|
新日本フィル、今シーズン最後の公演は「ハンガリアン・プログラム」。リゲティの
ヴァイオリン協奏曲、ヴェレッシュの日本初演作品「哀歌」、そしてコダーイの組曲
「ハーリ・ヤーノシュ」という意欲的なプログラムだ。
まずリゲティのヴァイオリン協奏曲は何度か落ちてしまった難解な曲。とはいえ技巧的
なソロに驚かされると同時にソリスト、パトリツィア・コパチンスカヤのパフォーマンス
もたいしたもの。素足を踏み鳴らしたり声を出したり、全身で不気味な感すらあるこの曲
を全身で表現、このような曲にも関わらず会場は沸きに沸いた。アンコールではまず一曲、
コパチンスカヤがホルヘ・サンチョス=チョングの「グリン」という曲を演奏。こちらも
素足で舞台の床を踏み鳴らしたり奇声(?)を上げたりしながらのパフォーマンス。そして
二曲目のアンコールはリゲティの「バラードとダンス」。これはなんとコンサートマスター
西江辰郎との二重奏で、なんと西江は靴とさらに靴下まで脱いでコパチンスカヤと同じく
裸足で演奏、会場の笑いを誘った。西江は舞台を去る際にもそのまま裸足で引き上げ、
隣の奏者が靴を持って引き揚げたところでわらに会場が沸くという一幕も。
後半はコダーイやバルトークに師事したヴェレッシュの「哀歌〜バルトークの思い出に」。
舞台上に所狭しと並んだオーケストラからは出てくる音は豊潤で濃厚な悲しみの音楽。
緩急、強弱の幅の広い曲を緊張感を持って立体的に浮かび上がらせた。今日の演奏は
昨秋くらいからずいぶんと厚みが増してきたように感じられる新日本フィルの響きが
より一層ダイナミックに響いたように思う。
続くコダーイの組曲「ハーリ・ヤーノシュ」も同様にスケールの大きな演奏を聴かせて
くれた。第三曲「歌」や第四曲「合戦とナポレオンの敗北」におけるロウソクの灯が
消えるような緊張感には鳥肌が立つほどだった。最も有名な第二曲「ウィーンの音楽時計」
ではルンブレラスの柔らかいオーボエをはじめとした木管のアンサンブルが見事だったし、
第五曲「間奏曲」などでは朗々と歌う豊かな弦が素晴らしかった。この曲ではハンガリー
の楽器ツィンバロンがエキゾチックな響きを創りだした。第六曲「皇帝と廷臣たちの入場」
はハンガリーの農民が空想した王宮の様子ということだが、この曲を聴いているとどこか
日本の地方の民謡や盆踊りの風景が浮かんでしまうのは僕だけだろうか?しかしそんな
雰囲気を見事に醸しつつ一発のバスドラムの響きで締めくくられたあとにはフライング
無く素晴らしい一瞬の静寂が素晴らしかった。
今シーズンも良い演奏をたくさん聴かせてくれた新日本フィル。来シーズンは音楽監督の
ほか3人に絞られた客演指揮者たちとの密な恊働、どんな音楽を聴かせてくれるのか、いま
から楽しみだ。
トリフォニーホールから錦糸町のクイーンズ伊勢丹を経由して、隅田川花火大会へ。花火を
観ているあいだ、幾度となく第五曲「間奏曲」を口ずさんでいる自分に気付いた。
<新日本フィルハーモニー交響楽団 第465回定期演奏会>
リゲティ:ヴァイオリン協奏曲
(アンコール)
ホルヘ・サンチェス=チョング:クリン
リゲティ:バラードとダンス
ヴェレッシュ:哀歌〜バルトークの思い出に(日本初演)
コダーイ:組曲「ハーリ・ヤーノシュ」
ヴァイオリン:パトリツィア・コパチンスカヤ
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
指揮:クリスティアン・アルミンク
2010年7月31日 すみだトリフォニーホール
|

- >
- エンターテインメント
- >
- 音楽
- >
- クラシック




