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小澤征爾の75歳を記念して多くのCDやDVDが発売されている。その中でこれはというのが
29年間に渡り音楽監督を務めたボストン交響楽団とのふたつの名演だ。
2002年、両者の共同作業の総決算として演奏されたマーラーの9番は異様なまでの熱気を
感じる集中力の高い演奏で、この曲の性質もあろうけれど涙を誘うようなボストン響の弦の
美しさが強烈な印象を残している。楽団のひとりひとりが、小澤征爾へのはなむけに、熱い
演奏を繰り広げている。登場した時点からの、小澤の潤んだ目も涙を誘う。
前半には1989年の日本公演からベートーヴェンの交響曲第7番。個人的には思い出の演奏で、
テレビ放送を録画したビデオをまさに擦り減ってしまうほど何度も見たものだ。そんなことも
あってこの演奏のDVD化は嬉しい限り。こちらも美しい弦の響き、柔らかい木管の音色、そして
輝かしい金管の音、ボストン交響楽団の重厚な響きが堪能できる名演だ。
奇しくも今日は小澤征爾が(形は変わってしまったけれど)復帰。病後の体力、年齢、かつての
あのダイナミックな指揮姿をもう見ることができないと思うと感傷的にもなってしまうけれど、
これからも素晴らしい音楽を聴かせてくれることを願ってやまない。
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