵:高橋淳
コワニー伯爵夫人:森山京子
ベルシ:山下牧子
マデロン:竹本節子
マテュー:大久保眞
フレヴィル:萩原潤
修道院長:加茂下稔
フーキエ・タンヴィル:小林由樹
デュマ:大森いちえい
家令/シュミット:大澤健
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:フレデリック・シャスラン
演出:フィリップ・アルロー
2010年11月21日 新国立劇場
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